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【小説】あと61日で新型コロナウイルスは終わります。

~観光地の4連休の人出~

「他の人には内緒なんだけど、4連休中、実家に帰ろうと思って。」

同僚のスタッフから、アキナは相談を受けた。

「あくまで個人的な意見だけど、2月からずっと仕事を頑張ってきたんだし、感染症対策をやれば、帰省くらいいいんじゃない?」

アキナがそう言うと、彼女は嬉しそうに笑った。

* * *

コロナなき去年を上回る人出の観光地が相次ぐ

話題 テレビ朝日 2020/9/21 18:22

 20日、全国の観光地で人出が去年を上回る地域が相次ぎました。

 KDDIによりますと、午後3時台の主な観光地の人出は去年の同じ時期に比べて北海道の函館駅前で21%増、三重の伊勢神宮で35.1%、京都の円山公園周辺で55.7%、愛媛の道後温泉周辺で44.9%など、多くの場所で人出が大幅に増加しました。全国的に人出の回復傾向が鮮明になるなか、政府は4連休中の基本的な感染防止策を徹底するとともに、体調に違和感を感じたら外出を控えるよう呼び掛けています。

* * *

「実家はどうだった? 差別とかなかった?」

アキナが同僚のスタッフに聞くと、

「地元では家族以外にわたしの帰省を知らせていないこともあって、差別はなかったんですけど、わたし、あることに気づいたんですよ。どうやら感染者が少ない地域の住民同士で、観光し合っているみたいなんですよ。」

「どうしてそれが分かったの?」

同僚のスタッフの言葉にアキナは聞き返した。

「わたしが帰省した⚫⚫市は感染者がほとんどいないんですね。それで、感染者が少ない▲▲市の車のナンバーはたくさん見かけたけれど、感染者がいまだに多い⬛⬛市の車のナンバーはほとんど見かけなかったんですよ。」

「観光地の人出に地域差があるわけだ⁉」

「わたしの個人的な体感としてはそう思いました。それに、帰省した⚫⚫市の市街地のレストランや居酒屋はいまだにガラガラなのに、郊外のファミレスが昼時や夕飯時にはほぼ満席でしたね。」

全体的な人出だけでなく、地域を細分化してその人出を見極めないと、ほんとうに困窮している人は救えないだろう。

新型コロナウイルスが終わるまで、
あと61日。

これは、フィクションです。

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