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人口減少に向けた課題解決の理想―③地域企業での越境学習

竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。

いま、noteさんの #創作大賞2024 #ビジネス部門 という企画に参加しています。『「仕事っぽいシゴト」が社会の課題を解決する』というタイトルの本を作るイメージで毎日お話しています。1本目、目次はこちらです。

昨日は、「「地域複業の理想」について解像度を上げてみよう」というお話をしました。

今日は、「地域における「学びの機会(越境学習)の理想」について解像度を上げてみよう」というお話です。

音声はこちらです。

今日のお話の前に

日本農業新聞に、『「消滅可能性自治体」を問う 発表者の増田氏×批判の小田切氏、双方の見解は』という記事が掲載されていました。

「消滅可能性自治体」のデータを発表した人口戦略会議副議長の増田寛也さんと、それに課題感を抱いている明治大学教授 小田切徳美さんの記事です。

僕の意見としては、事実を認識し、行動を促すために、少し強めのメッセージがあってもいいと思っています。一方で、具体的な施策については、「北風」よりも「太陽」でいたいと思っています。

というわけで、今日も、人口減少の課題や、ビジネスパーソンのキャリア不安における「理想」のお話です!

人口減少の課題解決の理想

先日は、人口減少の課題解決の理想として、4つのポイントを挙げ、その解像度を上げました。

  • 個人の意見は尊重される

  • 移住はしなくていい

  • 地域外との関係ができる

  • 定期的に行き来できる

これらを実現する手段として、3つの方法を挙げました。

  • リモートワーク

  • 複業

  • 学びの機会

今日はこの、「学びの機会」について、もう少し解像度を上げていきます。今回お話したいのは、普段いる環境から離れ、異なる環境に身を置くからこそ得られる「学びの機会」のことです。

異なる環境に身を置くからこそ得られる「学びの機会」

みなさんは普段、「異なる環境の人」と話す機会はありますか? ここでいう「異なる環境」とは、たとえば……

  • 会社が違う

  • 業種が違う

  • 働き方が違う

  • 年齢が違う

  • 性別が違う

  • 地域が違う

ほかにも、いろんな「異なる環境」があるように思います。

みなさんにも、きっと一度ぐらいは経験があると思いますが、異なる環境の会社や業種の人たちと話をしてみると、「〇〇さんの会社は、うちの会社と全然違うなぁ」「〇〇業界の人は、すごいなぁ」みたいに、自分がふだんいる環境や考え方と、まったく違って驚いた! なんてことがありますよね。

たとえば、僕の体験談をお話しますと……

先日、ある廃棄物を回収する仕事をしている企業(ストレートに言えば「ゴミ回収業者」)に行く機会がありました。「廃棄物の回収」ですから、最初にイメージしていたものは、誤解を恐れずに正直なお話をすると「ちょっと臭いんじゃないか」「衛生的ではないんじゃないか」みたいな、ネガティブなイメージが先行していました。

ですが、実際の現場に行ってみると……予想とは全く異なり、「最先端な現場」だったんです! 環境のことが考えられ、徹底的にリサイクルが進んでいる業務内容に「すごいな、この会社は!」と感動すら覚えました。

このように、異なる環境に触れることによって、新たな気づきや発見があったり、感動したり、刺激になったりすることがあります。

「想定外」や「振れ幅が大きい」ほど、心が動く

僕が、「すごいな、この会社は!」と感動したのは、おそらく「想定外」だったからなのではないかと思っています。想定内だったら、それほど驚かなかったのではないかと。

また、「振れ幅が大きい」ことも、気づきや発見になるなぁと思っています。

以前、岩手県は住田町という街に行きました。住田町は林業が盛んな街なのですが、林業家の方から話を伺いました。

林業というと、僕の中では「肉体労働で大変な仕事」みたいなイメージで、それ以上でも、それ以下でもないというのが、最初の印象でした。

ですが、林業家の方から話を伺うと、想いや、将来に対するビジョンにあふれていて、その生き様に、単純に「すごいなぁ」と思いましたし、「僕もがんばろう!」と思えました。

このように思えたのは、普段接している日常との「振れ幅が大きい」からではないかと思っています。

日常を振り返ってみると「予定調和な毎日」

一方で、日常を振り替えると、こういった「想定外」で「振れ幅が大きい」体験をする機会は、あまりありません。

ひょっとしたら、それは、いつも同じ場所で、同じ人たちと、同じことをやっているからなのかもしれません。言い換えれば「予定調和な毎日」みたいな。

もちろん、それが悪いわけではありません(多くの場合、仕事というのはそういうものです)。

ですが、普段とは異なる環境に行くからこそ得られる気づきや発見、感動があるんじゃないか、とも思うのです。

こうした体験に、人は「いまの自分はこれでいいのか?」と内省し、心が揺さぶられて「もう一歩前に、足を踏み出してみよう!」と思えるのではないでしょうか。

境を越えるからこそ得られる「越境学習」

こうした、普段の「自分の日常」にある境を越えて、「他の人の日常」に、あえて身を置くことで、得られる学びのことを「越境学習」と呼びます。

越境学習とは、次のようなプロセスです。

  • 異なる環境に身を置く

  • 異なる環境にいる人たちの日常に触れることで「価値観のゆらぎ」が起こる

  • 「自分は、このままでいいのだろうか?」「もっとできることがあるんじゃないか」といった内省が起こる

  • あるいは、他日常にある課題に触れることで、自分の、過去の体験を振り返り「こんな解決策があるんじゃないか」といった、新たな思考の刺激が起きる

  • できれば、それを他日常で実践してみる

  • 他日常におけるさまざまな経験によって、成長する

  • 他日常の経験を、普段の、自分の環境にフィードバックする

  • 多くの場合、フィードバックは必ずしもうまくいくいかず、葛藤する

  • 葛藤の中で、「いま、何をすべきか」を感じる

  • 試行錯誤の中で、新たな解決策を得る

  • それらを実践していくことで、日常の中でうまく適用できるようになり、日々の繰り返しでは得られなかった成長が得られる

こういった学習や、関係性が、地域の企業と、地域外の方々との間で生まれるといいなと思っています。

地域における「学びの機会」をつくる

この本では、仕事を通じて、地域や地域の企業と、地域外の人々との関係性を構築し、行ったり来たりする仕組みをつくることで、せまる人口減少の課題を解決しながら、少しでも人のつながりを構築し、関わっていただくみなさんにとっても、メリットがある仕組みが構築できたらいいなぁと思っています。

その理想的な姿をイメージしてみると……

  • ふだんとは異なる環境に身を置くからこそ、気づきや発見がある

  • 気づきや発見が、いまの仕事に対する動機付けになっている

  • 自分ができることで、地域の企業の課題解決に貢献している

  • 課題解決への貢献が、地域内外の人たちの学びになっている

  • ともに学び合うことによって、信頼関係がうまれ、地域内外を行き来する理由になっている

  • 学びのプロセスが、企業の研修やプログラムのように仕組み化されている

このように「学びの機会」が、企業の研修やプログラムのように仕組み化されることによって、仕事を通じて、地域内外を行き来しながら、人材不足を含めた、地域の企業が抱える課題を解決しながら、地域外の方々のキャリアアップ、第2、第3のキャリアにつながるような仕組みになるといいなと思っています。

今日の話は、これで終わりにします。

次の記事:「キャリア安全性を高めるための理想」の解像度を上げてみよう

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