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私は宿題が嫌いな教師です

生徒たちは ”今日は宿題ないよ!” と聞くとイェーーーーーーイと歓声を上げる。

私も イェーーーーーーイ と歓声を上げている。

宿題を極力出したくない先生なのだ、私は。(*アメリカの私立高校で歴史を教えています) 出来ることなら 宿題ゼロ宣言 を出したいほどに宿題が嫌いだ。

理由は様々なのだが、大きな理由は生徒たちの時間がなくなるから。学生は勉強だけしていればいい、なんて時代はもうとっくの昔に終わり、しかも私の生徒は世界各国から集まっていて勉強以外に熱心な子供も多い。

スポーツや美術、演劇にダンス、ボランティアにピアノの練習・・・学校が3時に終わった後にはやることが山ほどあり、みんなそれぞれに生き生きとした表情を見せて陸上やヒップホップやデッサンなんかをやっている。

6時に家に帰り、ご飯を食べ、シャワーを浴びて、家族と話して、テレビをみたら、もうあっという間に10時だ。

宿題をする暇はない。なので、彼らは睡眠時間を削って宿題をしている。夜中の1時とかに明日締め切りの作文なんかが送ってくると、心が締め付けられるほどに苦しくなる。

私の作文なんか1時にやるな! と理不尽に思う。

私が出すたいていの宿題は2−3日余裕をもたせて提出期限を決めているが、それも計画的にはなかなか出来ない事情もある。他の先生が ”はい、これ明日までね” と違う宿題を出せば、私の宿題は先延ばしにされ、結局はギリギリの夜中にやらねばいけないこともあるからだ。毎日9科目の授業を受ける彼らは、たとえ私の宿題がなくとも他の8つのクラスの宿題があるかもしれない・・・。1教科20分だとしても3時間近くかかる。

高校時代、私はクラブ活動もせず課外活動も特になく、毎日学校と家の往復の毎日だった。宿題は山ほどあり、受験も一応気になっていたので夜9時には寝て、朝2−3時に起きて宿題や勉強をする日々だった。

今その時代を振り返ると・・・・・ツマラナイ。

そしてあの時の私も、目の前の生徒も、昼間はめっちゃ眠い。

宿題嫌いな先生な私はなるべく時間内に授業目標のゴールに到達するように頑張るのだが、そうするためには様々な資料や、図形や、地図や、ビデオや、なんかが必要になり、結局は自分がやる”宿題”が増えている。

まあそれでもいい。

私一人が背負う宿題と、クラス全員背負う宿題、数の勝ち負けでいったら前者の方がいい。

こうして宿題が嫌いな私が宿題を背負いながら、せめて15歳のみんなが15分長く睡眠を取れますように、と自分の睡眠を削る毎日なのだ。

シマフィー 

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