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30代最後の年に脳動脈瘤が見つかった話Vol.2 検査入院、そして手術決定

Vol.1では、脳動脈瘤が見つかった経緯とその時の心境を記しました。

今回は、手術方法を決めるための検査入院と、いよいよ手術方法が決まるまでを書いていきたいと思います。



■ 初めての入院

GW休暇直前に脳動脈瘤が判明した私は、いつ破裂するか分からない不安と恐怖の中でGWを過ごしました。

何にも集中できず、出かけていても心此処にあらずといった感じで、当然何をしていても楽しくありませんでした。

できればこんなふうに過ごす休暇は、これが最後であってほしいと願います。

GW休暇が終わった2023年5月中旬、2泊3日で人生初の入院となる検査入院で手術方法を決めるためのカテーテル検査を行いました。


・カテーテル検査とは

カテーテル検査とは、動脈に造影剤を流しながら脳内の血管を撮影する検査です。

足の付け根に麻酔を打ち、そこからカテーテルと呼ばれる細い管を動脈に入れ、そのカテーテルを動脈内で動かしながら造影剤を流します。

このカテーテル検査で動脈瘤の位置や大きさ、周囲の血管の状況等が明確になるため、手術方法を決めるためには不可欠な検査になるそうです。


・入院当日

検査入院で、私は個室を選びました。

追加料金がかからない部屋は原則4名若しくは5名の部屋となるそうで、個室の場合は部屋の設備によって金額が変わります。

経済的に余裕があるわけではありませんが、初めての入院でただでさえ落ち着かない中、見ず知らずの人と3日間同じ部屋で過ごすのは私にとってハードルが高く、大きな出費にはなりましたが、室内にトイレ、洗面、シャワーが備え付けられた個室を選択しました。

私が受診した大学病院では、このタイプの個室で1泊20,000円程でした。

実はこの検査入院によって「これがあれば便利だった」とか「これは不要だったな」というものを把握することができたので、この後の手術入院の際には戸惑うことなく持ち物を準備することができ、私にとっては良い『入院練習』となりました。

入院初日の夕食後、腕に点滴を装着されました。
これは検査終了後の夜、つまり入院2日目の夜まで付けっぱなしになるそうで、入院が初めての私は、こんな長時間点滴をし続けることも初めてなので正直少し不安でした。

担当の看護師さんは私よりずっと若い方でしたが、入院が初めてだと不安がる私の話を頷きながら聞いてくれました。

そして、時間があれば院内のコンビニに行ってストローを買ってくると良いとアドバイスをくれました。

カテーテル検査は、検査後4、5時間程起き上がることができないらしく、水分補給の際にペットボトルにストローを差しておくと首を持ち上げるだけで水分が摂れるため便利だということでした。

私は早速院内のコンビニに向かい、ストローを購入してきました。

病室にはテレビもありますし、有料ではあるもののwifiも利用できるので不便はないのですが、やはり少しは動きたくもなるので、特に用事はなくても院内のコンビニには無駄に何度も足を運びました。

夕食後には、予定通り腕に点滴が装着されました。
ちなみに病院の夕食は18時です。早っ!

初めての長時間点滴で腕をかばいながら眠ったせいか、ほとんど眠れなかった上、翌朝になると指がパンパンに浮腫んで曲げられない程の太さになっていました。
ちなみに病院の消灯は21時です。早っ!!

看護師さんからあまり腕をかばったりせず、普通に物を持ったり動かしても大丈夫と言われ、言われたとおり積極的に使うようにしたところ、浮腫みは少しずつ解消していきました。


・いざ、カテーテル検査

検査入院2日目は、いよいよカテーテル検査です。
ちなみに病院の起床は6時です。早っ!!!

朝食は摂らず病室で緊張しながら検査室へ呼ばれるのを待っていたのですが、私が検査室へ呼ばれたのは午後1時を過ぎており、相当な空腹状態での検査となりました。

検査室はドラマや映画で観る手術室のような部屋でした。

今日ってただの検査だよね、手術じゃないよね・・・

と、かなりの不安状態で検査室に入ったのを覚えています。

検査台に横になると、3名の検査技師さんが私の身体に心電図や血圧計、点滴などをどんどん装着していました。

着用していた検査着は外されてしまい、タオルはかけてもらっていたものの、全裸状態でとても寒かったです。

しばらくして実際にカテーテル検査を行う医師が来て、私に検査の手順を説明しながら淡々と準備を進めていました。

眼鏡を外していたため顔はほぼ見えなかったのですが、あまり抑揚のない冷静な口調だったため、怖そうな先生だな・・・と感じ、無駄なことして怒られないようにしよう・・・、と思いながら検査が始まるのを待ちました。

一通りの準備が済むと、すぐに左足の付け根部分に局所麻酔が打たれ、いよいよカテーテル検査が始まりました。

医師からは検査中、

  • 目を閉じているように

  • 動かないように

  • 呼吸は指示がない限り止めたり深呼吸したりしないように

  • なるべく唾を飲み込んだりもしないように

という、結構ハードルの高いことを要求されました。
いやぁ結構難しいよ・・・。でも怒られたら嫌だし我慢しなきゃな・・・
なんて考えていました。

麻酔を打っているので確かに痛みはなかったのですが、管が身体に入れられているので、何かに左足を押されているような不自然な感覚は検査中ずっと続きました。

その違和感に耐えつつ医師から言われたとおり、とにかく動かずじっと寝ていました。

以前のCT血管撮影検査では、造影剤を使用するのは1度だけだったので身体が熱くなるのも1度で済みましたが、カテーテル検査ではそれが何度も繰り返されました。

いつまで続くのだろう、と少し不安になってきた頃、医師がやはり抑揚のない口調ではありましたが、「順調にきているのであと少し頑張りましょう」と声をかけてくれました。

この一言で検査の終わりが見えていることが分かり、ほっとしたのを覚えています。

そして開始から約1時間で、特段問題なくカテーテル検査は終了しました。

動脈からカテーテルを入れているので、出血防止のために検査後10分程、
医師がカテーテル挿入部分を圧迫して止血処置をしてくれました。

止血処置をしている間、医師はまるで世間話でもするかのように淡々と
「しっかりと動脈瘤がありますね。形や大きさからして、比較的破裂の可能性が高いと思います。早々に治療をしたほうが良いでしょうね。」
と語りました。

検査が無事に終わった安心感で頭はボーっとしていましたが、
あまりに淡々と話をされたせいか、案外内容はすんなりと入ってきました。

既に脳動脈瘤があると分かった状態での検査だったことも、冷静に受け止められた要因かもしれません。

そしてこの世間話のような状況のまま、話は治療方法にまで及びました。


■ 手術方法決定!

医師はそのまま治療方法についても話し続けました。

  • 治療方法は主に2種類ある

  • 1種類目は今回のカテーテル検査同様、足の付け根からカテーテルを挿入し、脳の血管まで到達させ、瘤の中にコイルを詰めることで瘤内に血液が流れ込むことを防ぐ『コイル塞栓術』

  • 2種類目は頭部にメスを入れ、頭蓋骨の一部を外した上で、瘤のある血管を探し出し、瘤の根元部分を金属のクリップで挟むことで破裂や出血を止める『開頭クリッピング術』

  • 動脈瘤がある場所はどちらの手術でも到達可能だが、今回は『開頭クリッピング術』が良いと考える

  • 理由は『コイル塞栓術』の場合、再発の可能性が『開頭クリッピング術』より高くなる。年齢がまだ39歳であり長期的視点で考えるならば、再発の可能性がほぼない『開頭クリッピング術』を採用したほうが良い

  • 加えて『コイル塞栓術』の特徴として血栓ができやすいという現象があり、血液を固まりにくくする抗血小板薬を数日前から服用し、術後も継続的に服用する必要がある。これも年齢を考えた時、まだ先が長くこの先別の病、例えば腫瘍が見つかり抗がん剤治療が必要となった場合、薬の併用ができないため、どちらかの服用をあきらめなくてはならなくなる


以上の説明をした後、医師は私に「ご自身はどうしたいか希望はありますか」と聞いてきました。

まだ検査が終わって間がなく、話の全てを理解できたわけではありませんでしたが、医師が理路整然を話をしてくれたためか、この時点で私は
「開頭手術しかないか・・・」と意外にも冷静に現状を受け止めていました。

「先生の説明を聞く限り、開頭手術で確実に治す方法がいいと思います」
と答えました。


・ついでに主治医も決定!

同時に医師から、今後の治療をこれまで診察を担当してきた医師で進めていくか、それとも検査をしている自分で進めていくか、どちらが良いかを問われました。

「いや、素人にどっちの医師がいいとか決められないよ・・・」

と思ったのですが、どストレートにこんなことを聞いてくるこの医師が少し面白いと思ったのと、眼鏡を外していたのでこの時点で医師の顔は全く見えていない状態でしたが、抑揚のない口調に最初は怖いと思ったものの、論理的に説明してくれる話し方に何となく信頼感を覚え、このカテーテル検査を行ってくれた医師(以降、S先生と記載します)がこのまま私の主治医になることがその場で決まりました。

■ カテーテル検査後・・・

世間話の延長のようなかたちで治療方法と主治医が決まると、カテーテルを入れた左足を誤って曲げたりすることがないよう、足をテーピングでぐるぐるに固定され、点滴も装着されたままストレッチャーに乗せられて病室へと戻りました。

幸運にもカテーテル検査による副作用はなく、検査後も元気だったのですが、朝から食事を摂らないまま既に15時を回っていたため、ここから安静が必要な4時間は空腹との闘いでした。

テレビでも見ていれば時間が過ぎるかと思っていたのですが、寝返りも打てないため、身体の痛みが時間の経過とともに増していき、テレビを見る余裕も段々となくなっていきます。

当然空腹も増していきます。

辛い・・・と思いながら病室に戻って4時間半ほどが経過した頃、S先生が病室にやってきました。

この時ようやく、主治医S先生の顔を初めて見たのですが、見た目の印象では私とほぼ変わらない年齢のように感じました。

同年代でこんなすごい仕事をしている人もいるんだなぁ、と思いました。

足を固定していたテーピングが外され、ようやく自由に動いて良いとの許可が出されました。

S先生はテーピングを外しながら、「今月中の手術実施で予定を押さえましたから」と、相変わらず抑揚のない声で言いました。

今月中にケリがつく・・・。

それを聞いた瞬間の私は、手術に対する恐怖以上に、

「今月を乗り切れば助かるんだ・・・」

という安堵に近い感情が強かったように思います。
同時に「手術ってこんなアッサリ決まっちゃうものなんだ・・・」とも思いました。

その後の夕食は、私が起き上がれなかった場合に食べやすいようにと、看護師さんがメニューをおにぎりに変更してくれていて、一口サイズに握られた小さなおにぎりが並んだ食事が出てきました。

気遣いに感謝しながら完食し、夜には点滴も外れ、初めて尽くしの1日に疲れたのかぐっすり眠ることができました。

翌日無事に退院した私は、いよいよ手術に向けて諸々の準備にとりかかります。



Vol.3手術説明と入院準備   へ続きます。

続きも読んでもらえたら嬉しいです。

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