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不登校の娘に「お仕事行かないで」と泣かれた土曜日

5児の母、shiiimoです。

shiiimoの仕事は、とある専門学校の教員である。

普段は、土日は基本的にお休みをいただいている。
が。

不登校の長女のため
平日にも休めるように。

有給がなくなる前に
振り替え休日を稼がなくては…………(遠い目)


ということで、母、休日出勤をするの巻。



休日出勤のshiiimoに立ちはだかる壁


久しぶりの休日出勤。
とてもとても面倒ではあるものの、
夫がいてくれるので、保育園の送迎がないのはとても気が楽な休日出勤。

いそいそと支度をして、
じゃあよろしく!と夫に告げて家を出ようとすると。


玄関横の物置部屋から、メソメソと泣き声が聞こえた。


「……ママ、行かないで……」


長女だった。

声を殺して泣いている彼女のそばにいくと、
ヒックヒックと肩を震わせながら、そう言われた。


「うーん、私もいっしょにいたいんだよ。
でもさ…………もう行かないと………」


迫って来る出勤時間。
泣いて私の袖をひく長女。

困り果てて夫を呼んだ。
夫「ママはもうお仕事なんだよ」

そう説得しながら抱っこしてなだめてくれるものの、
「ママ―!!」
と泣き叫ばれ。
私は長女に背中を向けることができなかった。


この状態の長女を置いて
他の4児もいる中で夫に任せることも偲ばれ………


「あーーーーもう!時間がないよ!!!
いっしょにじゃあ、学校来たら!?さあ着替えて!!!」


時間もなく、余裕もない母の叫びにおされるまま、
いそいそと長女は支度をして、私についてきた。


仕事の母と、不登校の長女と


普段。
子どもにも夫にも愛を叫んでいるshiiimoであるけれども(自覚アリ)


仕事モードになって出ようとした矢先のイレギュラー対応。
時間も間に合うのかどうかぎりぎりのラインで、
私は焦っていた。
そしてそれに伴って、イライラしていた。

歩きながら上司たちに子どもを連れて行くことを連絡し、
了承を得て駅へと急いだ。


涙はとまったものの、目を真っ赤にした長女の手を引く私。
「ママはさ、学校でのお仕事中は、ずっとそばにはいられないよ。
ゲームも持ってこなかったから暇だし、
スマホも仕事で使うから渡せないからね」

戻るなら今やで。
の気持ちを少々込めながら、私は早歩きでそう言った。


コクリ。と長女はうなずいた。

「ぼくは、お休みの日にゲームをするよりも、
ママといっしょにいたかったんだって、気づいたんだよ」

大急ぎの母の歩幅に懸命に追いつこうと小走りしながら、
長女はそうささやいた。



ああ。もう。
どうしたらいいのよ。
この感情を。


朝から困らされたことにも正直、イライラしたままだった。
けれど、長女にこんなこと言わせている自分にも
無性に腹が立った。

「ごめんね」と。
「ああ~~~~もう!」の気持ちを収めきれないまま、
ただただ強く長女の手を強く握った。

「…………お菓子、買ってあげるからね」

精一杯のやさしい言葉は、それくらいしか浮かばなかった。


母の仕事を見守る長女


うちの学校は、学園祭や夏のイベントなどには、いろんな職員が子どもを連れてくる。
我が家の子どもたちも、来校したことが何度もあるので、長女もわりと慣れてはいる場所だ。

休日出勤の際、都合がつかない場合などは上司たちも子どもを連れてきていることも多々ある。
一部の人は不登校の長女の話も知っているので、快くこの日のことも了承してくれた。


ちなみに
休日出勤で教員がなにをしているのかというと、
入学を検討してくれている人に向けた、オープンキャンパスの運営だ。

広報メンバーがもちろんイベントは仕切っているが、
実際の授業の話や体験を実施するのは教員。
ともに協力しながら、入学希望者を募っていく。


入社当初は、shiiimoも広報だった。
就職して最初の年。
大学新卒でなにも知らないshiiimo。
その隣の席で、仕事のなんたるかを教えてくれた女性の先輩は、子を2人産んだあともバリバリ仕事をこなし、いまや広報のトップの役職になっている。


「わあ。すごく背がのびたね!」


しょんぼりと小さく背中を丸めて、母に隠れるようにして職員室にやってきた長女を、その先輩はじめ、たくさんの方があたたかく迎え入れてくれた。

その日はほかに子どももいなかったので、さすがに緊張していた長女。
職場のみんなが声をかけてくれたり、お菓子をくれたりして、だんだん笑顔を見せていった。

学生用のあまっていたiPadをかしてもらい、イベント中は静かに自席でYoutubeを見ながら、じっと長女は母の仕事終わりをまっていた。

6月目前のその日は、進路に向けた3者面談を控えている時期。
イベントは大盛況で、長女の待っている職員室になかなか戻れないほどだった。


ようやくひと段落したころには、時刻は午後になっていた。
席に戻ると、長女はじっと回転イスを回転もさせずにいい子で待っていた。

「忙しくって、やっと戻れました」
母がそういうと
「大変なんだね」
と、長女は言った。

そうなんですよ、ママはちゃんと仕事をしているんですよ!
私はそう言いながら、彼女の頭をなでた。

「ふふ。ぼくたちのため?」

と長女は言った。

「そう。…………まあ、そう、なのかな」

子どもたちのため。
家族に将来にお金を残していくため。
がんばりすぎる夫の負担を少しでも減らすため。
私は仕事をがんばっている。

そのはずだ。

でも。
今朝長女が泣いて嫌がったように
子どもとの時間を犠牲にしてまで、これはすることなんだろうか。

でも、平日にいっしょにいるために、
こうして今日、私はここにいるわけなんだけど……


ドツボにはまる私を
「ママ。ありがと」
の言葉で、長女は救い上げてくれる。

自分の席をよく見ると、
長女に買ってあげたお菓子のおすそ分けがちょこんと
チップスターの蓋の上にのっていた。


いつでも一緒にいられたらいいけれど。


帰り道。
電車を待つ駅には、強い風が吹いていた。
半袖で家を飛び出してきた長女は、少し寒そうに腕をさする。

私は自分が着ていた薄手の上着を、長女に着せた。

「ママは大丈夫なの?」
大丈夫よ、と言いながら、私はリュックを背負いなおした。


「つかれたでしょ。慣れない場所で。ずっとYoutubeしかなかったし」

ぶかぶかの上着に袖を通す長女。
その表情はどことなくほっとした様子だ。


「うん、つかれた。でも、ママといっしょにいれたから、よかった」


その言葉を聞いて。

やっぱり、なんとも言えない気持ちになった私の前を、
電車が滑り込んでくる。


「電車も疲れるけど。たまにはいいね」


そういって、長女が私の手を引くようにして、
帰りの電車に乗り込んだ。




私は、明日も休日出勤だ。

長女には夫が事前に説明して、
ママは仕事だし、いっしょにバドミントンの方にいってよう。
と、説得済み。


けれど、どうなるかはわからない。
多分、長女にもわからない。


あの日。朝になって、土曜日なのに出かける様子の私を見て。

仕事だと聞いてはいたけれど。

私がいない休日が、
思っていたよりもつらかった。
そういうことだったのだろうと、今ならわかる。

だから、明日の私を見送る彼女が
どう思うかは、明日の彼女しかわからない。

ついでに、次女も私の職場の学校が気に入っているので
付いてくる可能性もある。


もしそうなったら。
まあ、そのときに考えよう。


自分の気持ちはまだおさまらない。
こうして仕事を続けていることで、子どもが無理をしているのであれば。
なんのための仕事なんだろうと、
負の思考ループに迷い込みそうになる。


こうしてこれを書いている今も、
別に答えは出ていない。


働く母たちの
これはきっと、永遠のテーマだろう。


休日の出勤は、やっぱり減らしてほしい。
そう、直談判はしてみようと思う。
平日の有給を使い果たしてからまた、そのときに考えよう。


明日の私は、
もっと子どもたちにやさしくできるかな。
そうだといい。

子どもも私も、正解を求めてさまよう日々。
けれど、正解にたどり着いたら、すべてが楽になるわけではない。


そのとき、そのとき。
その感情に向き合ってみよう。
できることはそれだけだ。


最近、自分なりに大切にしていること。

自分のペースで、ぼちぼちと。

やっていけたらいいな。


行き場のない感情が湧く夜に。
noteがあってよかった。


明日の私よ。
ぼちぼちとやっていこう。


みなさんも、のんびりと。
やっていきましょうね🍀



noteにむきあうのも。
ぼちぼちマインド、ですね。


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