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詩「五月雨と文」
雨よ、土よ、草よ、露よ
君らの雰囲気が書かせたお手紙
君らの匂いが僕は大好きで
そのこともお手紙にしたためたよ
じめっとしていて、それでもやさしい君らが
僕の青インクを滲ませようと企てたの、知っているよ
心配なんだ、宛名さえも読めなくなって
このお手紙が広い時代の漂流者になりやしないか
心配なんだ、文字をつぶしたただの滲みが
僕の涙だと思われやしないか
だから、僕にお手紙を書かせるなら
いたずらはやめて
僕の心が醜くも美しくも真っ直ぐ届くように
祈っていてくれないか
開け放つ窓から銀色の雨粒が風とともに振り込んで
僕の皮膚をこどもの笑い声みたく突っつく
やがて僕の心も草の上の露のように消えゆくだろう
それはそれで美しいと君らは言うね
紙に引っ掻いたインクの溝は
多分僕よりは長生きだ
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