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上野の森の「ゴッホ展」へ行きました!

ラストデイに間に合って何とか上野の東京都美術館で開催されていたゴッホ展を見ることができました。

今回はゴッホが、まだ評価が定まらない途上のときに、ゴッホの絵に惚れ込み、1908年から20年間にわたって、彼の作品を収集したへレーネ・クレラー・ミュラーの収集の中から油彩画28点、素描・版画20点が展示されました。

事前に読んだ原田マハの「たゆたえども沈まず」の情景を思い描きながら、その絵の描かれた時期と、その頃のゴッホの状況、心の中を想像しながら見ると、また一味違った絵画の楽しみがありました。
以下は展示されていた絵の写真の一部です。

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オランダ時代に描かれた「馬鈴薯を食べる人々」、貧しいながらもしっかり生きる農民たちの力強さが伝わってくる。


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ハーグ時代の「疲れ果てて」。のちに本作をもとに油彩画を描いている。


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パリ時代に描いた「石膏像のある静物」。2冊の本は青い方モーパッサンの「べラミ」、黄色い方がゴンクール兄弟の「ジェルミニー・ラセルトゥ」でどちらもゴッホの愛読書であった。

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アルルでゴッホが借りた「黄色い家」。画家たちとの共同生活を夢見て先走って借りた家。

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「種まく人」はゴッホが画業の初期から描いてきた。鮮やかな黄色で明るく力強い太陽がまぶしさを放っている。


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「サン・レミの療養院の庭」

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サン・レミの病室からの風景を描いた「夜のプロヴァンスの田舎道」。真ん中にそびえたつ糸杉はゴッホ自身の象徴か。寂しさと孤独の中で糸杉に魅入られていったのは自身の投影と思ったからなのかもしれない。

アルルで描いた「夜のカフェテラス」。賑やかなはずのカフェであるが、人も少なく、どこか寂しさを感じる絵である。この頃のゴッホの気持ちを表しているのかもしれない。

私の好きな絵の一つがこの「夜のカフェテラス」。綺麗な星空の青々とした色彩が目に焼き付くとともに、カフェの黄色が青との対象で際立っており温かみを感じる。この絵を描いて間もなく、ゴーギャンとの共同生活を始めるが、それに対する期待と不安、寂しさが混じったような情景である。しかし、大きな期待と共にスタートしたゴーギャンとの共同生活は、喧嘩のすえ、わずか2ヶ月で終止符を打つこととなった。

美術館の展示は時代の順に並んでおり、ゴッホの人生と彼の絵を収集したミュラー夫人の人生を、短時間ながらも並走して歩むことができた。生前は全く評価されることのなかったゴッホは、ミュラー夫人の感性によって引き出され、多くの人を魅了することとなった。

ゴッホは彼の短い画家人生の中で、常に心を捉えていた日本を忘れることなく、憧れを抱いていた。彼が亡くなって130年も経過した日本で、これほどにも多くの人が美術館を訪れ、ゴッホの絵に見とれている風景を彼は想像しただろうか?

私は「夜のカフェテラス」の小さな額と数枚の絵葉書を美術館の売店で購入した。ゴッホが常に用いた黄色と青の鮮やかなコントラストに満ちたこの絵を「たゆたえども沈まず」で終生彼のパートナーであった弟テオに看取られて最期を迎えたゴッホの気持ちを思いながら見つめている。

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