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これからのアート・文化の学び

近年、アートや文化などの人文科学の価値を見直す動きが少しずつ広まってきました。

スティーブ・ジョブズはカリグラフィーを学び、ビル・ゲイツは無類の読書家であることが知られています。世界的なイノベーターには、アートや文化に関する見識が深い方が多く、新たな発想を生み出すには、プログラミングや数式だけでなく、感性や美意識を養うことが自ずと必要になるのではないかと思います。

事実、私が住むシンガポールでは、経営者や事業家の方ほど、他国のアートや文化に関しても興味関心を持つ方が多く、そうした方々は分野に捉われず、様々なことから学びを得ようとする姿勢があるように感じます。

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これからの工芸の学び

このコラムは、社会に出たのちに、アートや日本文化について学びたいと思っている方々に向けてのものですが、内容は主に日本の工芸品について書かれています。

絵画や彫刻についても触れたいとは思いますが、日本の工芸は一つの産業としての歴史があり、芸術性の高いものから日常使いのものまで、幅広い魅力があります。また、手仕事で作られ、日本固有の美を含んだ工芸品のその魅力は、海外にまで伝わるものです。

シンガポールは多民族の国であり、またビジネスのハブであることから、様々な人種のビジネスパーソンが暮らしています。

彼らの多くが和食や日本文化への魅力を感じてくれており、中でも、精神性の深い茶の世界は、「侘び寂び」という言葉とともに、広く知られています。こうした日本の美意識について理解を深めることができることも、日本の工芸品の面白さの一つです。

工芸を通じて知る日本の美

私は東京とシンガポールで工芸ギャラリーを運営していますが、日本各地の工芸の産地を周り、作り手との対話を繰り返しながら、工芸を学び続けています。

長い歴史を考えれば、その学びに終わりはなく、学べば学ぶほど、その興味は深まるばかりです。工芸品そのものを学ぶだけでなく、その土地や美意識にも触れることで、ひとつずつ気づきを得ているように思います。

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私だけでなく、スタッフ全員が同じ気持ちでいることもあり、そうした学びの楽しさを少しでも多くの人に伝えていくことができたらと思い、このコラムを始めることにしました。

ギャラリーのこと、産地のこと、手仕事のことなど、工芸の奥底にある面白さを少しずつ綴っていきます。

この文章と写真を通じて、工芸や日本文化についての興味を持っていただける方が増えてくれると嬉しく思います。

文:柴田裕介(HULS GALLERY)




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