暑すぎた今夏、7月22日~24日にJAPAN CRAFT BOOKが企画した「島根・隠岐ツアー」に集った総勢16名で、隠岐の西ノ島に鎮座する焼火神社に参詣が叶った。 境港からフェリーで3時間。島前と呼ばれる三島(中の島・西ノ島・知夫里島)の中の西ノ島に焼火神社はある。 こちらで2年に1度行われる例大祭で奉納される島前神楽をテーマに「神迎え」の本が生まれたのであるが、私はまだ実際に拝観したことが無かった。 7月23日午後7時に始まる神事のため、焼火山を登っていく。途中で見下
今夏の暑さは怖いくらいのもので、連日「危険な暑さ」を耳にします。しばらく遠ざかっていた「不要不急の外出は控えて・・・」の文言も再登場。 私自身、今あまり出かけられない事情を抱えていることもあって、細切れの時間をなんとか繕って、墨を磨り、筆を執り、紙に向かっています。 1日に書くものは大抵1つの材料(草稿や臨書、創作、楽書き?)。そのうちに「何だか違う」「ちょっと違う」「悪くないけど違う」というものが自分の中に湧きあがり、それが高じて時には 「全然違う」「一体、何を書いている
「日本の神様の物語を日本の紙に綴る、描く」を柱にした美術本『神迎え』が、令和6年1月1日に予約販売開始となりました。 島根県隠岐の西ノ島に佇む焼火神社(たくひじんじゃ)に1300年以上伝わるお神楽を題材に、画家・水野竜生氏の画と、文筆家・稲垣麻由美氏の文によって、ユネスコ無形文化遺産の石州和紙で作られています。 和紙に印刷するという工程以外はすべて人の手によって作られ、その印刷はというと原画に限りなく近づくようにと、シルクスクリーン法をとられています。 それはそれは美しい本
今年の1月1日にJapan Craft Bookさんが刊行されたアートブック「神迎え」。日本の神様の物語を日本の紙(和紙)で描かれた、それはそれは美しい美術本です。 この「神迎え」、島根県の隠岐・西ノ島にある焼火神社を舞台に1300年以上も伝わるお神楽のお話を、画家・水野竜生先生の水墨画、文筆家・稲垣麻由美氏の文で構成し、本石州和紙に印刷をし、この印刷以外はすべて職人さんの手から成るものです。未熟ながら、私も題字とお神楽の一節を書かせていただいております。 この「神迎え」
少々心ががさついて、無駄にイライラする時間が増えそうな気配だったその日、目の前のことを放り出して外に出た。 近所の小さな公園にある河津桜。その日はもう葉桜になり始めていた。私は、満開の桜より、精一杯開く花たちのすぐ下から、まだあさい緑色のクシュっとした小さな葉が見え始める葉桜に、強く惹かれる。 子どもの頃からそうだったので、周囲の大人にはよく不思議がられていた。 花は開くことに徹する。美しく開いてやろうとか、この後散ってしまう己の運命など微塵だって考えてはいない。葉の方も
岡本太郎氏といえば太陽の塔。 昭和生まれ世代、また特に関西出身の人間には心の拠りどころになっていることがあるでしょう。この私も言わずもがな。 私のバイブルともいえる太郎氏のご著書『自分の中に毒を持て』。時折読み返すのですが、そのたびに、「命を懸けているか。プライドを持っているか。」と問いかけられているように感じます。 その問いは自分が何者であるかを認めているか、弱いなら弱いでそれを受け容れること。 またプライドというものは、受け容れた自分のことを胸を張って世に開くこと。
辰巳紫瑛展〜心ととのえる書〜 昨日、無事に会期を終えました。 22日の搬入から丸1週間。お運びくださった皆様、様々な形で助けていただいた皆様、会場の桃林堂様、全ての方々に心から感謝申し上げます。 個展のタイトルを背負ったのは私ですが、1人ではとても出来なかったことを噛み締めております。 それを大事にし、また書く道を行きたいと存じます。 今後ともよろしくお願い申し上げます。 今あるのは、大いなる疲労感のみ。早めに解消する努力に励みます。 まだまだ書いていきたいので
辰巳紫瑛展〜心ととのえる書〜 2024年1月23日(火) 12時 無事に初日を迎えることができました。 作品制作、表装、DMの準備、搬入。 どれもこれも私1人では出来ませんでした。 手を借り、知恵を借り、叱咤激励を受けて迎えた初日。「やれやれ」という諦めも含んだ安堵を胸にしています。 達成感も感慨もまだ湧いて来ず、未だこれで良かったのかな…と、展示した作品を前に首を傾げておりますが、ひとまずここが今の私の集大成。これ以上もこれ以下もありません。 未熟で拙い作品ではご
個展の作品を年末ギリギリに表装のお願いをし、会場にDMをお持ちしてと走り回って漸く迎えた年明けから、10日程が経ちました。 実は、近づいてくる個展開催日にまだワクワクする余裕がありません。 それでも時はきっちりと進んでいきます。 今の自分の心を無理に乗せて行く努力はやめよう…お気に入りのお香を聞きながら、展示する軸を前に自身に言い聞かせています。 この軸にしたためた文言は「放下著(ほうげじゃく)」。「執着を捨ててしまえ!」という強く言い切った意味を持ちます。 執着には色
年明けに開催する個展のDMが出来上がってきました。 拘ったのは「シンプルであること」。とても気に入っています。 会期中の27日(土)14時から、ギャラリートークの予定をしております。浅学でお恥かしいですが、少しお話させていただこうと思います。 ご都合許す方は、お運びくださいませ。 表具屋さんへ持ち込む締め切り間近です。 上手く行かないものもあり、少々苦しんでおりますが、自分のもっているものでしか書けないのですから、いい意味で図太く開き直っていこうと思います。
【個展開催のお知らせ】 辰巳紫瑛展〜心ととのえる書〜 2024年1月23日(火)〜28日(日) 於:桃林堂青山支店内画廊 この度、個展を開催するはこびとなりました。 6歳で近所の書道教室に通い始めてから、ただただ書くことだけが自分の中にあり、今に繋がって来ています。 何を成して来たか、と問われても答える言葉を持ち合わせていない未熟者でございますが、自分の中にあるものを書にすることに臨みます。 年明けの寒い時期ではございますが、お時間赦す方にお運びくだされば
去る11月14日と12月3日に大人の学び舎・万年筆講座を開催いたしました。 万年筆というと大人の持ち物。 そんな憧れにも似た思いをお持ちの方も多いと思います。 でも、日々使いこなすということに少し引け越しの方もいらっしゃることをよく耳にします。 数多ある筆記具の中でも、私は万年筆を一番好みます。 書き始める際の紙に当てたペン先の柔らかさと強さに、背筋が伸びるような、凛とした美しさをいつも感じています。 書き手の力加減によって、ペン先からは泉のように湧き出してくるインクの
月に1度、高齢のご婦人のプライベートレッスンに伺っています。 ピンクのお洋服がよくお似合いで柔らかい笑顔のその方は、足腰が弱くなられ、年相応の記憶のあいまいさをお持ちです。 毎回、私が用意していく手本を少し練習された後、色紙に清書されるのですが、いざ紙に向かい、筆を執られると、顔つきが締まり、目の光が強くなります。そして、ゆったりと筆を運び、力強く美しく書き上げられます。 先日すっくと立ちあがって清書をされた折には、その凛としたお姿に、付き添われているお嬢様も私も、ただた
書の墨を磨る時、墨を握りしめ、力いっぱい、一所懸命に磨るのが良いと思っている方は多いと思います。これから書く意欲が墨に宿ってのことかもしれません。 でも、実はその逆。墨を硯にそっと触れさせるぐらいで、ゆっくり優しく磨るのが良いのです。病み上がりの人に磨らせるとよい、と聞いたこともあるくらいです。 固形の墨は硯との摩擦によって粒子が分解され、水と一体になって液墨になります。この粒子は細かければ細かいほど、伸びのある書き心地のよい液墨を作ってくれるのですが、力いっぱいガシガシと
21世紀も23年を重ね、現代は「速い、簡単、便利」を求められることが多くなりました。 スマホやPCはあっという間に多くの情報を集めてくれ、それを手に入れるとすべてを経験したように感じられます。 でもかえってそれが、生活を忙しない(せわしない)ものにしているように感じています。 そんな中でふと自分の心を止める瞬間を持つことが出来たなら、或いは持つように意識して、作ることに努められたなら、またすぐに訪れる忙しない時間に向かっていく原動力となるように思います。 その瞬間が心をと