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夏野菜カレーにみるネーミングの魔力

野菜カレーなら、たぶん見落としていた。
夏野菜カレーだから、シズルのだ。
※すき家にて。

【野菜】というと、何を連想するだろうか?
「健康的」
「食べたほうが良いもの」
「一定量、食べないといけないもの」
「栄養満点、正義の味方」
など栄養面に焦点が当たるのではないか?
※個人差アリ。

ところが、【夏野菜】というとどうだろう?
「夏が来た、夏だって感じがする!」
「期間限定の、いましか食べられないレア感」
「パプリカやトマトなどの原色の彩りが美しい」
「力がみなぎる気がする」
※個人差アリ。

具体的に見るならば、
ピーマンを野菜というのと、
ピーマンを夏野菜というのとでは、
夏野菜という方がイケてる気がする。

ピーマンが転校してきて自己紹介するとしたらたぶん、

「自分、ピーマンって言います。あ、一応、夏野菜です。(そこんとこヨロシク。)」
とカマすのではないだろうか?

【野菜】が【夏野菜】になるとここまで与える印象が違うのは、ネーミングの持つ魔力ではないか。

古くから季節を楽しんできた日本人。
夏という一文字が持つ世界はあまりにも広い。

花鳥風月という言葉があるように、日本人は季節を感じたいというインサイトを持っていると思う。
夏が来れば、夏っぽいことをしたい。
夏っぽさを味わいたい。

例えば隅田川花火大会が、江戸時代から今日まで夏の風物詩として続いているように、日本人は季節を、夏を味わおうというインサイトを普遍的に持ち続けているはずだ。

そうなると「夏」という一文字が持つ意味は単に6〜8月という時間を指す記号ではなく、「花火、夏休み、夏祭り、海、海の家、川、山、お盆、風鈴、浴衣・・・」といった風物詩たちを含んだ意味深い言葉になる。

だからこそ【夏野菜】カレーは、たった一文字が添えられただけで、そういう日本人の心をくすぐるのではないか?

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