センパイ著者にききました#03/後藤好邦さん②(全4回)
2月に初の単著『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』を出版した私、島田正樹が、同じ地方公務員として先に本を出版している「センパイ公務員著者」にインタビューをするシリーズ。
三人目は、山形市に勤める後藤好邦さん。
後藤さんがどのようにして日々原稿の執筆をされているのか、また、どのような想いで「ネットワーク活動」に取り組まれ、将来に向けてどのようなビジョンをお持ちなのかお聴きしました。
◆「管理職の気持ちもわかってあげたほうがいいよ」という気持ちの変化
―― よろしければ今の企画部門でのお仕事を少し教えていただいても良いでしょうか。
後藤さん:企画調整部企画調整課というところで、企画調整部の筆頭課として部長の秘書みたいなことや部内の調整、あとは例えばワクチン接種のプロジェクトチームの事務局といった全庁的なプロジェクトの調整が自分の仕事です。
あと仙台市との連携は交通の時からずっと持って自分の仕事としていて大事な仕事です。だから企画を調整する仕事と仙台市との連携というのがメインの仕事ですね。
―― これまで行革、国体、交通とプロジェクト的な事業で成果を上げてこられました。一方で、企画調整部でのお仕事はまさに調整役。今までのお仕事からの変化はどのように感じておられますか。
後藤さん:そうですね、仕事の質が変わったのと、あとは係長が外れて単独の課長補佐になったというのが大きいですね。
去年までは政策調整係で庁内のプロジェクトの調整をしていましたが、たまたま私がいた1年間は計画策定の年だったので総合計画を作るというプロジェクトも担当したんです。全庁のプロジェクトの調整もしながら、自分のチームも事業を持ちそれを形にしていくというのが去年までの働き方でした。
今年は係長を外れたので自分のチームとしてそういうプロジェクト的な仕事を担当することがなくなって、それを管理職に近い立場としてサポートするポジションに変わったわけですよね。どちらの仕事がいいかというより、自分が合わせていくということだと考えています。
だから今までは「自分が」何をするかというものだったのが、これからは「課の人たちが」どうやったら仕事しやすくなるのかというふうに仕事の質が変わってきたと思っています。
個人的には自分でプロジェクトを持って何かいろいろやってる方が楽しいですね。
―― お気持ちは分かります。
後藤さん:親になって初めて親の気持ちが分かるのと一緒で、課長に近い立場になって初めて課長の気持ちがわかるということも実感しています。若い頃は「課長がもっと理解してくれれば」とか思ったこともありますけど、やっぱり課長は課長で、幹部の気持ちと普通の職員の間を取り持ってできるだけ部下の思いを形にしてあげようとは思うんでしょうけど、なかなかそうはいかない部分もあって。
だからなんとなく管理職が変わればみたいなことを若い頃は思っていたけれど、管理職の気持ちもわかってあげたほうがいいよというような気持ちに変わってきたかな。
―― それは素敵なお話ですね。
後藤さん:若い頃の自分は、上手に管理職のせいにしていたところもあったと思うんです。でも、もしかしたら課長のために上に説明しやすいような状況を作らなかったのかも、資料を作らなかったのかも、とか自分にも責任があったんじゃないかって、当時は思わなかったそんな考え方みたいなのが出てきましたね。
―― 自責思考ですね。
後藤さん:いろいろな立場の人を見ていると、何となくそういうふうに感じて何ごとも人のせいにしていてはいけないなぁと思いますよね。
―― 自責と他責の2軸で比較するのは単純すぎるかもしれませんが、自責の方が幸せなんじゃないかなって感じることはあります。
後藤さん:他責にしちゃうと結局自分ではどうすることもできないですからね。
―― 本当にそうなんですよね。自責で考えるということは自分でどうにかできるということの裏返しですからね。
後藤さん:そのほうが気持ちが楽な部分もあると思うんですよね。
―― 「そんなこと言ったってやっぱりあの人たちが悪いのに」とか「それって私が悪いっていうことなの」っていう反応はありませんか。
後藤さん:そうですね。私の周りにいる人はそういうふうに思わない人が多いですね。でも役所全体を見渡せばそういう人は多いかもしれません。あと他責で考えて何もしない人もたくさんいますからね。
◆普段の仕事ぶりが全然だめだったら共感してもらえない
―― 2冊の本を出されたときの周囲の反応はいかがでしたか。
後藤さん:「本を出したんですねーすごいねー」みたいな事はなく、逆に「なんであんた本なんか出しているの」なんていうこともなく、プラスもマイナスもリアクションがないですね。
ただ仕事で電話をしたときに相手の人から「後藤さん本を出したんですよね。すごいですね」なんて言われたことがありました。
あとは思わぬところからメールが届いたり。本を読んでもらえても、普段の仕事ぶりが全然だめだったら共感してもらえないと思うんですよね。でもその共感したっていう手紙をくれた方はそういう目で見ていてくれたし、本に対しても共感してくれたし、これからも応援してくれるっていうコメントももらえたのでそこはすごく嬉しかったですね。
―― そういうメッセージが届くと嬉しいですよね。後藤さんの本は地元の書店でも応援してもらえてましたよね。
後藤さん:そうですね。最初、他の課の人から聞いたんです。2冊目を出したときには本屋回りしていないので、どういう状況かわからないんですけど、「本屋の1番目立つところに置いてくれてましたよー」なんていう話も聞きました。あまり本を読まないうえに、購入するときもAmazonを利用することが多いため、本当に申し訳ないなぁと。
―― 1冊目の時だったでしょうか、息子さんと一緒に本屋さんで写真撮ってましたよね。
後藤さん:あの時はびっくりしましたからね。そこの本屋さんで働いている方から妻に連絡が来て「2冊目ももまたポップ作って紹介するので別な写真を送ってください」という連絡が来たみたいなので、ありがたいなと思いますね。
―― すごいですね。地元もしっかり応援している感じですね。
後藤さん:本当にありがたいことです。
◆その至福の時間を楽しみたいから起きられる
―― 後藤さんの朝活のお話は有名ですが、原稿を書くのも朝ですか。
後藤さん:そうですね。「よく起きれますね」って言われますね。
―― 後藤さんは単行本だけではなく、連載もあって、講演や研修もありますし、1日4時間あっても大変なんじゃないかと思いますけど、朝ははかどりますか。
後藤さん:朝が1番はかどりますね。何者にも邪魔されないじゃないですか。人に限らず、テレビもやってないし、当然電話もかかってこないですから。ゆっくり自分のその時その時の優先度の高いことができます。そこは朝の時間が1番効率的であり効果的だと思いますね。家に帰って子どもたちが騒いでいるところで文章書くなんて絶対無理ですもんね。
―― 朝の静かな時間の中でじっくり文章を書いている時間って、後藤さんにとってどんな時間なんですか。
後藤さん:なんですかね。朝起きてお湯を沸かして、自分でコーヒーをドリップで入れて、テーブルに座ってパソコンに向かって書き始める。そこって唯一自分一人の時間なんですよ。
それって他に気を使う事が全くないわけですよね。自分で使える自分だけの至福の時間。なんで起きられるのかって言われれば、その至福の時間を楽しみたいから起きられるんです。人間やっぱり好きなことに使う時間があって、それって何物にも勝るじゃないですか。お腹が空いていても、ほかに何かいろいろな楽しみがあっても、それが一番最良だと思えばそれに対して全集中できるわけですよね。それが私にとっては朝活の時間なんですよ。
その時間がうっかり寝過ごしちゃったりして短くなるとすごく無駄な時間と感じてしまう。だから起きられるし、だからその時間を大切に有効に使おうと思うわけなんですよね。それが朝活の時間なので。
自分の時間が欲しいとか皆さん思うと思うんですけど、公務員はお金って自由にはならくても、時間はうまく工夫することによって自分で作り出せるのでその1つの大事な時間帯として朝があるのかなと私は思っています。
―― 私も子どもの頃ファミコンがやりたくて朝早く起きたりしましたもんね。比べるなって感じですが。
後藤さん:いやいやそれと同じだと思いますよ。自分の好きなことだからできるんだと思いますね。だから寝ることが好きな人なら寝るほうがいいんだと思いますよ。
―― 夜はほぼお子さんと一緒に寝るような感じですか。
後藤さん:そうですねー、最近だと私のほうが早いくらいですよ。さすがに9時過ぎまで仕事して帰ると下の子は先に寝ていますけどね。
>>「センパイ著者にききました#03/後藤好邦さん③」に続きます。
★ご報告★
おかげさまで初の著書を出させていただきました!
主に若手公務員を対象に「公務員が充実した気持ちでイキイキと働くことが、住民の幸せにつながる」という信念のもと、「自分の人生のハンドルは自分の手で握ろう」というメッセージを込めて書かせていただきました。
そのあたりのことは、こちらの記事でもお伝えしています。
よろしければお手に取っていただけたら嬉しいです。
また拙著に関連する記事はこちらのマガジンにまとめて掲載していますので、併せてご覧ください。