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生理前の冷えとむくみによく効く漢方薬(1):当帰芍薬散の解説


生理痛と生理前の身体の諸症状

1.生理痛の原因
生理とは約1ヶ月の周期で、妊娠不成立で不要になった「子宮内膜」が血液を伴って体外へ排出されることです。

順調に排出されれば痛みはそれほど出ませんが、身体が冷えて血行が悪いなど何らかの原因で排出されないと大量のプロスタグランジン(以下PG)が分泌され、子宮は過度な収縮を行って子宮内膜を排出しようとするので、そのときに子宮のある下腹部やその周辺に痛みが走ります。

しかし、生理の諸症状は生理中だけではなかった


2.生理前の主な症状をまとめてみた
生理前に身体や精神に起こる諸症状を「月経前症候群」(以下PMS)といいます。

通常は生理の10日前後(個人差はあります)から症状が出て、生理がくると治まります。PMSの症状は200種類以上あるといわれており代表的な症状は、

「身体」
・手足の冷えやむくみ
・頭痛や頭重
・乳房やお腹の張りや痛み
・皮膚が乾燥して肌荒れ、肌にツヤがない
・クマやシミができやすく肌が荒れやすい、など

「精神」
・イライラして怒りっぽい
・疲れやすくいつも身体がだるい
・食欲不振や過食
・眠気や不眠、など

こうしたPMSの改善を目的とした市販薬の一つが「当帰芍薬散」です。

当帰芍薬散とはどんな薬?

当帰芍薬散は、一般的な市販薬とは明確に異なります。

当帰芍薬散は漢方薬です

まず、漢方の考え方として病気になる体質を変えて治す「体質改善」があります。ですから一般的な鎮痛剤の注意書きには、

・「5~6回くらい」服用しても症状がよくならない場合は服用を中止して~

これに対して当帰芍薬散を含む多くの漢方薬は、

・「1ヶ月くらい」服用しても症状がよくならない場合は服用を中止して~

服用する回数が5~6回から1ヶ月くらい、と「期間」に変わりました。ここから読み取れことは、

長く服用しても副作用が少ない、ということ

副作用はゼロではありませんが、用法用量を守れば比較的安全な薬です。身体に負担をかけるから、と副作用を気にしてこれまで生理痛を我慢していた女性は一度試してみても良いと思います。

効果が感じられなければ止めればいい、それだけです。もう一つ、漢方薬を理解する上で欠かせない考え方が、

「気」「血」「水」です


1.「気」
「気」は元気や気合など身体を動かすエネルギーです。

気が滞ったり「気滞」(きたい)、気が足りなくなったり「気虚」すると以下の症状が現れやすいと言われています。

「気滞の症状」
・イライラして怒りっぽい
・乳房やお腹の張りや痛み
・おならやゲップが多い、など

「気虚の症状」
・疲れやすくいつも身体がだるい
・落ち込みやすく、無気力無関心
・食欲不振や胃もたれ、など


2.「血」
「血」(けつ)は、血液が運ぶ栄養を意味します。

血が滞ることを「お血」(おけつ)、血の不足を「血虚」として以下の症状が現れます。

「お血の症状」
・感情の起伏が激しい
・首や肩のこりがひどい
・クマやシミができやすく肌が荒れやすい、など

「血虚の症状」
・めまいや立ちくらみ
・集中力が続かず、疲れやすい
・皮膚が乾燥して肌荒れ、肌にツヤがない、など

3.「水」
「水」は身体の中の体液です。体内の水が滞ることを「水滞」、水が足りないことを「陰虚」として以下の症状が現れます。

「水滞の症状」
・むくみやすく重だるい
・頭痛や頭重
・身体が冷えやすい、など

「陰虚の症状」
・身体の熱く手足がほてりやすい
・身体はやせてのどが乾く、など

本日は「水滞」の改善を主な目的とする「当帰芍薬散」について解説します。

当帰芍薬散の成分

当帰芍薬散の成分は6つです。
成分15歳以上1日服用量12錠中

「血」グループ
・当帰409mg:温性、補血、活血作用
・芍薬546mg:微寒性、補血、筋弛緩作用
・川芎(せんきゅう)409mg:温性、活血作用

「水」グループ
・タクシャ546mg:利水作用
・茯苓(ぶくりょう)546mg:利水、健胃作用
・蒼朮(そうじゅつ)546mg:温性、利水、健胃作用

利水作用は体内の余分な「水」を排出して、水分代謝を高めます。

活血作用は滞った血の流れを改善、補血作用は血液等体に必要な栄養を補います。この水と血の作用によって、

・冷えとむくみの解消
・生理痛や貧血、頭痛の解消、など

当帰芍薬散の効能効果が発揮されます。

当帰芍薬散錠 60錠1100円(参考価格)

用法用量
次の量を1日3回、食前または食間に服用
・15歳以上1回4錠
・7歳以上15歳未満1回3錠
・5歳以上7歳未満1回2錠

効能効果
体力虚弱で冷え性で貧血傾向があり次の諸症状がある人:
月経不順、月経異常、月経痛、めまい、立ちくらみ、頭重、足腰の冷え性、むくみ等

相談すること
・胃腸の弱い人、など

当帰芍薬散の主な効果他まとめ

・当帰芍薬散は漢方薬であり、主に体質改善を目的としています。

・5歳から服用ができ、比較的副作用が少ない薬です。副作用が心配で、これまで心身の不調を我慢してきた人は選択肢の一つとしてご検討ください。

・水滞の主な症状はむくみ、めまい、重だるい、頭痛、嘔吐など。これらを改善する成分が利水成分で当帰芍薬散には配合されています。

・血虚の主な症状はめまい、貧血、肌つやの不調など。血虚は血が足りないために起こる症状で、これを改善する成分が補血成分で当帰芍薬散には配合されています。

・お血の主な症状は首や肩のこり、クマやシミなどの肌トラブル。お血は血が滞って血が流れないために起こる症状で、これを改善する成分が活血成分で当帰芍薬散には配合されています。

当帰芍薬散であなたの症状、悩みが少しでもよくなりますように。


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