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しばらく泣いていない人におすすめしたい一冊 2009年2月27日

 自称「涙ほろほろの女」神垣です。

 久々に読んで、泣けました。

 しかも新書で・・・


 その本の名は
「世紀のラブレター」

 58人の各界の男女が残した恋文を
 紹介した一冊です。

 第六章の向田邦子の手紙あたりから
 涙がにじんで…。

 最終章の沢村貞子に宛てた夫の大橋恭彦氏の
 手紙では、もう涙が止まりませんでした。

 手紙っていいなぁと改めて思います。

 本書の中ほどで、著者は

  気軽に電話などできなかった時代、手紙は夫婦の絆を保つ
  ほとんど唯一のツールだった。
  書くことと読むことで、共有できない時間を埋めたのである。

梯 久美子 著「世紀のラブレター 」(

 と述べています。

 同じ文字で伝えるメッセージでも
 メールのように瞬時に相手に伝わるわけではない手紙。

 文字で埋める時間があることが
 とても豊かに感じられ、
 メール全盛の今を生きる自分を
 少し不憫に思います。

 男性からの手紙がとてもいいです。
 戦争で亡くなった当時50代の男たち
 三人の手紙が特に印象的でした。

 54歳の伊藤整一、53歳の栗林忠道、
 そして59歳の山本五十六。

 それぞれに想う人がいて
 それぞれの気持ちを綴った手紙には
 三人三様の個性が浮き彫りになっています。

 その後の章で
 歌人の斎藤茂吉と詩人の金子光晴が
 若い愛人に宛てた手紙と対比して読むと
 後者の二人の軟弱さが際立つと同時に
 そんな男の弱さも、また愛おしく感じられたりもして…。

 しばらく泣いていない人に
 おすすめしたい一冊です。

梯 久美子 著「世紀のラブレター 」(新潮新書)

がん闘病中の妻・節子さんから
田原総一郎氏に宛てた手紙にも泣けました。
(VOL.1001 2009年2月27日配信 メールマガジン あとがきより)


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