丁寧に生きる日々へ。
ミント緑茶を飲みながら、どうしたら日常に『丁寧』を持ち込めるのか考えている。
ふと、自分が丁寧な暮らしというものから程遠い気がして、ちょっと悲しくなったのだ。
丁寧に暮らす。
それは美しいことでしかない、そんなイメージ。
……… そもそも、どんな暮らしなら『 丁寧 』だというのだろう。
テラスで毎朝季節の風を感じながらハーブに水をやる、
沸かしたてのお湯でじっくりとコーヒーをドリップする、
オーガニック野菜の彩り鮮やかなサラダを自家製ドレッシングでいただく、
家のあちこちに生花やグリーンをかかさず飾る、
いらなくなった素材でハンドメイドを楽しむ、
アロマオイルでじっくりセルフケアする、
お気に入りのバスソルトで一日の疲れをゆったり癒す、
………… こんな感じ?
キラキラ系noterさんが「風通しのよい丁寧な暮らし」とかってプロフに書いて、ご自身の生活様式を毎日綴れば、それに癒される方々がたくさんいらっしゃるに違いない。
だとしたら、わたしには縁のなさそうな暮らしだ。
料理は疲れるしあまり好きじゃない、
オーガニックにこだわらなくても生きられる、
ドレッシングは市販で大満足、
ドリップ式のコーヒーは間違いなく良い香りだけど、ペットボトルでもインスタントでもいい……っていうか、時間が惜しくて結局ペットボトルかインスタントにしてしまう、
ミントを育てるのは楽しいけど、すぐにアブラムシがやって来て、その手当てにだるくなってしまう、
ハンドメイドは、やり始めたらわりと凝るのに、食指が動くほど楽しいとは思っていない、
一日の疲れで失神寸前の身体を引きずるようにして、時間に追われながらどうにかお風呂に入る、
………そんなわたしが丁寧な暮らしを叶えるには、あれこれがんばらないといけないのだろうか。
毎朝ドリップコーヒーを淹れるのはできそうだし、お風呂にゆっくり入る暮らしは欲しい。
けれど、
疲れる料理に励んでみたり、
オーガニック野菜を探して手に入れ、自家製ドレッシングを作ったり、
物を増やしたくないのにハンドメイドに精を出して、
──── それでわたしが楽しいかと言われたら、たぶんあんまり楽しくない。
自分が楽しくないのに丁寧な暮らしとか、それは本末転倒な気がする。
そもそも、『 丁寧 』とは何なのか。
仕事のやり方などが念入りなことを、丁寧だとあらわす。
だから、やっぱりある程度手間や時間をかけることが、丁寧なのだ。
そうなると、家でのあらゆる作業の手順をできる限り省略したいわたしに、丁寧に暮らす権利はないのだろうか?
丁寧に暮らせない女、それもどうなのか。
───── そんなわけで、紀伊国屋で買った市販のミント緑茶を飲みながら、丁寧さを考えている。
*
思うに。
別に、市販のミント緑茶でも、自分で淹れた静岡のお茶にレモン汁を数滴たらしたものでも、ドリップコーヒーでも、ティーバッグを贅沢に三つ使った紅茶に三温糖と生乳をたっ…くさん入れたミルクティーでも、何でもいいのだ。
オーガニック素材でなくても、気にいっているパン屋さんで買ってきた大好きなグラタンパイもいい。
ハーブは育ててないけど、季節の風を感じながら写真は撮っているし、
ミントとバジルは、諸事情で今は無理だけどそれが過ぎたらまたチャレンジしたいし、
アロマはHSPの人気疲れに有効なジュニパーベリーと、洗面所にはシダーウッド、夜はたまにイランイランを使っているし、
毎朝の清め香としてスティックタイプのお香を焚いているし、
お花はかれこれ20年以上わりと欠かさず飾っている、
グリーンは、たまにお水を変えるだけでじわじわ伸びつづけているお手軽ポトス君がいてくれる、
───── 丁寧な暮らし、というのは、自分にとって心地よいもの、やりたいことを自分の心に確認しながら実現し、「 これが好き 」「 こういう時間が気持ちいい 」「 今日はこんなふうに過ごせた 」「 今日はこれをやり遂げた 」と充実感が持てる暮らし。
少なくとも、わたしにとってはそういうものだ。
丁寧だといえる手間と時間をどこにかけるのか。
細やかな作業が丁寧な暮らしに必須と定義付けるなら、わたしのように無精で不器用な人には、息苦しさ、生きづらさが生まれてしまう。
もっと、丁寧さのハードルを下げる、いや、いっそのこと変えたっていいじゃないの。
自分の意思や心の声をきちんと拾い、時にはじっくりと向き合い、そうして叶えることで自分を生きる。
その作業にわたしは『 丁寧さ 』を見いだしたい。
自分に対して丁寧に生きてゆきたい。
わたしが一番「 丁寧に暮らしている 」と実感するのは、片付いた家で、今、好んでやっていることを続けられて、あとはちゃんと運動を日課として、マイペースで色々な本を読んで、何か書いて、たまに神社に行って、写真を撮り続ける、そんな日々だ。
ふと立ち止まった時に、「 ようやく丁寧に自分を生きている 」と思える、そんな日々を重ねてゆきたいし、そこに辿り着くまでの今の暮らしも粗雑にしないように心がけよう。
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