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【ハーブ天然ものがたり】ベンゾイン/安息香の木


塞ぐものを融解する


ベンゾインはエゴノキ科エゴノキ属。
アンソクコウノキ の樹脂から得られる香り成分です。
ジャワ、スマトラ、タイ、ベトナム、ラオスが主な供給国で、スマトラ産のものが市場に多く出回っています。

バニラの香りのもと、バニリンを1~2%ほど含んでいるので甘い香りが特徴です。
安息香は文字通り、呼吸器系にはたらきかけて、息を安らかにする効能から命名されました。
パチュリ同様香りが持続するベースノートで、天然の保留剤になるので香水などにも使用されています。

タイではベンゾインの樹脂がそのまま販売されているのを、よく市場で見かけました。
湯煎してとかすと天然精油のできあがりですが、粘性が強いので、製品化する際はアルコールなどに希釈して、瓶詰めされます。

「芳香療法の理論と実際」ロバート・ティスランド

安息香は陽性の鎮静剤で、ことに粘膜に対して著しい効果があります。
泌尿管系、呼吸器系にとりわけ価値があります。
これには塞ぐものを融解する力があるようです。


中医学では寒湿症と診断する呼吸器系と泌尿器系の疾患にベンゾインを用いてきました。
中世ヨーロッパではガム・ベンジャミンと呼ばれ、固くなって、ひび割れした皮膚に塗ったり、蒸気吸入で呼吸器を癒すのに使用されてきました。
フランスでは慢性のせきや気管支炎を和らげるため、樹脂を焚き、香りを吸入してきました。

バニラの香り


タイでベンゾイン採ってるところだよと見せてもらった木は、幹に三角の傷があり、そこから出てくる樹脂を集めていました。
すこし一人時間が欲しいと願い出て、木と潜在的なつながりをもとうと試みましたが、はじめてすぐに具合が悪くなってしまい断念しました。
その後は吐いたり下したりして半日ホテルで寝ていました。

たまたまその場所がそうだっただけ、と思い(願い)ますが、樹脂を戴くというより、乱雑に搾取している感に打ちのめされたのは確かで、ものの価値というのはありすぎると感謝を忘れてしまう…
ヒトのエゴについて、自戒を込めていろいろと考えさせられました。

バニラ様の香りが希少だったころは、うんと大切に扱われてきたのだろうな。
現代はバニラ(ラン科バニラ属のつる性ハーブ)も、菓子類の代表的なフレーバーになって、西洋ではvanillaという形容詞を「ごく普通の」「凡庸な」という意味で使っていると聞きました。

コンピューター用語や、トレーディングカード、音楽業界でも、初期の状態とか、特典やオプションのついていない素の状態をバニラと表現するそうで、個人的にはハーブ界におけるレアな香り成分がそのように扱われていることに、トホホ…という気分です。

吸いつくような粘りで事を成す


日本に戻ってからエゴノキ/野茉莉をみかけるたびに、あの時のアンソクコウノキを思い出します。
野茉莉は、エゴノキ科エゴノキ属 学名Styrax japonica
安息香は、エゴノキ科エゴノキ属 学名Styrax benzoin

エゴノキ属は白い花が星降るように下向きに咲きほこります。
日本のエゴノキは初夏に開花し、5弁の花びらがしっかり開きます。
民家と呼べるような造りの家々が立ち並ぶ田舎道を歩くと、玄関わきや門の横にエゴノキが植えられているのをよく見かけます。
花が終わると白っぽい、まんまるの実がつき、果皮には界面活性作用のあるサポニンが含まれるので「石鹼の木」とよばれ、むかしは洗剤として使っていたそうです。

エゴノキ/野茉莉の幹は緻密で、粘り気のある木材になり
・将棋の駒
・そろばんの珠
・杖や和傘の柄
などに使用されています。
エゴノキの種子はお手玉にして独特の感触を楽しんだそうです。

手のひらに吸いつくような、シトッとした感触。
微弱な粘り気、まるで磁石のように引きあうつながり。
固体と固体のあいだに見えない糸が紡がれているような、そんな感触がある物体には、エーテル体が集まっている、と感じます。

たとえば新品のトランプはつるつるしてシャッフルしにくいですが、年季の入った使い古したカードはしっとり、ねっとりとして、扱いやすいです。
使い込んだ人の気が、そのまままとわりついているような。

20年ほど昔のこと、高名な気功の先生に師事したことがあるのですが、独特な入門試験があり、そこをクリアしないと講義を受けることができませんでした。
試験内容は新品のトランプを渡され、開封したのちは誰にも触らせず、自分だけでシャッフルしたり、混ぜたりしてカードに気(エーテル体)を練り込みます。
十分つながったなと思ったら、ひとつカードを決めてシャッフルし、そのカードがいちばん上にきたと思ったら手を止めて、カードをめくります。
事前に宣言したとおりのカードであれば合格、という試験でした。

運よくわたしはクリアできたので、師事することができたのですが、この時カードに気(エーテル体)を練り込みながら思い出していたのが、エゴノキ属の特性です。
日本のエゴノキは樹脂の採油にまで至らなかったにしても、駒、珠、柄、杖、お手玉など想像するに、使い込むほどにエーテル体を集めやすい印象があります。

シトッと手に吸いつくような粘り感は、使い込んだ家具、家電、身のまわり品にも顕われ、長年暮らした場には、その人ならではの気配が醸成されます。
民俗学者であり国文学者、国語学者でもあった折口信夫(1887年- 1953年)は、永年使い込んだものは魔物化する、と表現されました。

エーテル体はつなぐもの。
場を形成し、次元をとびこえ、地球人類にはみえない糸を張りめぐらしています。
ベンゾイン/安息香には、エゴノキ属の「エーテル成分を集積する得意技」があって、精油(樹液)には、より精妙なスピリットが顕現しているのではないかしらん。
そう考えるようになってから、わが家ではベンゾインを固と固とつなぐ、実事師じつごとしのゴットン隊長と呼ぶようになりました。

パチュリ&ベンゾイン
サッと切りかえサットン隊長、事を為すゴットン隊長と呼んでいます


かんたんな使用方法、その一例をご紹介すると、できるだけ狭い空間で、ベンゾインを焚いて香り成分を充満させます。
「今年は美味しい桃が食べたいね」というテーマの場合、桃について集中(わたしはマインドマップを使っています)。
あとは桃のことをすっかり忘れて、スーパーで出会うか、ネットで見つけるか、知人友人がおすそ分けしてくれることもあり。

天命を待ちますw

☆☆☆

お読みくださりありがとうございました。
こちらにもぜひ遊びにきてください。
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