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MBAはコンサルや金融業界の人のものだと思っていたメーカー営業の自分

私自身がこう思っていました。

MBAという学位を初めて聞いたとき、「MBA=コンサル・金融・商社の人のキャリアアップの機会」であって、メーカー営業の自分には関係ないと。

その後様々なきっかけや縁があり台湾大学GMBAに通っています。今回はMBA受験や学生生活をメーカー営業出身の立場から改めて振り返ってみたいと思います。

経験に基づく誤った理解・偏った意見があるかもしれませんが、個人の体験談として読んでいただければ幸いです

留学までの経緯については以下記事でまとめています。

■製造業だから門前払い、ということは全くない

ネットワークを広げることや異業種の知見を深めることはMBAの魅力の一つです。この魅力度を高めるためにMBAプログラムの入試科は入学する学生の出身業界が偏らないよう注意しています。

なので毎年の入学生の中にも製造業出身の学生がいます。台湾大学GMBAでも公式情報によると学生のうち10%はメーカー出身とのことです。授業に出ていても大体それくらいかなーといった感じです。ただメーカー出身者の中でもR&D・エンジニア・管理部門など職種は様々です。

年度によって出願者のバックグラウンドはまちまちですが、メーカー出身者にも入学のチャンスはあります。コンサル・金融と比較するとMBAを取得する人は製造業では少ない(主観)ので、寧ろ入学しやすいなんてこともあるかも?

■日本の製造業はケースでよく取り上げられる

金融といえばアメリカや香港を連想するように、製造業といえば日本の名前が上がってきます(最近は中国・韓国・台湾のケースも増えてきました)。トヨタの生産方式など製造業は日本の強みの一部と認識されていることも多いので、ディスカッションなどで経験をシェアするチャンスがもらえることもあります。

メーカー出身で授業に貢献できることは少ないんじゃないか?と心配していましたが、トピックによってはメーカー出身だからこそ貢献できるものもあると感じました。

■ミクロの視点でオペレーションを見られるのはメーカー営業の強み?

MBAでは授業でビジネスプランを立案・発表する機会が多々あります。偏見かもしれませんが、メーカー営業では納品・開発活動のため客先・現場・関係部門との細かな調整が欠かせません。そのためなのか、ビジネスプランを考える際にも抽象的なスローガンに対して具体的なアクションプランや効果を考える習慣がメーカー営業では日常的に鍛えられているんじゃないかな、と感じることがあります。

「顧客満足向上」
 →注文から納入までのリードタイムを縮めるためにはどうするか?
 →クレームを減らすためにはどのような対策ができるか?
「利益率改善」
 →現場の作業効率を改善するためにはどうすれば良いか?
 →工程・バリューチェーンのどの部分が最適かできるのか?
「新規顧客開拓」
 →自社の技術・特性で差別化できる顧客・市場のニーズは何か?
 →大体どの程度の売り上げが見込めて、損益分岐点を超えられそうか?

特に現場オペレーションや収益の観点からフィージビリティ(実現可能性)を議論する場面では、メーカー営業の経験が活きることが多いと感じます。

■マクロな視点やファイナンス、異業種のテーマは伸び代が大きい

一方で、マクロな戦略やファイナンス、投資などの分野は私個人としては業務で考えたことがほとんどなかったので、新しく学ぶことばかりでした。

普段は自社の自部門の製品や現場から考えていた戦略を、市場のいちプレイヤーとして、投資先のひとつとして俯瞰して見つめ直すきっかけが多いのは新鮮でした。また、異業種の事例や確立された理論を勉強した後に自分の会社・製品を見てみると、授業で取り上げられた内容に当てはまることが多く、興味深かったです。

コンサル業や金融業の学生は、メーカー出身の学生と比べて業務で複数の企業・業界とプロジェクトベースで仕事することがあるので、ビジネスモデルの比較し傾向を掴む機会や複数の業界で幅広い知見を持っているように感じました。

どうしても比べて「自分の視野ってどうしてこんなに狭いんだろう」と思うこともありますが、職種の特徴によって得意・不得意はありますし、知らないことを知るためにMBAに来たので、学び白が多いことに気づけたと前向きに捉えるようにしています。

■身近なロールモデルが比較的少ない

製造業でももしかすると企業規模や業界によって傾向は異なるかもしれませんが、私の周囲ではメーカーでMBAを取得した人はほとんどいらっしゃいませんでした。

MBAの情報収集などはインターネットや異業種の方に相談して行っていましたが、やはりバックグラウンドが同じでないと気づけない点(メーカー営業の特徴や他業種にない強みなど)もあるのでその点ではエッセーや入学動機の作成はかなり時間がかかっていました。身近に相談できる人が少ない分、情報収集では他の業種の方よりちょっと苦労するかもしれません(社内で留学制度があればあまり国労しないかも?)。

また、私の周囲ではメーカーでキャリアアップにMBAが必要という企業は当時まだまだ少なかったので、明確なインセンティブ(金銭面・待遇面など)は他業種と比べるとないのかなという印象を持っていました。なので決断する際には、リスクをとってまでMBAを取るという動機・軸を持つこと正解だと思えるまでやり抜く覚悟が大切だと個人的には思います。


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