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絶対ヲタクになりたくなかった私が、中学生のヲタクになっていた。

ヲタク、という言い方が昔から好きじゃなかった。

黒縁メガネにチェックのシャツ、頭にバンダナを巻き、短すぎるリュックを握りしめている。これが私のヲタクのイメージ。
「○○ファンだよね!」を「○○ヲタクだよね!」と少し言葉を変えられただけで、周りの反応は一気に変わる。

別に意味はさほど変わらない。
ただヲタクと言ってくるその口の持ち主は
少し遠ざけるようにして、冷たい目を向ける。

だから。
私は違う。この私は絶対違う。ヲタクじゃなくてファンだ!
そう思い続けてきたし、言い続けた。実際チェックのシャツなんか着たことないし。

ずっとそのはずだった。
が、そのときがきてしまった。


ヲタクになった。


私立恵比寿中学とは

公式ホームページより

私立恵比寿中学(しりつえびすちゅうがく)は、スターダストプロモーションに所属する女性タレントらで2009年に結成された日本の女性アイドルグループ。愛称はエビ中で、「永遠に中学生」を掲げた10人組グループ。秋田県大使・あきた美の国ガールズに任命されている。
ももいろクローバーZ、TEAM SHACHIなどのグループと共にSTARDUST PLANETを構成する。

Wikipediaより

私の応援している私立恵比寿中学とは。一言で表すなら、んー、あぁ、無理だ。一言じゃ収まらない。ということでWikipedia参照。今年で結成14年目のアイドルである。

私立恵比寿中学のファンの愛称はファミリーエビ中ファミリー)、ライブは学芸会、チーフマネージャーは校長など、中学生や中学校に関わるフレーズで呼ばれている。

そう言われつつも設定は正直ガバガバ。ライブのことはライブと本人たちが言ってしまうし、グループ名通り中学生コンセプトながら10名中5名は成人済み、現役中学生は3人のみ。永遠に進級システムをとっているため、この春に最年長は、もはや生まれてから義務教育終了までの期間と並ぶ中学15年生の大ベテランになる。
(あと1か月もなく誰一人中学生ではなくなる。あくまでリアル中学生では)

普段はアイドル楽曲は全く聴かない私。2年前、ファーストテイクで出逢ったグループ。一言じゃ言えないパフォーマンスそのものに惹かれて、どんどん飲み込まれていった。

地方住みの私。田舎出身である程度街に進学してきたけど、生きてきた中でなかなか生の音楽に触れる機会というのもなかった。でも、せっかくなら。

そうして、去年の春ツアー札幌公演に初めてライブに参戦。とんでもない衝撃だった。

かわいい。かわいすぎる。


おいおい。たぶんちょろいなコイツ、と思ったであろう。いや、よく考えてほしい。(言い訳タイム)

私はド田舎出身なのだ。可愛い子なんてどこにもいないし、芸能人は実は存在していないんじゃないかとわりと最近まで疑ってた人間なのだ。
(都会に出たら芸能人いないかなぁとキョロキョロするタイプ)

そんな人間の目の前で(2階席だったけど)歌い踊ったら、そりゃまぁ惚れる。実際「ハイタテキ!」という曲の中で「惚れたっ!」というセリフがあるが、人生初エビ中のライブ、心の中で全力で叫んだ。声にはならなかった(できなかった)けど。

ホテルに帰っても耳の中で響き続けるベース音と歌声の記憶。
余韻に浸りながら忘れまいと必死にメモを取った。セットリスト、自己紹介、MCの内容、感想などなど。興奮のあまり書き留めたメモは、どこのだれの目線なのかもわからない、ぐちゃぐちゃで、ひどくくさい言葉だった。個人的この世に放たれたくないメモ第3位に君臨している。

そして、とどめの出来事が起こる。
実は次の日、駅で空港に向かう御一行に遭遇するという奇跡。
近距離を通りすぎていっただけだけど。テンパって話しかけられなかったけど。何も知らない友達を盾にして頭隠して尻隠さず状態だったけど。気づかれたところで何かあるわけではないが、影が薄いので気づかれてはいない、はず。

その後、テンパったまま3000円のチャージをしたばかりのsuicaを落とした。
2度と帰ってくることはなかったけど、そんなのどうでもよかった。

笑われるだろうが、本気で運命だと思った。このグループに出会えてよかったと心の底から思った。少し遠くから応援していたつもりだったけど、こうなっては推さないわけにはいかない。


春を前にして

月日は流れてついこの前。

2023年、今年の春ツアーが発表された。声出し解禁ツアー。地方住み&学生の私は関東でのライブには基本参加できない。だから、参加できるのは春ツアーのみ。行くしかない。

地元である北海道公演。いったい今年はどこでいつかな?なんて見ていると

6月3日(土)北海道 苫小牧市民会館 大ホール

ん?

んん??

苫小牧、、、、

なぜに⁉(まじで)
なぜに苫小牧?校長、、とま、苫小牧か、、、、遠のいた、、、

札幌のどこかだと思い込んでいた。
札幌以外となると道内からのほうがアクセスが悪くなるときがある。場所によるけど。新千歳空港から1時間ちょっとでも、北海道にある実家から公共交通機関で行こうとするとは8時間かかる。片道で。往復16時間。北海道なのに。
1番知っているはずだった「北海道はでっかいどう」という言葉をすっかり忘れてた。

のちのち見てみるとテスト期間にまるかぶりということが発覚。たぶん、うん、これは、、、

母「ダメです。」

ですよね。進学で一応実家から出てはいるけど、会場までは遠いので確実泊まり。土日つぶれるからねぇ、、、
その後説得しようとするも敵わず。母強し。

でも。でも、これじゃ

私の春が始まらない!!

ツアーに行けない=今年の現場なし はキツすぎる。
ここは、どうしても行かなければ!会いに行かなければ!と必死で考えた結果。

4月29日(土・祝)福岡県 キャナルシティ劇場

ちょうど学校が終わる日にここを出れば行ける。そこからはゴールデンウイーク休み。いける、これならいける!と思いつつ、さすがに親は

母「いいじゃん!」

いいの?それはいいのかい。北海道から福岡ですけど。

思い立ったらすぐ行動派なのでファンクラブに入会、無事ファンクラブ先行を勝ち取り福岡行き決定。

(兄からは苫小牧にも勝手に行くのではないかと言われている、否めない)


つぶやいてみる

ちょこちょこ見てただけのTwitter。特に何かをツイートすることもなく、とりあえずエビ中だったりキャンペーンをいいね&リツイートするだけ。

といいつつ、”エビ中ファミリー”のファンでもあった。

エビ中公式をいいねすることから、おすすめとして流れてくるファミリーさんのツイート。なんて面白い人たちがいるんだ!とずっとひっそり楽しんできた。特典会の内容というかインパクトしかないレポート。エビ中ファミリーキッズたち(本当にかわいい)。一緒にご飯してたり飲みに行ってたり。

めちゃくちゃ羨ましかった。

福岡行きのチケット。
そうだ、この機会につくってみよう。Twitterやってみよう。極度の人見知り。自分から絡みにいけないかもしれないけど、この気持ちを、エビ中が好きってことを、誰かと共有してみたい……!!

新しいアカウントを作成、、、そうだな、名前は北海道らしくシマエナガ(そういえばライブに来たときぬいぐるみで遊んでたな)と苗字からとって「シマまる」にでもしておこう。

なんてどうこうしてるうちに
私はヲタクになった。

クソ楽しかった。


音楽が好きだ

ここから少し、それた話をさせてほしい。

私は音楽が好きだ。

邦ロックや同じスターダストプロモーションのEBiDANはよく聴いていた。でも、女性アイドルは見ていなかった。いや、見られなかったのかもしれない。

私が小さい頃AKB48が全盛期だった。大好きだった。短冊の願い事には「AKBになりたい♡」なんて書いていたし、テレビ番組は全録画、CDは絶対買ってもらっていた。

当時の推し、つまり、私にとっての初めての推しは高橋みなみさん。
小柄な体ながら強い芯を持ち、グループを引っ張るその背中が好きだった。子供にしては大人びた考えを持っていた私だから、単純にかわいいだけで応援してるわけじゃなかった。こんな大人になりたいと思った。

高橋みなみさんの卒業を機に私はAKBを見るのをやめた。

10歳も近くなると自分を客観視できるようになっていた。
AKBいいよね!と言ってくれた友達。あのいいよね!の後ろには”www”があって、いじられていたと気づいた。
熱中していた私にはまったく見えていないことだった。きっとヲタクが嫌になったのはこれがきっかけだったと思う。

これ以上好きになってはいけなかった。そう思った。そんなことないんだろうけど、これ以上好きになっては引き返せないと思った。
録画してたテレビも全部やめて、CDもまったく聴かなくなった。親が心配してか新曲を買ってきてくれたことがあったけど、離れなきゃと思っていた私はそのCDを開けることはなかった。

そこからアイドルに触れることは全くなく育った。たぶんキラキラしたアイドルを見るのが嫌だったのだと思う。かっこいいと思う自分が、彼女たちのようにそうはなれない自分が、嫌だったのだと思う。

そして2年前、私立恵比寿中学に出逢った。

アイドルじゃないという言い方は失礼かもしれない。違う言い方をするなら、アイドルという枠を広げるどころかはみ出している。そんな感じ。
気づいたらいろんな曲を聴いていた。Wikipediaや過去のインタビューを読み漁っていた。この人たちについて行きたいと思った。

キラキラを追いかける感覚ではなく、一緒にキラキラに向かっていくイメージ。そんなの初めてだった。


推しの話をしよう

ここまでグループ全体にしか触れてこなかったが、もちろん私には推しがいる。

宣材写真より

風見和香ちゃん。通称、ののかまる。2007年生まれの15歳。
世代だとそこまで変わらないが、もちろん年下になる。かわいい。

ファーストテイクでエビ中を知った私。そこに推しの姿はない。
2021年5月に転入(加入のことを中学なので転入と呼ぶ)した彼女。ファーストテイクが公開されたのはその2か月後である7月。参加したのは先輩メンバーにあたる6人のお姉さんたち。新メンバーだったののかまる含む3人はレッスン真っ最中だった。

6人のおかげで、私の今がある。

最初はエビ中の新メンバーの子というだけだった。
真面目でいい子そうな子な和香ちゃん。新メンバーか、頑張ってほしいなぁぐらいしか思っていなかった。(そこまでグループのメンバー自体にも深入りはしてなかったため)

初参戦した春ツアー。
お姉さんメンバーの一人である柏木ひなたちゃんの卒業、新たに新メンバー加入が発表された直後。私を虜にさせた9人のエビ中を見れるのは最初で最後。

真っ白な彼女から目が離せなかった。

初めてこの耳で生で聴いた楽曲「全力ランナー」。
ののかまるの歌い出し。その一瞬はスローモーションのような時間の流れでぎゅっと胸が熱くなった。何一つ嘘のないまっすぐで伸びる歌声。
経験を積んできたお姉さんメンバーと比べてしまうなら、まだまだ成長途中。だけど、未来の大きな影がうっすら見えてくるような子。

頑張ってほしい。いや、一緒に頑張りたい。
一緒にだなんていうとおこがましいけど。ののかまるが頑張っている姿を見ると奮い立っている自分がいる。

ののかまるはグループ内でも努力家だと言われることが多い。学業と仕事の両立をしながら常に上を目指している。ならば、私だって頑張ろう。心の底からそう思える。

ファンの愛称は「ののかまるの犬」(公式なのかは謎)。
「私にとってエビ中ファミリーは犬の散歩のような存在です!」と答えたことがきっかけ。え、犬?と正直最初はなったが、愛犬のQOOちゃんと小さい頃から過ごしてきた彼女に全く悪気はない。
天然なのかボケているのか、ののかまるは真面目が故に1周回ってクレイジーだなと思うことが多々ある。そんなところもすごく愛おしい。

こうして私は
単純に、そして従順に。

犬になった。


ヲタクになって。

ここまでくると、もう否定のしようがない。
貯めたお小遣いで遠征をキメるのは完全にヲタクである。

でも一つ、変わったことがある。


ヲタクに誇りを持っている

確かにヲタクという言葉に抵抗がないわけではない。染みついた考えだとか悲しかった経験とか。ついこの前、兄から「ヲタクやん、きっしょ」と言われ傷ついたことには傷ついたが。

この”好き”に間違いはないと思う。

堂々と言おう。
私は私立恵比寿中学が好きだ!ヲタクだ!ファミリーだ!
風見和香が好きで、こんな言葉人生で1度も言わないだろうと思っていたけど、正真正銘の犬だ!!

今までずっと、自分の好きにどうこう言ってくる人ばかりを見ていたのだと思う。自分の好きを否定する人を気にして、口から決して出ないように気持ちに蓋をしてきた。

でも。

好きなものは好きだ。
好きな人が好きだ。
誰が何と言おうと好きでしかない。ただそれだけのこと。

Twitterの中には毎日推しへの愛をつぶやく人がたくさんいる。でも、そこに誰かが文句をつけることはほとんどない。推しのここが好き、推しのこんな場面が好き、それぞれが自分の好きを持っていて、交換しながら共存している。

どんな推し方をしてもいい。どんな愛を叫んでもいい。

そんな当たり前なことをすっかり忘れてしまっていた。
どうだっていいじゃないか。好きに正解も間違いもない。好きなことを好きな人としていれば、ただそれだけでいいことじゃないか。

すべての人と分かり合うことなんてできない。
わざわざ傷つく必要もない。それはしょうがない。

ただ、好きでいること。ただ、まっすぐに推しを推すこと。

まだまだ短期間ではあるけど、Twitterを見ててそう思えた。


自分の好きを貫く

ヲタクって最高だ!

いつかエビ中ファミリーと乾杯してみたいな、なんてちょっとした夢がある。まだ未成年だけど。そのいつかは、推しについて堂々と口に出して話してみたい。

それまでも、それからも。私はきっとヲタクだろうな。笑


ただのヲタク。シマまる。


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