戦争を語り継ぐ

学校では先生達が、実に様々なことを話してくれた。
空襲で、体の一部を無くした飼育小屋の動物が校庭を走っていた話や、火の海を家族と逃げたり、生徒達と逃げた話もあった。
父が、東京大空襲について話してくれた。
祖父が、歯舞や樺太にいた頃のことを話してくれた。
祖母が、空襲警報で押入れに飛び込んだ時のことを話してくれた。
母が、米軍機からビラがまかれた時に、田んぼに飛び込んで、泥だらけになって息をひそめて隠れたことを話してくれた。
お百姓さんのお昼のお弁当は美味しいお米だったのに、教師の子供だった自分のお弁当は夏の暑さで腐っていたことを話してくれた。
コンクリートの壁に、人間の油で焼け焦げた人型があったと話してくれた方がいる。
気象台の日原簿には、横浜空襲の記事がある。
露場に、焼夷弾が落ちた記述がある。
戦時中の天気図には、軍事秘の朱印がおしてある。
私がサポーターになって文通していた中東の子がいたコミュニティは、武装ゲリラに襲われて職員が殺され、コミュニティは持続不可能になり、その子の家族は別の地域に逃げたそうだが消息は不明になった。

このようなことを生徒さんに話すと結構驚かれます。
身近な人から戦争の話を聞いたことがないと言言います。
核家族化や若い先生が増えたことで、こんな話を聞く機会が減っているのかもしれません。

いわゆる終戦や、それ以前の戦争から何十年も経って、軍事機密の時効が訪れ始め、捏造された事実が明るみに出始めてきました。
原爆はアメリカ主導ではなくイギリスが主導だったこと、戦争回避に尽力しようとしていた日本を無視して真珠湾攻撃させるための工作が行われたことなど。

現代でも敢えて隠されたり事実を捏造される軍事行動が至る所であります。
宗教を否定し大虐殺を繰り返し、香港を力で支配しようとしている中国。
そんな中国が日本を侵略することに危機感を覚えないばかりか親中を貫く人々。
国を守るということがわかっていない人々。
日本という国が良き関係を続ける必要がある国々はどこかを理解できない人々。

受験ではそういう新しい事実こそ問われるべきです。
歴史や政治経済は、壮大な人間の欲望ドラマであるから、だから、過去を学ぶことで現代が見えてきて予測ができるようになります。
だから、次に何をすれば良いのかを考えることができるようになります。
理系科目だって文系科目だって、単なる暗記ものではないのです。
知識を元に考える力をつけていくものなのです。

受験生にも学校にも、忘れて欲しくない。
勉強するということとはどういうことかということを。
必要なのは反論することではなく、立論すること。

広島原爆投下の日、声優の井上和彦さんが、被曝したお父様の手記を朗読した動画をアップしました。
本当の生の想いがつづられていました。
https://youtu.be/NvR5nuv8Ra8

もし戦争を経験して、子や孫やひ孫がいる人がいたら、辛い思い出したくもない記憶が沢山あるだろうけれど、それを無駄な悲しみにしないために伝えて欲しいと思います。
語り継ぐために。

戦争を語り継ぐ。
直接経験した方々から聞いた我ら世代が、今度は次の世代に語り継がねばならない時代になってきたのかもしれません。
現実にまだあることを知らしめるために、それがひどく愚かなことであることを、そして実は日本だって危機に晒されていることを、経験者が少なくなっていく中で伝えなくてはならない。


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