見出し画像

ふらっと、初日の出を

あけおめことよろ
年越し何してた?元旦何してた?僕は年明けも大忙し。

睡眠時間を絶対確保するマンの僕は昨晩22時に就寝。23時55分起床。年越しは除夜の鐘を布団の中で聞きながら、トイレ行きたい、口濯ぎたい、でもお布団の外寒い、を繰り返していた。やっと動き出して一通りSNSをチェックする。みんな楽しそうやな、僕はもう眠いよ、、と再び夢の中へ。
6時11分起床。ここからが僕の計画の始まりだ。

家族はまだ寝ている。そろりそろり手順を進めていく。白湯の準備OK。防寒OK。おやつの干し柿OK。完璧。出発進行。僕はまだ眠る街に繰り出した。

と言いたいところだが、既に空は明るくなり始めている。急がねば。まだ影の建物たちと、鳴かない烏の大群。目一杯に朝の空気を胸に入れ込むと、一人の状況にも気後れしない。
月が一足早く僕の目に見えている。もう2.3日で新月になるだろうそれは、鋭くも危うい。まだ空の明度が低いうちにしか見えないくらいの薄い月。

お気に入りの歩道橋の上で街を見下ろそう。高架の電車が同じ目線で走っている。一番好きなところは目下をたくさんの車が走ること。信号で止まって、ドミノ式に走り出して、また新しい車が走って来る。
昔、ホテルの窓から外をずっと眺めていたのを思い出す。何故かずっと眺めていられた。近くの道を車が走るのも、遠くのビルの角が赤く光るのも、目を凝らせば山があるのも、意味もなく好きだった。
僕の心安らぐ時間は、ここにあるのかもしれない。

歩道橋からは朝日を拝めない。マンションが隠してしまうから。いつかこんなマンションに住みたい。入り口には名前が大きく掲げられて、常にライトに照らされて、ちょっとした植物が植えられている。
マンションを横目に向かう。最終目的地の土手へと向かう。

土手にはすでに数人が朝日を求めて胸を躍らせていた。幸いにベンチが空いている。僕はここで初日の出を拝もう。
待ってる間は地獄だった。とにかく寒いのだ。氷点下なのだ。寒いのだ。足先の感覚がなくなっていくのが分かる。おやつを食べて体温を上げつつ、音楽を聴いて気分を上げつつなんとか耐え抜いた。

それでも寒いのだ。身を震わせもう帰ろうかと思っていた時だった。
赤い赤い光が強く強く眩しい。
これか。これを皆待ち望んでいたのか。
その場にはざっと30人近く人がいた。感嘆の声が上がる。皆これを待っていた。

エネルギーに満ち溢れた強い光。圧倒的な生命の源。
僕はただぼーっと見ていた。日の出の先に、漲る未来を見ていた。
僕はこの後バイトに行って寝てを繰り返して、しばらく経つと大学が始まる。たまに遊んで馬鹿をしでかす。今年は本格的に就活が始まる。きっと絶望や焦燥感も味わう。
平穏な日常と、少しのスパイスを孕む人生を愛したい。全部抱きしめて生きていく。


初日の出をこの目に焼き付けた。太陽はただ昇るだけだった。それでもあの存在感と信頼感は僕を宥めるには十分だった。
今年も生きるよ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?