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社員のおすすめビジネス書④

こんにちは、志高塾です。

社員のおすすめビジネス書、第4弾をお送りします!

一見良さそうに思える考え方や、当たり前とされてきたやり方って、決して普遍的な「正解」ではないんだなあと気づかされます。


徳野のおすすめビジネス書『「みんな違ってみんないい」のか?――相対主義と普遍主義の問題』

「多様性(ダイバーシティ)」が謳われるようになって久しい昨今において、多数派が少数派の権利を制限するような構図は問題視されます。その際によく発せられる「人よって価値観は異なる」とか「個性を尊重しよう」というフレーズ。他者への配慮に溢れた素晴らしい言葉のように聞こえるものの、「人ぞれぞれ違うこと」つまり「相対主義」を突き詰めていくと、むしろ、個々人の意志や感情を無視した独善的な人物がのさばる口実になるおそれがあります。

一般的に、相対主義と普遍主義は相反する概念として扱われますが、どちらも「自分とは異質なもの」との対話を軽視している点では通じる部分があります。特に前者に関しては、一つの問題について様々な意見が飛び交う中で「人ぞれぞれだから」などと言って皆が決断を先延しにした結果、そこに付け込んだ権力者が自身にとって都合の良い方向に持って行くかもしれません。そのような事態は民主主義国家では避けねばなりません。大切なのは、すぐに納得できないような主張をする相手がいたとしても、理由や目的を開示し合いながら互いに歩み寄れるところが無いかを探り、社会にとって「より正しいこと」を構築していく過程です。

誰しも身の回りに「この人とはどうしても分かり合えない」と感じるような人がいるはずです。だけど、相手の全てに共感できないにしても、一度腹を割って話してみれば発見があるかもしれませんし、自分にとって新しい風が吹き込む可能性も高まります。本作の著者は哲学科の教授であるため、古今の思想家たちの見解を織り交ぜながら論考を進めていますが、日常的な視点もふんだんに盛り込んでくれており、共通の目的の下で「交流」する機会がいかに貴重であるかを非常に明快に力説しています。

三浦のおすすめビジネス書『いま君に伝えたい知的生産の考え方』

高齢化が進み、かつサービス産業が多くを占めるようになっている現代日本。かつての高度経済成長期のような、ただ上に従ってひたすら機械のように働けば生産性が上がるという「工場モデル」では立ち行かない。生産性は低迷する一方である。長時間労働では生産性は上がらない。ゆえに、それぞれが自分の頭で考えて時間あたりの生産性を上げる「知的生産」が重要となる。例えば、定時を厳守する決まりが出来て初めて、時間内に終わらせるよう自分で考えて工夫を凝らすようになる。そこには「この仕事は何のためにあるのか」「どの工程は無駄なのか」「この作業は機械化できないか」とひたすら考える過程がある。その「考える過程」こそが、知的な、必要なプロセスである。

そして、どうすれば思考を通して生産性を上げられるか。本書では様々な出口氏の基盤となる働き方について多く述べられているが、メインとなるのは既存の成功経験に縛られない、「数字・ファクト・ロジック」を基にすること。そして「人・本・旅」に代表されるインプットと、それとセットで行うべき言語化によるアウトプットである。そうやって情報を蓄積し、身に着け、客観的事実を軸に論理的に思考することができるようになれば、自ずと生産性は上がる。

本書の中には時折、「仕方のないことは仕方がない」という価値観が見える。そうやって見切りをつけることもひとつ、必要なことなのだろう。仕方がないことをくよくよ考えていても仕方がない、それもそうである。

竹内のおすすめビジネス書『先生、どうか皆の前でほめないで下さい:いい子症候群の若者たち』

協調性があると言えば聞こえは良いが、横並びを好み、選択の基準が他者に委ねられている、そのような特徴を持つ人は、「いい子症候群」を発症しているのかもしれない。できるだけ目立たないようにしたいという思いは、授業で質問しないことや、指示があるまで動かないことといった、「行動しない」という行動に表れている。ただ、集団の中で浮いてしまう、という事態は避けたいため、常に周囲の空気を読んだり、情報をキャッチしたりする。異様に器用でもある。

学校での授業中に自ら手を挙げて発言する生徒が多いのは、小学校3、4年生くらいがピークで、5年生以降は徐々に少なくなっていく。それが「周りの目を気にする」時期の始まりであるとも言える。どんどん自分からアクションを起こすことが難しくなり、反対に人に決めてもらうことに対しては遂行することができる。動く「理由」があると動くことは難くない。

全ての若者がこれに当てはまるわけではないにせよ、就職活動や社会貢献に関する意識調査などでは、このような傾向が強く見られるようになっている。金沢大学で教鞭をとり、学生たちと日々接している筆者はこのことに警鐘を鳴らし、彼らがこいねがう「安定」や「普通」は画一的に存在するものではなく、その考えを捨てなければいけないと指摘する。それと同時に、自らの中にあるものを取り出せるようになるためには、質問することとメモを取ることのサイクルを回す必要があるということも示している。そして、少し上の世代の大人たちにも伝えている。若者を変える社会を作るべきは大人自身であるということを。

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