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【よっちき会議 1月レポ 】試行錯誤の作戦会議

2023年末、「式根島らしさ」を追求して
名前やビジョンを刷新した新生「よっちき会議」

2024年も更に加速して、1月は企画の内容が具体的に決まった。
企画テーマは、
「よっちき!もちよりサロン」

みんなが好きな飲みもの、軽食を持ち寄り、お互いの話したい気持ちと共に交換する場だ。

それでも、この名前やコンセプトを仲間で共有するまでは、中々一筋縄では行かなかった。
そんな試行錯誤、手探りの道のりを振り返りたい


カフェを開きながらカフェのイメージを膨らませる

式根島は東京よりも南の島とはいえ、真冬の1月はさすがに寒い。
よっちき会議を開く夕方も10℃以下で、島の公民館も冷え込んでいた。

そんな公民館には、誰でも利用できる対面キッチンがある。
会議をやろうと準備を進める時、
「今日はここで温かいお茶を飲もう」と思いついた。

バーカウンターのような作りで、キッチン越しにお茶を入れて渡す。
6人ほどの参加者は横並びでも程よく会話が弾んだ。

12月末のよっちき会議では、食べ物をキーワードに繋がる場のイメージが膨らんだ。
食べ物をきっかけに集まる場の中でも、特におしゃべりの場と愛称の良さそうな「カフェ」
この「カフェ」に、何を組み合わせたらもっと行きたくなる場所になるだろう?

イメージを膨らませるには、
実際にカフェを体験しながら考えるのがぴったりだ。
寒い夜も温かいお茶と雰囲気で様々なアイデアが出た。

カフェに組み合わせたら思わず来たくなることとして、
音楽、演奏、趣味(本、映画、温泉)オシャレができる、などが出てきた。

さらに、運営の仕方としても「持ち寄る」がキーワードになった。
運営側もカフェの素人でなるべく手軽に。参加者も役割を見つけられる。
そんな目的を達成するために、飲み物・食べ物・聴きたい音楽を持ち寄るアイデアが膨らんでいった。

公民館のカウンターは、即席カフェにぴったり

届けたいターゲットは?


運営方法や内容が固まってきた所で、改めて届けたい人を掘り下げてみる。
12月末にビジョンを決めた時、
「家に籠りがちの人とも繋がろう」と大まかなイメージができていた。

実際にどんな人が当てはまるだろう?
イメージをより具体的にするため、
「最近気になる人」が誰か考えてもらった。

すると出てくる出てくる。
「◯さん最近見てないわね。ちょっと前まではつらつ教室(介護予防事業)に来てたのに」
「▢さんもだぞ。奥さんが亡くなってめっきり外に出なくなって、何してるんだろう?」

幸い、よっちき会議の主力メンバーはシニア世代が多く、
「自分も近いうちにコミュニティナースにお世話になるけど、、」と半分冗談を言いつつも半分は本気で、おせっかいをしたい対象の方達はほぼ同世代〜少し上であることが多い。

つまり、身近な「最近気になる人」が1番適した対象だったのだ。
私から名前を挙げることはなかったが、みんなの「気になる人」は私自身が普段の診療所外来で気になる人と一致していた。

具体的な名前が上がった所で、その人の今までの仕事・普段の生活・好きなものを想像してもらった。

釣り?観光案内?でも今は体力的に厳しいか...
歌謡曲は好きかもね。

「気になる◯さん」をイメージしながら話し合うことで
アイデアは自然と絞り込まれていった。

最終的に、5W1Hに沿ってまとめた
いつ:お祭りなど人が集まる時は来づらさを感じるので「何でもない時」
どこ:公民館も人の目を気にするので「空き店舗を借りて」
誰と:「◯さんと▢さん」声掛けはメンバーで元々交友のある人が声を掛ける
何を:飲み物、軽食、聴きたい音楽、話したい気持ち
どうする:「持ち寄る」カフェに必要な道具も含め、持っている人同士で分け合う

左が「届けたい人」の妄想ブレスト、右側が最終的な企画内容

見たことのないものを想像することは難しい


1月の作戦会議では「もちよりカフェ」のイメージで計画がまとまり、
さらに後日、イベントの細かい準備を進める打合せを開いた。

しかし、みんな不安でいっぱいの面持ちだった。
聞いてみると、
「カフェを経営したこともない自分達が運営できるんだろうか?」
という悩みだった。

「みんな経験がないから良いんです。できる事を持ち寄ってやるんですよ」
と伝えても心配はすぐには晴れない。
企画準備は脇におき、まずはメンバーの不安を書き出してみることにした。

「誰がコーヒーを淹れるのか?」「1杯いくらにするか」
「軽食ならサンドイッチ?」「材料は誰が買ってくるのか?」
「調理師免許はいる?」「音楽は誰がかける?」

一通り付箋が揃い、KJ法で分類できた所で、
「持ち寄り」で解決できることを1つずつ伝えていった。

特に飲食は、「飲み物・食べ物を各自が持ってきて分け合う」というイメージがほとんど伝わっていなかった。
各自が持ち寄ることで、お金に換えられないお互い様の関係が生まれる。
責任の所在は曖昧になり、お客様ではなく仲間になる。

食器は空き店舗を貸りるので大抵は揃っている。
音楽はCDプレーヤーを持ってる人は誰かいるだろう。

そう伝えていくとみんな少しずつ納得して、
「私は料理が好きだからちょっと多めに持ってくるね」
「コーヒー豆ならちょうど良いのがある」
「うちのコーヒーサーバーを持って行きますよ」
と自然と役割分担が決まっていった。

「『カフェ』のイメージだとお店をやるのかと思っていたよ。これなら『サロン』とかの方が勘違いしにくいな」
という意見で、
企画名は「よっちき!もちよりサロン」となった。

近年、まちづくり業界では「カフェ」は「人の集まる場所」としてお店よりも広い意味で使われることが多い。
しかし、それはまちづくりの事例を見慣れた人の間だけで、一般的なイメージはやっぱり「カフェ=お店」なのだ。

島の人達にとっても、見たことのないものを想像することは難しかっただろう。

それでも、その壁はお互いの熱意と丁寧な対話で乗り越えられることを確認できた。

雨降って地固まったところで、2月はいよいよ試作版「よっちきサロン」を開催していく。


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