見出し画像

詩「うらがえし」

うらがえし
何もかもどうでもいい、という
蜥蜴の尻尾
君を溶かした夕焼け空には
春の余韻すら見当たらなかった
「だから文学も哲学もやるのです」
そんな言い訳は誰も聞かない

うらがえし
もう生きたくはない、という
黒鍵の失われたジャズ・ハノン
私の拙さは病める星となって
人知れず燃え尽きる
「どうか私を分別してください」
そんな泣き言は誰も聞かない

うらがえし
もう決別よ、という
梅雨空を切り込む逆上がり
翠嵐に立つ君の英断は
何よりも優先したいの
「昔の私に期待しないでください」
そんな警告は誰も聞かない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?