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コーヒー「生豆屋」とは?③

みなさんこんにちは!
ロハスビーンズの「珈琲萬屋 島田」です。
コロンビア産のコーヒー要りませんか〜?

突然ですが問題です!!
皆さんは日本に毎年どの位のコーヒー豆が輸入されているかご存知ですか?

今回も前回に続き生豆屋とは?の、
【④輸入業者(大手商社・専門商社) について】について話をします。
ちょっと長くなってしまいましたが、お付き合いくださいな。
途中「生豆屋は新規に始めない方がいいですよ!」って話をしているので長いのですが、輸入業のリスクについて解っていただけるのではないかなぁ〜と思って書きました。

ー冒頭の質問(国内輸入量)ー

・日本に毎年どの位のコーヒー豆が輸入されているかご存知ですか?
の正解は…40万トン前後です。

焙煎すると質量が軽くなるので、ザックリ34万トンくらいになりますね。
1杯に10gのコーヒーを使うとして…340億杯分?かな?合ってるかしら?
日本人の半分(6,300万人)が習慣的に飲んでるとして、毎日1.5杯飲んでる計算になりますね。まぁ、そんなもんかしらね。

さて、そんな私達日本人には馴染みのあるコーヒーですが、
誰が産地から購入して、持ってきているか知っていますか?

日本で飲まれているコーヒーのほぼ100%がどこかしらの商社を通して日本に入ってきます。
長年、丸紅&三井物産がツートップですね。
この2社でだいたい日本の70%のコーヒーを輸入しています。

凄いですよね〜しかもそれぞれ10数人位しか営業職はいません。
あ、でも、もちろん輸入実務(船の手配とか通関とか)とか、顧客へのデリバリーとか、請求業務、会計処理…さまざまな業務があるので営業職以外にも多くの人の手を介して商品を動かしていらっしゃいます。もちろん、運送業者さんや倉庫業者さんもいらっしゃいますね。
とはいえ、営業職だけで見ると30人くらいで日本の70%のコーヒーを動かしているんですね〜。
ざっくり2社で28万トンくらいですね…。
ん??  =15,000コンテナか(凄っ!)。ホントか!?
営業職一人あたり500コンテナ。ホント??
(あ、ちなみに1コンテナ(20ft)には18トンの生豆を入れて送ります。)
そんなに売ってるのかしら???
0を数え間違ってるかな…。その場合、こっそり修正します(笑)

と、言うわけで、いわゆる大手総合商社が主な輸入業者な訳ですが、
コーヒーを専門に扱っている商社も日本には多くあります。
それらの会社を「専門商社」と呼んでいます。
概ね少人数の会社で、特定の国との取引をされている会社が多いですね。
弊社の場合はコロンビア産の商品を専門に扱っています。

生豆輸入業の新規参入はオススメしません!

最近専門商社(っぽい会社?)が増えてますね。
カフェの開業もそうですが、参入障壁はそんなに高くないんですよね。
そして、多分簡単そうに見えるから始められる方が最近多いんだと思うんですが、あまりオススメ出来ないですよ〜。
自家焙煎業者さんとか、何らかの商材を輸入した経験のある方とかが始められるケースが多いと思われます。これから生豆を自社で輸入を始めようと考えている方、声を大にして申し上げます…
マジでやめた方がいいですよ!!
産地から買うと超安いじゃ〜ん!
と思って始める方が多いようですが、ホントにおすすめできない商売です。
以下にチラっと理由を書きますね。

生豆の輸入業を始めない方が良い理由

原料商売に共通して言える事ですが…

・メチャ利益が低い
・キャッシュフローがメチャ悪い
  →取り扱い規模にもよりますが資金がメチャ必要
・専門性が高い…勉強が必要
・物流(貿易)に関する知識は必須
・生豆の保管場所の確保が難しいかも
・生産国とのやり取り、メチャ大変
・リスク・リターンのバランスが悪い
・生豆売るの、簡単じゃないよ?

細かい話をしだすとキリがないので割愛しますが、とにかくやめた方が良いですよ。言い換えると商社の「大変さ」とも言えますね。この数年だけ見ても、参入して退場した会社を数社知っています。
それでも「私は生豆の貿易をやるんだ!」って方いらっしゃいます?
もし良かったらコンサルさせてください!全力で説得します(笑)

残留農薬の恐怖
コーヒーを輸入したはずが、砂を輸入してしまった話

検疫で残留農薬でも出ようものなら他の輸入会社から総スカンです。
nってか、残留農薬が検出されてしまったら、同じ国から輸入する全てのコーヒーが精密検査(モニタリング検査)を受けなくてはならなくなります。検査コスト(数万円)は輸入社持ちだし、通関するのに通常の通関比2週間位長くかかったりします。それも残留農薬が検出された会社だけでなく、他の全ての会社のコーヒーも一律に強制検査になりますからね!一旦検出されちゃうと半年以上は強制検査が続きますし。そりゃ、他の商社に睨まれる訳です。
たまに少しだけ輸入する会社にとっては大した話ではないかもしれませんが、その半年間に何100コンテナも輸入する会社からするとかなりのダメージになってしまいます。なので、もし始められる方がいるのなら、農薬然り、あらゆることに気を配って取り組んでいただきたい訳です。食品の貿易経験の無い方は辞めといた方が良いですよ。結構な確率で大火傷しちゃいます。
※弊社には食品輸入のスペシャリストがいるので商社業務を行えています。
   私はそんなに詳しくありません。

残留農薬が検出されたらどうするの?

しかも、農薬が検出された場合に取り得る選択肢は3択しかありません
①生産国に送り返す、②日本で滅却処分(焼却)をする、③その農薬が受け入れ可能な他の国に売る、という3択になります。
輸出業者が返却を受け入れてくれるのか?返金をしてくれるのか?輸送料を負担してくれるのか?ちゃんと連絡が取れるのか?
…これから輸入業を始めようとしている方、大丈夫ですか?
ちなみに、ある友人は1コンテナの生豆を輸入した時に手前の2列以後の麻袋に砂が入っていたようです。当然輸出業者とは音信不通…恐怖ですよね。
結果、彼は1,000万円分の砂と欠点豆を買ったようです。

島田は生豆業に就いたことを後悔しているのか?

そんなオススメ出来ない仕事に就いてるならば、お前は後悔しているのか?と疑問を抱かれたかもしれませんが、
結論…全く後悔してません。
いや、むしろめちゃくちゃ楽しいです。天職なのかもしれません。
何が楽しいって…いつか書きますね。

2017年4月に当社が立ち上がって以降、弊社の生豆部門に志願してくれた人で生き残れた人は1人だけ…去ってしまった人は6人います。(管理職としては恥ずかしい限りです。)パワハラ…では無い…はず。
生豆の仕事ってすっっっごく地味なんですよ。焙煎士さんや、バリスタさんは比較的様々な場で露出がありますが、生豆屋って露出がほぼないですからね。基本的に黒子なんです。
往々にして想像していらっしゃる生豆業務と、実際の業務とのギャップがあるようです。

仕事の割合は
【顧客への営業20%、事務作業75%、産地訪問5%】

事務仕事が大半を占めています。大体そんな感じです。
もっと産地に行けると思ってた?いやいや…駐在したらしょっちゅう行きますが、輸入業者はそんなに頻繁には行きませんよ。しかも行けるのは3年後以降です。買い付け業務で行くとしても年間で30日くらいです。

それでも弊社の生豆チームで働く事に興味がある方、是非ご連絡ください!
生豆業界未経験者で20-30歳くらいで生豆の仕事に興味のある方、
どなたかいらっしゃいませんかね?
未経験者の場合、覚えなくてはならない事が多いので歳を重ねているとシンドイのではないかな〜と思って「30歳くらい」と書きましたが年齢は不問です!

商社の仕事

あ、また脱線してましたね…。ここからダッシュでまとめに向かいます。

輸入商社は、以下のような仕事をしています。
① 産地に依頼したオファーサンプル(OS)の品質を検査する。
② 農薬検査を行う。(←ケースバイケースですが)
③ 品質・価格のバランスが良ければ輸出業者との間で売買契約を交わす。
④ 産地に収穫・調達状況を定期的に確認し、
 輸出前サンプル(PSS)の到着に備えつつ、販促資料の製作を行う。
⑤ 産地から届いたPSSの品質を検査する。
 →品質に問題なければ製造依頼 / 問題があればロットの変更依頼を行う。
 (顧客に品質を確認してもらう。)
⑥ 船の予約を行い、輸出業者に船積み依頼を行う。
⑦インボイスやらパッキングリストやら、様々な書面の送受信を行う。
 → 輸出業者から請求書が届いたら入金処理・会計処理を行う。
⑧ 船会社と緊密に連絡を取り船の接岸日を確認し、通関業者・倉庫会社・
  運送会社らと入港準備を進める。
⑨ 入港後、通関業務/植物検疫/納税/庫入れ業務/等々を進める。
⑩ 到着サンプルの検査を行う。/ 契約スペックに準拠しているか確認
⑪ 顧客にサンプルを送り営業・販売する。
⑫ 顧客との間で締結した売買契約に基づき引き取りがされているか、
  不良在庫が発生していないか、与信限度を超過していないか等々の確認を
  日々行いつつ商いをする。
⑬ 月次業務を行う。
  請求&棚卸倉庫会社の帳簿と社内の在庫台帳の間で誤差がないかの確認
⑭ 次回の調達に向けた準備(サンプル依頼等)を行う。
→①に戻る。&無限ループ…

ザックリ説明するとこんな感じですね。
文章力のせいか文字にすると全然楽しそうじゃないですね…
めちゃ楽しいんですけどね〜。

今日の④に関する話はこんなところです。
色々なリスクを負い、リスクをヘッジしつつ、たくさんの人の手を介しお客様の元に商品を届けています。
今回は残留農薬についてのみ書きましたが、リスクはそれだけではありません。
収穫が遅れたり、予定していた船に積めなかったり、3週間後の船しかブッキングできなかったり、日本に到着する予定が抜港してしまい韓国止まりになってしまったり、相場が急騰したり、PSS飲んだら全然味が違ったり…
最近の生豆業界の話題は【 相場高騰 & コンテナ不足 & ノンデリ 】ですね。
ほんと色々なトラブルが毎日の様に起きるんです。

お読みいただいている自家焙煎業社 様
「生豆屋も意外と大変なんだな〜」と思っていただけましたら、取引している生豆屋さんに優しい言葉をかけてあげてください。
きっと来期も美味しいコーヒーを調達してきてくれます。

最後までお読み頂きありがとうございました!

次回は、、、【⑤ 問屋/小売業者】を書こうと思います。

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文責 島田ゆう

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