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研修の場で感じる「対話」の価値と研修の意味~WSDアドベントカレンダー2023~

青学WSD25期の しまちゃん こと島田正樹です。
昨年に続き、今年もワークショップデザイナーのアドベントカレンダー企画 WSDアドベントカレンダー2023 に参加しています。

担当する12月2日(2日目)の記事をお届けいたします。


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ワークショップデザイナー的にこの1年を振り返ると……。

自主企画としてワークショップを開催するよりも、依頼されてプログラムデザインやファシリテーションをお手伝いしたり、キャリアコンサルタントとして研修の講師を務める場面が多かった印象です。

・育児休業からの復職支援
・ワークライフバランス
・女性管理職の勉強会
・公務員のリスキリング
・公務員のキャリアデザイン   などなど

特に今年は、新型コロナウイルス感染症の拡大で休止していたものが再開されているためか、対面での場のご依頼が増えています(同時に、オンラインでの講座や録画での配信なども続いているのは、「新しい生活様式」なのかもしれませんね)。


そんな中で、改めて感じたのが「対話」のある研修の意味です。


ワークショップにおける対話の場には、自己開示や他者理解をつうじた「交流」、異なる考え同士が接することによる「学び」「気づき」「創発」といった意味がありますよね。

研修の場における対話の場の意味も基本的には同様です。

ただし、あくまで私の中の研修観なのですが、研修では仕事の一環だということもあり「学びを職場に持ち帰る」という目的に引きずられる気がします。その結果、「交流」はあくまで学び等のために場の質を高める手段という位置づけになりがちです。

受講者が気持ちよくリラックスして本音で話すことができるように、対話の時間を設けて「交流」を図り、そうやって整えられた空気の中で「創発」や「学び」のための対話に臨む。

どちらも対話の意味であり価値ではあるのですが、研修の場ではどうしても「交流」自体は目的というより手段になりがち、というのが私の感覚でした。


でも、今年、その感覚が少し変わりました。

きっかけは、今年の11月に実施した「育児休業復職支援研修」の準備で、前回(2022年)の受講者に話を聴いたときでした。

【育児休業復職支援研修
私が所属する市役所で実施している研修で、育児休業を取得し復職して1年以内の職員のうち受講を希望する職員が受講できます。
研修では、キャリアコンサルタントとして公務員としてのキャリアデザインや子育てとキャリアの関係などについてお伝えするとともに、ワークショップデザイナーとして要所要所で対話型のアクティビティを交えて学びが深まるようにプログラムをデザインしています。

前回の受講者の話を聴いていて、改めて「育児をしている職員の孤独感」について考えさせられたのです。

★同じ職場に同じように育児をしながら働いている職員が少ない
★他の職員と比べて時間の制約などがあり「配慮」されている

こういった事情から、育休から復職した職員がいる職場には、他の職員も当事者もどこか互いに線を引いている雰囲気があるようです。

そういう中で、どうやらこの育児休業復職支援研修が、同じように育児をしながら働いている同世代の職員と気兼ねなく話ができる貴重な機会になっているらしいということが分かったのです。


そうであればと、今年の11月に実施した育児休業復職支援研修では、受講者同士の交流を意識した対話の時間を増やすことにしました。

互いの仕事の経験を共有し互いに労ったり励まし合う時間をつくったり、育児中の職員を題材にした演習でグループの中で話し合いながら考えてもらったり。

午前から始まった丸一日のプログラム。対話の時間を挿むごとに会場の雰囲気が温かくなり、プログラムを進めながら柔らかくなっていく受講者の表情に私もホッとしました。日々の子育てと仕事の両立の中で感じるモヤモヤを吐き出して、仲間同士で労わったり共感したりする中でのカタルシス効果も大きかったように思います。

もちろん学びの部分も手放しませんが、対話の場をつうじて受講者同士の「交流」を図り、子育てと仕事へのモチベーションを回復してくれたのではないかな、そんな気がします。


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本来、研修の場は仕事の一環として学びを得て、それを職場に還元するのが主な目的ではあります。

ただ、このコロナ禍を経て少しその意味が変わってきているのかもしれません。

職場における人間関係の在り方も変わり、対面で職員/社員同士が直接コミュニケーションをして相互の理解を深め関係性を育むことが、相対的に高コスト・高付加価値な行為になっている気がするのです。
「オンラインで済む会議を対面で開くともったいない」なんて言いませんか?
研修も動画配信やオンラインの形式が増えて、職員/社員が集合して実施するものは限られるようになりました。

職員/社員が対面で集合するのがとても贅沢なことになった社会で、それでも集まって実施する研修があるとしたら、そこでの対話の場の意味は何でしょうか?

対話の場への期待は、従来のように学びのための質の高い雰囲気づくりに留まらず、集まる受講者の関係構築の占める割合が高くなっている、そんな気がします。


そうだとしたら、私のようなキャリアコンサルタント×ワークショップデザイナーだからこそお届けできる研修の場があるはず、そんなことを来年に向けて考えています。


ちょうど最近、ご依頼いただいた研修もやはり「コロナ禍で職員同士のつながりがつくれていない」という問題意識から「交流」の時間をどのように整えるかという話になりました。

対面での研修に対して、職員/社員同士のつながりをつくる場としての価値がますます求められるようになるとしたら。

その流れの中で、対話による学びの場づくりの専門家であるワークショップデザイナーとしてこれからも学び続け、様々な職場に対話の場のある研修をお届けしていけたらと思います。


おしまい。



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