詩「靴」
今日も人が死んだ
今日も人が生まれた
テレビの向こうも私の内側も大概酷い
私の瞳に映るのは恐怖に震える心
涙にただれたその頬はこわばっている
私の瞳に映るのは自己保身に滾る目つき
下手な作り笑顔のその頬はこわばっている
砂を噛むような世界と私が
今日も静かに崩壊への近道をいく
それでも誰かの手のひらの上で
誰かが手のひらの中の希望を石柱に刻む
私も朝日と共に現る絶望をかなぐり捨てて
今日も布団から飛び起きようと思う
なぜならば世界というものは
テレビの向こうと
私の内側だけではないから
私が飛び起きた世界は
誰かが眠りに落ちる世界
さあ、靴を履いて
歩こうや
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?