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【ハーブ天然ものがたり】レモン


(本日ご紹介するレモンは、過去記事リライト部分が含まれます。
当社商品Shield72 °のオリジナル・アロマブレンド。72°の香りとして抜擢されたレモンのものがたりです)


おうちの常備薬


レモンをはじめとする柑橘類の香り成分は皮にたくさん入っています。
精油をふだん使いしていなくともレモンの香りはいつでもお手軽に楽しむことができます。

国産、無農薬、防腐剤、ワックス不使用のものなら、すりおろし器で皮を刷り下ろし、塩に混ぜておくと使い勝手がよいです。
レモンピール塩は香りを楽しめる調味料で、サラダにふりかけるもよし、バスソルトとしてお風呂でからだを洗うのにも重宝します。

レモンの果皮に含まれる代表的な香り成分リモネンは、血行を促進し代謝や消化活動をアップするといわれています。
レモンらしい香りをつくるシトラールは鎮痛、鎮静作用があり、ざらつく興奮を落ちつかせるのに役立ちます。

そして果汁がもっているクエン酸はもともと人体のなかにも存在し、クエン酸回路というエネルギーを生み出す代謝経路になっていて、ミネラルの吸収を助けるはたらきがあるといわれています。
豊富なフラボノイドは食後の脂質代謝を助け、もちろん「レモン〇個分」と宣伝に使用されるビタミンCも豊富です。
じっさいグレープフルーツのほうがビタミンCは多いらしいのですが、15世紀-17世紀の大航海時代、壊血病に悩まされた人類を救った功績が根強く印象に残っているのかもしれません。

体調不良のお助けマンみたいなレモン。
その形も、色合いも、なんというか心をぱっと明るくして、こども心をくすぐるような、不思議で神秘的な果実です。

果皮に多く存在する精油成分は、果実が傷まないよう消毒殺菌作用をもち、と同時に鳥や動物を引き寄せるよい香りでもあります。
たくさん食べてもらって別の場所に排泄してもらうことで、種は遠くに運ばれます。
人にとっても消化機能を高める香りでお誘いしている、というわけです。

レモン様の香りをもつハーブはたくさんあり、レモングラスをはじめとして、レモンバーベナ、レモンバーム、レモンマートル、レモンユーカリ、レモンミント等々、イネ、シソ、クマツヅラ、フトモモ科へと広がっています。

レモンの形を図形で表す場合、なんという言葉がふさわしいのか調べたことがあるのですが、アーモンド形、レンズ型、しずく型、涙型、ラグビーボール型、ヴェシカパイシス等々、色々候補はあったものの、やはりレモン型は「レモン型」といえば万人わかる説で落ち着きました。

特殊なのに奇抜じゃなくて普遍性がある、さらに他に似ているものがいないって、ちょっと珍しいと思います。


レモンをひとつ、ポケットに入れて


フランスの軍医ジャン・バルネ博士(1995年没)は、精油の効能を化学的・医学的に研究した第1人者で、大戦中に負傷兵の治療に精油を使ったことで有名です。レモンの精油が空気中の菌をどのくらいの時間で殺菌するか、研究結果も残されています。

そうした先人のおかげで、いまアロマテラピーを楽しく学ぶことができ、生活に生かせることを、ほんとうに感謝してやまないのですが、レモンに限らずハーブの歴史は、呪術や魔術、占星術など非科学的といわれる領域と結びつき、現代においてもアロマテラピーは非科学的であるというレッテルを貼られることは少なくありません。

ただ個人的にはそのくらいの、ぼんやりした立ち位置にあったほうがハーブとのホリスティックな関係性が築けて、いいんじゃないかなと思っています。
体制派にスポイルされると、ほんとうの凄み部分を無駄情報としてきれいさっぱりカットされてしまう。
形状や植生の見える部分だけで整理分類し、実験結果の積み上げだけで立証しようとする姿勢は、生命や自然を半分こして、その片側だけに光をあてる手法なのではないかな、と。

成分や効能だけをとりあげる学術的な見方では、はかりしれないことが山ほどあり、現代人の制限つき脳みそではわからないことだらけ、見えないものだらけ。
そんなことを含めて、ハーブとはホリスティックにつきあわないと、せっかくの縁も宝の持ち腐れというものです。
もちろん日進月歩、研究してくださっている方々をディスっているわけではありません。そのおかげで楽しく使用できることを本当にありがたく思っています。

そして学術的に解明できないことが満載でも、直感がいいねと囁き、いのちが喜んでいると感じるものは、ちゃんと後世に伝承されてゆく、人類の感性がつなぐタスキ、クラシックや古典といわれるものを形成する力も、同時にすばらしいなと感じています。

レモンをひとつ、ポケットに入れて、ときおり香りを嗅いだり、ぼんやり眺めたり。
レモンがあるってだけで、いい知れぬ幸福感に満たされて、手のひらのなかに塩梅よくおさまる感覚や、その軽すぎず重すぎない質感が、いいようのない安堵感をもたらしてくれる。

中世ヨーロッパを中心にレモンを描きまくっていたという画家たちも、きっとレモンの魅力、神秘性に、わけもなく惹かれていたのだろうと想像しています。


明晰さと線引き


古典として受継がれるものには普遍性があり、一過性の流行ものとちがって多くの人々の思想や印象に共通する概念を刻印します。
そうして100年、1000年の時を超えて、地上にひとつの集合的な型が生み出されてゆきます。

普遍型はフラッグサインはもちろんのこと、面倒な説明をはぶいてふわっと形容するのに使えるし、あたらしい取り組みの青写真にもできるし、とかくべんりなものです。

レモンは清涼感とともに明晰さをあたえ、リフレッシュできる香りですが、そうした香りもまた、ほかの精油とちがって、感じ方、印象、気分的な変調に大きな個人差はほとんどないように思われます。
レモンの香りという、ひとつの普遍的な型が完成されているのではないかな、と。

自分と周囲の境界線を明確にし、見えないけれど確かに感じる、パーソナル・スペースを再認識する。
カタチといい香りといいその色といい、レモンにはヒトのこころを屹立きつりつさせる力があるように思います。

溜まりに溜まった頭のなかのキャッシュを削除して、スペースをつくり、大衆心理路線から距離を置いて、自分がいまどこに、どんな風に立っているのか確認したいときに役立つなぁと感じています。

檸檬の色彩はガチャガチャした色の階調をひっそりと紡錘形の身体の中へ吸収してしまって、カーンと冴えかえっていた。私は埃っぽい丸善の中の空気が、その檸檬の周囲だけ変に緊張しているような気がした。私はしばらくそれを眺めていた。
(略)
丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなにおもしろいだろう。
私はこの想像を熱心に追求した。
「そうしたらあの気詰まりな丸善も粉葉みじんだろう」

「檸檬」梶井基次郎

憂鬱をふきとばし、あたまのなかをさっぱりさせて、こども心をとりもどすような、ワクワクした爽快感をはこんでくるレモン。
大航海時代に海へと駆り立てられた人類の冒険心を、さらに広げていこう!と後押ししたように。
そんなレモンの得意技を「檸檬」のお話のなかに感じます。


キャッシュも憂鬱も洗い流す


人の肌はおよそ28日ごとに生まれ変わる循環システムをもっています。
毛穴の汚れが排出されると、肌を守るための皮脂は正常なサイクルで分泌されるようになり、肌の表面に天然の油分と水分による絶妙な膜が維持されます。
お肌のターン・オーバー、つまり循環サイクルが整って、天然の皮膚バリア機能が自然な状態で保たれます。

皮膚を洗うときにレモンの香りをプラスすると、あたまとこころがリセットされて、からだの循環はよくなり、ついでにあそび心がチャージされる。
1日の汚れのみならず、あたまの不要なキャッシュも、こころの憂鬱も洗い流してくれる。
そんなレモンは洗顔にぴったりだろうということで、初手から洗顔シリーズの香りとして最有力候補でした。


レモンをひとつ、手のひらにのせて、鼻に近づけゆっくりと深呼吸。
レモンをひとつ、ポケットに入れて、手のひらにコロコロとなじませる。
レモンをひとつ、まくら元において、ひんやりした感触を首にあてる。
レモンといっしょに過ごして遊ぶ時間をもつと、あたまのなかが断捨離されて、こころもプルンと軽やかになります。

こんなに身近に、ごくふつうに、「ありきたり」な体でいてくれる柑橘類は、ほんとうはすっごい実力者で、即効性のある魔力を秘めているものたちなのだろうと感じています。


レモンは四季咲き性なので、環境が整っていればいつでも花を楽しませてくれます。寒くなってから寝室においたサイパンレモンはすぐに花満開となり、おうちじゅうによい香りを放ってくれとります。

レモンの花


*当ブログで紹介している植物の一般的な性質は化粧品の効能を示したものではありません。
*Shield72°製品に使用されているオーガニック・レモン精油は、正式にはレモン果皮油と呼ばれ、賦香目的で配合しています。

しっとりホワイト 洗顔シリーズ

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お読みくださりありがとうございました。
こちらにもぜひ遊びにきてください。
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