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ぼくと彼女はズーラシアへ行く

 ぼくと彼女はズーラシアへ行く。なんだか最近、「彼女とどこそこへ行った」という話ばかり投稿していて、このnoteがデート日誌みたいになってしまっていて恥ずかしいのだが、でも今回ばかりはしょうがない。だって、よこはま動物園ズーラシアだもの。4月に行った『大哺乳類展3』の動物標本に感化されて、今度は本物の哺乳類を見たくなってしまったんだもの。人間の欲望ってやつは怖ろしい。というわけで、今回は「ぼくと彼女は大哺乳類展へ行く」の番外編的なお話です。今度は哺乳類たちが動くよ!

 ぼくらが国立科学博物館の『大哺乳類展3』へ行ってから数日後のこと。ゴールデンウィークにどこへ出かけようかという話になった。「どうせどこも混んでるんだからどこにも行きたくない」と言いたいのはやまやまだったが、さすがのぼくもそれを口に出して言うほど命知らずではない。ぼくが「どこも混んでるだろうなあ……」と曖昧に応えると、由梨は「上野動物園はどう? 『大哺乳類展』で色々学んだことだし本物の動物を見に行こうよ」と言い出した。

 ぼくは由梨のこの提案に心ときめいた。たしかに今度は本物の哺乳類たちを見に行きたい。ただ、ゴールデンウィークの上野動物園って絶対激混みだよな。この前上野動物園に彼女と行った阿久澤(放送サークルの後輩)の二番煎じみたいになっちゃうし。阿久澤から「ゴールデンウィークどっか行きましたか?」と聞かれて「上野動物園に行ったよ」と答えたら、「おれたちに影響されましたね(笑)」と笑われそうだなあ……

 ここでぼくはピンとひらめいた。よこはま動物園ズーラシアがあるじゃないかと。ぼくと由梨は付き合い始めの頃(つまり2年近く前)、ズーラシアへ一緒に行ったことがある。横浜市民の由梨がぼくを案内したのである。しかし、当時のぼくは「なぜぼくはゲイなのに女性と付き合っちゃったんだろう……」という後悔に囚われていて、せっかくの初ズーラシアを心から楽しめなかった。だけどいまのぼくなら由梨と一緒でもズーラシアを楽しめる気がする。それにズーラシアは上野動物園よりは空いてそう。そんなわけで、ぼくは「上野動物園じゃなくてズーラシアはどう?」と逆提案し、由梨も「ああ、最近行ってないもんね。ズーラシアにしようか」と応じて、それでぼくらのズーラシア行きは確定したのである。

 混みそうだから朝から行こうと約束を交わし、前回同様、相鉄線鶴ヶ峰駅から路線バスに乗って行くことになった。当日。ぼくは前日の晩は夜勤のバイトがなかったのに寝坊しかけてしまい、慌てて家を飛び出す。自転車を猛スピードで走らせ、ダッシュでJR蒲田駅の階段を降り、京浜東北線(大船方面)に飛び乗る。なにしろ、鶴ヶ峰駅の9時35分発のバスに乗り遅れたら、次は10時02分発のバスまで待たないといけないのだ。言っておくが、ぼくのこの猛スピードやダッシュは褒められた行動じゃありません。

 JR横浜駅到着。早足で階段を降り、集合場所の南改札前へ。由梨が待っていたので、「待たせてごめん! 早く行こう!」と挨拶もそこそこに相鉄線乗り場へ早足で向かう。ちょうど始発の特急が待機していたのでそれに乗り、「……はあ、間に合った……」と安堵する。由梨からは「慌てなくてよかったのに。もし遅れても次のバスに乗ればいいだけなんだから」と諭されたが、ぼくは予定を決めたら予定通りにいきたい人間なのである(だったらもっと余裕を持って行動しろ!)。

 横浜駅の次の西谷駅で各停に乗り換え、その次の鶴ヶ峰駅で下車。特急を使うと横浜駅~鶴ヶ峰駅はめちゃくちゃ近い。鶴ヶ峰のバスターミナルでバスを待っている間に、由梨が事前にコンビニで発券しておいてくれたズーラシアの前売券1枚分の料金(一般800円)を現金で支払う。ぼくの寝癖を直そうとする由梨の手をやんわり制していると、「よこはま動物園北門行き」のバスが来た。ゴールデンウィークだから路線バスも激混みになるだろうと思っていたが、意外と座席は余裕があった。まだ9時台だからかな?

 バスに乗りながら外に目をやると、ケンタッキーフライドチキンのドライブスルーの看板が目に入ってきた。前回、由梨とズーラシアに行った時にも見た記憶があるやつだ。ぼくが「ケンタッキーの看板、前に来た時にも見た記憶がある」と言うと、由梨は「わたしが小さかった頃からあるよ! 子どもの頃、家族で車でズーラシアに行った時にこのドライブスルーに寄ったことがある」と教えてきた。仲良しな家族って実在するんだなあ。

 今日は祝日なのでバスはズーラシアの北門まで行くとのこと。ぼくらは前回はふつうに正門から入園したので、今回は北門から入ってみようということになった。「よこはま動物園北門」バス停に到着。由梨から「忘れ物してない?」と確かめられながら下車。入口でスタッフさんに前売券を見せ、いよいよ、ぼくにとっては1年9か月ぶり2度目のズーラシアに入園する。

 前回来た時から2年も経っていないので、さすがのぼくも園内の様子は覚えていた……と言いたいところだが、「えっ、こんな動物いたっけ?」「こんな場所あったっけ?」の連続で、由梨から「初めて来たひとみたい」とツッコまれる始末だった。ぼくは見たものを忘れやすい性質なんだよな。映画とか小説も、観終わって(読み終わって)しばらく経ったらどんな内容だったか忘れちゃうし。その割にはどうでもいいことは覚えていたりして(ケンタッキーフライドチキンのドライブスルーの看板があったこととか)、ぼくの記憶能力はバランスが悪い。

 ぼくがこの日、北門から入って初めて見た「リカオン」という動物もそうだった。前回見た記憶がまったくない。由梨が「リカオンは前回は姿を隠していたと思う」と教えてくれたので、まあ、それなら記憶にないのも当然ですよねって感じになったけど。リカオンはイヌ科だけあって犬に似ている。ちょこまか走っているところがとんでもなくかわいい。ぼくも由梨も写真を撮ったが、ぼくの写真ではリカオンのかわいさを伝えられているとは思いません(そもそもどこにいるのか分かりません)。でも、生で見たリカオンは本当にかわいかった。

ものすごく拡大すればリカオンが見えるはず
ものすごく拡大してもリカオンが見えない説

 できればリカオンをずっと眺めていたいところだが、一匹目の動物に時間を取られるわけにはいかないので前進する。お次の動物はキリンだ。キリンは前回来た時にも見たような気がするが、前回とは違う北門からのルートで進んでいるせいか、新鮮な気持ちで対面することができた。由梨が「キリンってやっぱり脚が細いよねえ。『大哺乳類展』で見た骨格とおんなじだ!」と普段よりテンション高めな口調で言ってきて、ぼくもそれにつられて楽しい気持ちが膨らんだ。

高身長哺乳類

 続いて、ライオンやミーアキャットのエリアへ。チーターの写真はぼくにしては臨場感たっぷりに撮れた気がする。やがてぼくらはヒガシクロサイ、ヒトコブラクダ、ピグミーゴートなどを見ていくことになる。由梨は意外とサル系の動物も好きみたいで、アビシニアコロブスという毛むくじゃらのサルに興奮していた。「黒と白のコントラストがいい」と感想を述べていたあたり、さすがは色遣いに定評のあるアニメーターである。

チーターが走ってきた!
アビシニアコロブスはそっぽを向く
明らかにこっちを見ている

 途中、「この施設は宝くじの普及宣伝事業として整備されたものです」という看板が掲げられた小屋があった。この小屋には前回も来た記憶がある。ぼくが写真を撮っていたら、由梨から「本当こういうの好きだよね」と笑われた。「『こういうの』って?」と聞いたら、「変なものとか地味なものとか。おもしろ看板とか市が設置したオブジェとか」と解説された。まあ、由梨の言いたいことは分かる。少し前も、ぼくは香川(学科の友人)から似たようなことを言われたばかりだ。

この施設は宝くじの普及宣伝事業として整備されたものです
屋内にはこんなイラストもあり〼

 前回来た時には思わなかったけど、ズーラシアは他の動物園と比べてテーマパーク感が強い。ぼくの主観だが、上野動物園が「動物のショーケース」という感じであるのに対し、ズーラシアは東京ディズニーランドのアドベンチャーランドとかウエスタンランドみたいな感じがする。トム・ソーヤーの世界(?)の中を自分が探検しているような没入感があるというか。『アフリカの熱帯雨林』や『アマゾンの密林』のように各エリアに名称が付けられていたり、動物の足跡が道に刻み込まれていたりするところもディズニーみがありますね。だから、ズーラシアは園内を歩いているだけでも楽しい。

アフリカ大陸っぽい
岩に擬態したクロサイを探せ
クリッターカントリー
隠れミッキー的なやつ

 だけど、ズーラシアはきちんと「動物について学べる施設」でもあって、園内には動物にまつわるコラムが書かれたパネルも設置されている。「この動物はこういう特徴がありますよ」というのはもちろんだけど、中には「動物と人間の共生」をテーマにしたちょっと考えさせられる内容のものもあって、ぼくはこういうパネルを読むのが結構好きだ。

ミーアキャットはペットじゃねえ!
ヒガシクロサイの密猟をやめよ!

 さて、『アフリカのサバンナ』エリアを抜けて『アフリカの熱帯雨林』エリアに向かうと、ズーラシア名物のオカピさまがいらっしゃいます。ぼくの撮った写真はどれもイマイチですが……。っていうか、お分かりのようにぼくは写真を撮るのが下手でして、撮った写真は動物の写真というより全景写真になってしまっているのです。……でも、しょうがないじゃないか! ぼくのスマホのカメラはクローズアップ撮影とかしちゃうと画質の粗さが際立つ低機能仕様なんだもの! ぼくの写真に文句があるひとはズーラシアへ行って直接動物たちを見てきてください!(逆ギレ)

尻を向けるオカピ(屋内)
横切るオカピ(屋外)

 オカピの隣のフロアにいたヤブイヌもかわいかったな。犬小屋(ヤブイヌ小屋?)の中でお昼寝中だったけど。ぼくが低機能スマホを駆使して頑張って写真を撮っているのを見ながら、由梨が「(ぼくの下の名前)くんは犬が好きだね」と言ってきたけど、ぼくは紛れもなく猫派である。祖母の家の猫を愛してきた男である。

ヤブイヌ小屋

 その証拠に……と言ってはなんですが、ぼくはツシマヤマネコの写真も撮りましたぞ! うーん、かわいい。かわいすぎる。人間のことなんて気にしてませんよ、みたいなクールな態度がたまらない。由梨が「こうやって見るとチーターと似ているね。やっぱり同じネコ科なんだなあ」と言ってきた時、ぼくの脳内ではこのツシマヤマネコが巨大化してチーターのように高速で走り回る姿が浮かんだ。そうなると「かわいい」ではなく「怖い」と言わざるを得ない。ぼくが由梨に「怖いこと言うなよ……」と言うと、由梨は「どこが怖いのさ?」とぼくの右腕を殴ってきた(怖)。

ネコ科なんで気まぐれです
ツシマヤマネコと国産米のコラボ

 この日、ズーラシアには、ぼくだけじゃなく由梨の記憶にも残っていなかった動物がいた。モウコノウマだ。なにしろ、モウコノウマは去年(2023年)1月にズーラシアにお目見えした動物なのである。多摩動物公園からお引っ越ししてきたらしい。3頭揃ってお引っ越しするはずだったが、うち1頭が輸送箱の中に入るのを嫌がったため、最初は2頭だけお引っ越しして、去年の12月にようやく3頭での再会を果たしたそうだ。動物にもそれぞれ性格があるんだなあ。

感動の再会を果たした3頭
もはや感動は薄れたらしい(バラバラの方向を向いている)

 『中央アジアの高地』エリアには「ドール」という動物がいた。イヌ科ドール属に分類される動物だ。前回見た記憶があるような、ないような……。みんなでお昼寝中だったけどめちゃくちゃかわいい。と思いながら眺めていたら、ぼくらの背後から「ただの犬だ(笑)」「野良犬やん(笑)」という言葉が聞こえてきた。ひどい暴言だ。ぼくがびっくりして振り返ると、ドールを嘲った連中はさっさと次のコーナーへ移動していた。

 こんなかわいい動物を「ただの犬」呼ばわりするとは何事か。そもそも「ただの犬」で何が悪いのだ。あと、現代日本の都市部では野良犬はむしろ希少な存在だぞ。ぼくは寝ているドールに向かって「人間がひどいこと言ってごめんね。ぼくはドール大好きだからね」と小声でささやく(どう考えてもドールには聞こえていないが)。隣にいた由梨はぼくのその様子を見てなぜか微笑んだあと、自分もドールに向かって「かわいいねー!」と声をかけていた。由梨は結構いいやつである。

体を寄せ合って眠るドールたち
ドアの前で寝るのは危険だぞ
なにもそんな隅っこで寝なくても……

 ドールとお別れして前に進むと、『オージーヒル』というレストラン&グッズショップの建物がある広場のところで、チュロスを食べている子どもがいるのが目に入った。美味しそう。ぼくらもチュロス食べちゃおうかということで、1本400円という価格設定に疑問を感じつつも、ぼくらはキッチンカーでチュロスを1本ずつ購入する。その場でもぐもぐ。ぼくらは本当は『オージーヒル』のレストランで昼食をとるつもりだったのだが、入店待ちの行列ができているし、いまチュロスを食べたばかりでお腹もそこまで空いていないので、昼食は後回しということになった。

 グッズショップへ寄ったあと(由梨はお土産用のお菓子とノートを買ったがぼくは何も買わなかった)、『亜寒帯の森』エリアへ向かう。ここにはペンギンがいる。ペンギンはぼくの好きな動物・海部門1位の動物である(ちなみに陸部門1位はハイエナ)。それから、レッサーパンダとかゴールデンターキンとかも見て、『アジアの熱帯林』のエリアへ向かう。途中、由梨が好きだというエスニック風のオブジェ(?)があって、ぼくも由梨につられて写真を撮ったが、これって結局何なんでしょうね……?

目を凝らせばペンギンが見えてくる
謎のエスニック風オブジェ

 道の途中にあるトイレに寄ったあと(鏡を見たらまだ寝癖が残っていたので直した)、ぼくらはズーラシア最後のエリア『アジアの熱帯林』へ。北門から正門へ向かうルートだとここが最後に訪れるエリアとなるのだ。インドライオンやスマトラトラがいた(はずな)んだけど、なぜか写真は撮れてませんでした……。たぶんこのブレにブレまくっている写真がインドライオンかスマトラトラ、もしくはウンピョウを撮った写真なんじゃねえかと思うんですがね……。

このブレ写真をnoteに上げる意味

 『ジャングルカフェ』(という名のフレッシュネスバーガー)があったけど、かなり混んでいたし、ぼくも由梨も空腹に耐えかねるわけではなかったのでスルーして、インドゾウのコーナーへ進む。北門から正門へ向かうルートだと最後のコーナーだ。逆に言うと、正門から入った場合はインドゾウが最初に見る動物になるってわけですね。インドゾウの写真はちゃんと撮れてましたよ!(横から+背後からだけど)

インドゾウだぞう
生で見ると迫力あります

 はい、正門到着。北門から入園してここまで、なんだかんだで3時間ぐらいかかっている。今回この記事でぼくがみなさんにご紹介した動物はほんの一握りにすぎないのです。由梨が「どうする? 北門まで戻ってまた一周する?」と冗談を言ってきたので、ぼくは「そうだね。もう一度ドールを見に行くか」と半分冗談・半分本気で応えたが、その一秒後に「……やっぱりやめよう」と発言を撤回した。ぼくの脚はさすがに疲れたのである。

 正門前のグッズショップで再びズーラシアグッズを見物したのち(ぼくは結局何も買わなかった。というより経済的事情により買えなかった……)、ちょうど「鶴ヶ峰駅行き」の路線バスが来ていたので乗車する。昼食はどうしようかという話になったので、ぼくは「来る途中にあったケンタッキーに寄る? このバスにドライブスルーに入ってもらって」とボケる。疲れているのでボケも雑である。ただ、由梨は「いいね、ケンタッキー」と言ってスマホでサッと調べると、「あ、鶴ヶ峰駅にケンタッキーあるみたいだよ」と伝えてきた。というわけで、お昼はケンタッキーに決定ダ!

 お昼時のピークを過ぎていたためか、ゴールデンウィークなのにケンタッキーフライドチキンココロット鶴ヶ峰店はそこまで混雑していない。半額になっていたナゲットを二人で一緒に食べている時、由梨が「旅行のお土産のリクエストある?」と聞いてきた。由梨はゴールデンウィーク後半、毎年恒例の家族旅行に出かけるのだ。旅行の計画を立てる際、由梨のお父さんは由梨に「もしなんだったら今年は家族旅行に参加せず(ぼくの名字)くんと旅行に行っても構わない」と言ったそうだが、そんな選択はあらゆる意味で間違っているしぼくに何のメリットもないので、ぼくは「由梨は家族旅行に行くべき。常にご家族を優先すべき」とお断りした。由梨のご両親はなぜかぼくのこの対応を評価し、「(ぼくの名字)くんはしっかりしているね」と由梨に言ったそうだが、ぼくが自分の利益しか考えていない自己中心的なゲイであることを由梨のご両親はまだ知らない。

 ぼくは旅行のお土産は本当にいらないタイプの人間なので、「お土産はいらない。その代わり、今度は他の動物園にいるドールを見に行こうよ」と提案した。ドール。さっきズーラシアで口の悪い来園者から「ただの犬だ(笑)」「野良犬やん(笑)」と嘲笑されていた動物である。ぼく的にはめちゃくちゃかわいくて大好きになった。だけど今日のドールはお昼寝中だったから、今度は動いているドールを見てみたいと思ったのだ。

 さて、先日のこと。ゴールデンウィーク後半の家族旅行から帰ってきた由梨から結局お土産を受け取りながら、ぼくは由梨から「あっ! そういえばドールのこと調べた?」と尋ねられた。ぼくは「ドールって何?」と尋ね返す。情けない話だが、ぼくはドールという生き物の存在自体をすっかり忘れていたのだ。やっぱりぼくの記憶能力ってどこかおかしいよな。由梨はその場でスマホを取り出して「お土産の話をしていた時に言ってたじゃん……お土産はいらないからドールのいる動物園に行きたいって……」と呆れながらGoogle検索をすると、「……へえ、ドールはズーラシアにしかいないんだって!」と教えてきた。

 そう。どうやらドールは、日本ではよこはま動物園ズーラシアでしか展示されていないらしいのだ。つまり、動いているドールを見たければ、ぼくはズーラシアに行くしかないのである。ふーむ。こうなったらリベンジだ。この前行ったばかりなので「来週」とか「今月中」とかいう話にはならないと思うけど、ぼくらはまたドールに会いにズーラシアへ行くつもりだ。ぼくの愛するドールへ告ぐ。きみは「ただの犬」なんかじゃないし、もし「ただの犬」だとしてもぼくはきみのことが大好きだ。だから、次回ぼくが会いに行った時には起きていてくれるとうれしいなあ……なんて願うのは人間のエゴですね。うん、ドール。好きな時に好きなだけ寝ていていいよ。周りの雑音は気にせず、マイペースに生きてくれたまえ。

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