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2024年6月の記事一覧
詩「サンカヨウの唄」
雨が降る
君が降る
氷晶のような硝子のような
遠くの記憶より来る
なつかしいきらめきと
サンカヨウ見たことないの
雨とまじる香り
高山地域にそっと咲くんだ
こんな花があるんだって
いますぐに君に伝えたいよ
君の笑顔と出会いの痛みを
忘れたくないよ
忘れないよ
神経に注ぐ雨粒は
いつだってきときと
雨降りつづく
レースのカーテン濡らす雫
僕はこの唄を口ずさみながら
己の瞳を潤わせてるよ
爪が奏
詩「いつかのはなし」
鈴を転がす音が反射して
あなたの黒縁眼鏡がきらめいた
まるで木漏れ日みたいな
やすらかで繊細な硝子細工として笑っていた
わたしは受信しましたよ
そんなわたしは
深い海のような慈しみを貪り
広い空のような優しさに瞋る
あなたへのおもいを
玉ねぎの皮を剥くような
言葉あそびに変えて
ずっと本質を避けていたみたい
あなたはわたしの「いちばんすきなひと」
されどもう伝えることは何もない
朝顔は黙ってひら