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夏目漱石と文学カメラマン。

―自分もまた然り…なのですが、人は見かけによらないものですよね。どれだけ長く付き合っても、相手の知らない一面が顔を出すことがあります。そしてその一面が、本人も思わぬ強みになることも。気づかせてあげるのも大事かもしれない。

「不動産コピーを書くなら夏目漱石を読むといい」

・・・??!

初めから整理してお伝えしよう。

僕・大鹿は現在、広告デザイン事務所に出稼ぎに行き、一業務として広告コピーの勉強をさせていただいています。「不動産」という特殊性ゆえ苦戦していて、過去の事例などを見ながら研究しているところなのですが。

ある程度の都市に住んでいる方なら、電車内広告などで不動産広告を見ることがあると思います。「歴史を紡ぐ至高の邸宅、ここに誕生」のような詩的な響きのそれ。

先日も資料を見ながらチーム内でコピー談義をしていたところ、一緒に働いているカメラマンさんが発したひと言が、「夏目漱石を読むといい」だったのです。

いやいや、これが実は的を得ていて、おそらく不動産コピーというものは東京は山の手にあるような高級物件を売り出すために、その“品格”に見合う表現が生まれていったものだと思うのです。

そしてそこに、山の手で育まれてきたような明治〜大正文学とのリンクが見られるのは確か。気になるようであれば、折り込みチラシや電車内・駅構内広告を見てみてください。“ポエム”ですから。

「月が綺麗ですね」なんて不動産コピー、あってもおかしくないですもん。

話を戻しますと。一方的な見方で申し訳ないのですが、カメラマンのような世界を“画”で捉える人種の方が、文章、それも詩的な文章という“言葉”を大切にしていたことを知った驚きたるや。

ぱっと見はとても見えないのですが、文学青年だったのです。

しかし、最近一緒に仕事をし始めたところではあるけれど、彼の詩的な画世界にあったのはこれだったのかと納得しました。

カメラマンは見かけによらない。

本人も気づいていない強みを発見したのです。隠されていたヴェールを剥がしたことに、チーム一同快感を覚えるという。

(そしてその後しばらく、文学トークが鳴り止まなかったのはここだけの話。夏目漱石は初期の世界観がいいらしい)

僕は常々、世界を“画”で捉える人も“言葉”で捉える必要があり、“言葉”で捉える人も“画”で捉える必要があると考えていました。商業のなかで生きている以上はどちらが欠けてもバランスが悪い。

だからカメラマンの彼にとって、その絶妙なバランス感覚の上にいるというということは、強み以外の何物でもない。

自分では自分のことが見えないものです。ひょっとして僕も、あなたも、まだまだ自分が知らない強みがあるのかもしれない。

そんなことを考えました。

「ミーム」=文化的遺伝子という言葉がありますが、夏目漱石の遺したミームの偉大さを思い知ったある日の午後。


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