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『数学ギョウザ』♯ショートショートnote杯

「ウググ」

佳奈は、ギョウザを頬張りながら涙が溢れてきた。今しがた塾講師の仕事をクビにされたのだ。

急遽行うことになった授業の広告を作成し、ホームページにアップしたり、Twitterで生徒たちに知らせたところ、『数学講座』と載せるべきところを『数学行座』と載せてしまったのだ。

『行座』は更に『ギョウザ』と読み替えられて、瞬く間に拡散された挙げ句

「塾でギョウザはじめました」
「数学の授業を受けながら、90分2,000円でギョウザが食べ放題」
「ギョウザを関数のグラフにしてみた」

と、コラ画像まで出回ってしまったのだ。

「もしもし、八重樫です。クビを撤回したいのですが」

佳奈がスマホに出ると、塾長が懇願してきた。

「どうしてですか?」

佳奈は頬を伝う涙を拭きながら混乱していた。

「申し込みが殺到しています」

それまで味のしなかった餃子が、口いっぱいに肉やニンニクで広がった。

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