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アメリカ生活:シマリスのだいたい今

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最近のお話をまとめました。シマリス界では最近とはだいたいここ10年以内のことです。
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2022年3月の記事一覧

きっちり3日後に死刑

なんだかぶっそうなタイトルだが、これは今日私が生徒にしたアドバイスなのだ。 彼はヘロヘロに弱っていた。涙をうっすらと浮かべながらガールフレンドに振られたのだがまだ未練があり苦しい、との訴えだった。 ここ何日もご飯が喉を通らず眠れずやる気も起きない、と世界の終わりのような表情の彼だったが話を聞いているうちに、15歳の恋愛も35歳も恋愛も終わりは似たような顔なのだなぁと思っていた。こんな顔をした35歳の男を前に見たことがある。 彼はもうこれから先どう生きていくのかわからない

流れない時間

オフィスを片付けていたら大きな箱に入ったままのプレゼントを見つけた。 開けてみると巨大な砂時計が入っている。確か何年か前の卒業式で ”お世話になったお礼に” と生徒のお母さんにいただいた。記憶では ”サハラ砂漠の砂が入っています” と言っていたような気がするが、上部の刻印はロンドンになっている。 みなさんはこの砂時計を見て、何か気づきませんか? え?普通の砂時計にしか見えない? ならもうちょっと寄ってみましょうか。 サハラ砂漠の砂ですよ。どうですか? 何か見えてきませ

驚きの手作りプレゼント

授業の一環で手作りクラフトの時間があり、生徒たちは毎日色んなものを自分で考え、自分で作っている。(*アメリカ東で教師をしています) ここ二週間で蝋燭作り、組紐、陶芸、刺繍、まな板、カギ編み、ビーズブレスレット、チョコチップクッキーなどを作ってきた。うまくできない子もいるし、すぐに飽きてしまう子もいる。そして思いがけない新しい趣味を見つける子もいる。 10年生に2人、スポーツ万能の男子がいるのだが、彼らは二人ともクロスステッチと刺繍にハマっていた。音楽を聴きながらもくもくと

そうか、老眼鏡!

ハッピー書房さんのこの記事を読んでいてふむふむなるほど、と思っていました。いつも楽しく考えされられる記事をありがとうございます! 私はこの記事のの出だしが好きなんですよ! ”昨日、目医者さんに行ってきた”・・・・これだけでなんとなくその病院の雰囲気が見えてきます。眼科、ではなく目医者さん!静かなクラッシックのかかる小さな待合室や、病室の奥に進むとちょっと薄暗いなかに白衣に眼鏡をかけたお医者さんと白くてふわふわの靴を履いた看護婦さんまで浮かんできます。 私の父も目医者さん

夏時間の始まり

土曜から日曜に変わった夜中にひっそりと時計が1時間進められた。 夏時間の始まりだ。 夜中に時間が進む理由は皆寝静まっていて、一部の夜中に働いている人たちを除いては1時間進もうが戻ろうが大きなダメージはないからだろう。 サマータイムは1時間進むので昨日まで日本との時差は14時間だったが、今日から13時間になった。日本が朝の9時ならばこちらは前日の夜の8時(*アメリカ東在住です)。もう何十回も夏時間と冬時間を行ったり来たりしている生活をしているのに、やっぱりこの日から何日間

今年も黙祷から始まった

3月11日、もう11年前になるのですね。 私はその日、修学旅行で生徒15名を連れて京都にいました。遠くで起こった悲劇でしたが、アメリカで待つ家族や学校関係者の要請で旅行を5日早く切り上げて大阪から3カ所を乗り継いでJFK空港まで辿り着き、そこからはチャーターされたバスで学校まで帰りました。 その日から私の携帯電話は保護者、理事会、そしてどうやって番号を手に入れたのか地元や州のメディアからの電話で夜中も鳴りっぱなしでした。いくら京都は遠く離れていて地震の被害は無い、と伝えて

”昔は良かった”という呪い

過去に囚われて生きる人がいる。”昔は良かったな〜今はちょっとな〜” と言う人だ。 自分に対してのそんな思いならこれからどうにでも状況を変化させることは可能だし、”今はちょっとな〜”の愚痴も改善の余地はある。自分が行動を起こせばいいだけの話。昔はスリムでかわいかった、今は太ってかわいくない、そんな愚痴ならばさっさとダイエットを始めてスリムになればいいし、若い頃は行動力があった、なら気持ちを新たに出来る範囲での行動力を高めればいいだけの話。 ただ自然に変わりゆくものや人に対し

8時間睡眠の難しさ

8時間・・・・若い頃は10時間でも12時間でも目が覚めずにひたすら寝ていられたのだが、もう出来ない。最後に8時間ぶっ通しで寝たのは病気の時だったと思う。 我が家は毎朝5時から5時半の間に起きるが、大抵二人ともその前に目が覚めてしまう。というか夜中に2回も3回も目が覚める。”もう朝かな〜” と毎回思いながら時間を確認すると1時だったり3時だったりしてがっくりする。夫も同じらしい。 7時間を細切れに寝ている訳だが、特に体調が悪いとか睡眠不足を感じることはない。目の下にクマもな

跳ねる子供

ここ何日か卒業生たちのことを考えていた。 私がこの学校で受け持った初めての生徒たちは今30歳になっている。ちょっと信じられない・・・・30歳?時間はいったいどこに行ってしまったのだろう。もちろん私もその分歳を取ったのだが、彼らが17歳から30歳になるのと比べたら自分の人間としての変化なぞ取るに足らないほど小さいような気がする。(*アメリカの私立校で教師をしています) 来て2年目に7年生の学習サポートを担当した。そのクラスの生徒たちはLD(学習障害)があったり英語が母語でな

楽しい話をしようよ

私たち夫婦はお互い朝早くに家を出て夕食時まで顔を合わせることはないので、その日あったことの報告はご飯を食べながらになる。 私は子供達と長い時間を学校で過ごすので(*アメリカの私立校で教師をしています)毎日のように何かしらの事件はあるのだが、楽しいことばかりとは限らない。嫌なニュースも聞くし、腹立たしいことや呆れる出来事もある。 彼の方はほぼほぼ良くないことばかりだ(*大学で生物学を教えています)。生徒の質もパンデミック以前から落ちていて、話を聞いているこちらが大学生にもな