【小説】あと62日で新型コロナウイルスは終わります。
~新婚生活60万円補助へ~
「対象の市町村に婚姻届を出した夫婦に、最高60万円だって。無いよりはあった方が断然良いには違いないだろうけど、これで、少子化対策になるのかな?」
アキナがそういうと、他のスタッフも同調した。
「60万円じゃ、出産と育児に全然足りません。」
「すでに婚姻済みで、子どもが欲しいカップルはダメなんだよね?」
「婚姻済みのカップルが、経済的理由で出産を断念することもあるのに。」
* * *
内閣府、新婚生活60万円補助へ 少子化対策で倍増、条件も緩和
2020/9/20(日) 21:00 配信 共同通信
内閣府は20日、少子化対策の一環として、新婚世帯の家賃や敷金・礼金、引っ越し代など新生活にかかる費用について、来年度から60万円を上限に補助する方針を固めた。現行額から倍増し、対象年齢や年収条件を緩和する。経済的理由で結婚を諦めることがないよう後押しする狙い。
対象は「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村に住み、新たに婚姻届を出した夫婦。現行は(1)婚姻日の年齢が夫婦とも34歳以下(2)世帯年収が約480万円未満―などの条件に当てはまれば、30万円を上限に補助を受けることができる。
年齢の条件を39歳以下に緩和し、世帯年収も約540万円未満に拡大する。
* * *
10代の未婚女性の中絶も多いが、産婦人科クリニックに勤めていると、婚姻済みの夫婦が、経済的理由で3人目の妊娠・出産を諦めているのも多い。
「まっ、わたしはいくら貰おうと、妊娠・出産しませんけど。」
「えっ⁉ そうなの?」
新人看護師⚫⚫の発言に、アキナは驚いて聞き返した。
「だって、⚫⚫さんは将来、オペ看の器械出しで働くのが目標なんでしょ?」
そう発言したのは、先輩看護師だった。
「はいっ!そうです!だから、妊娠・出産をしている場合じゃないんです!」
優秀な看護師が仕事しか出来ないような職場環境もまた問題であり、お金の分配だけが少子化対策ではないことを物語っていた。
新型コロナウイルスが終わるまで、
あと62日。
これは、フィクションです。
(注)『オペ看(かん)の器械出(きかいだ)し』とは、医療ドラマのオペ室のシーンで、医師から「メス!」と言われて、メスを医師に渡している看護師さんの仕事のことです。
たくさんの記事の中からわたしの記事にご興味をもち、最後までお読みくださって、ありがとうございます。 いただいたサポートは、私が面白いと思ったことに使い、それを記事にしたいと思います。