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本屋探訪。vol1 ベルリン編

現在はドイツに留学中。
休暇にはヨーロッパのいろんな国に滞在している。
まず街に降り立ったら現地の本屋に行ってみるのだ。
本屋を回りながら、国によって違いがあったりなかったり。どっちにしても面白い。


疲れた。

フランクフルトから鈍行を乗り継いで半日、ベルリン到着したのは22時前。
ドイツは22時にはほぼ全ての店が閉まる。24/7のマクドナルドには行列ができていた。

さて、明日はどこへ行こうか。
ビッグマックを片手にスマホをいじる。

この時期のベルリンはアートウィークの真っ只中。至る所に展示会が催されていて、街全体が美術館の様相を呈している。

正直きつい。

大きな美術館や気になる展示はいくつかマークしてきたが、いきなりそういうのは胃もたれしてしまいそうだ。何か、お通し的なものがほしい。

そうだ、本屋に行こう。


“do you read me? ”

12時を回った頃。

看板からグリッドデザインの趣を感じるこの本屋は、
中心部のMitte地区から少し離れた街角に現れた。

湿気の影響だろうか、看板の一部が朽ちているように見える。
モダンな外観が目立つが、雨に打たれてきた歴史もあるのかもしれないと思いながら、ドアを開いた。

本のショーウインドウ。

ドアを開いて最初に目に入ってくるのは、壁全体に立てかけられた本達だ。
ほぼ壁二面分。なかなかの空間占有率である。

通常の大型書店や図書館では、蔵書数を増やすために背表紙を見せる「棚差し」という置き方をしている。

しかし、ことアートブックショップにおいては、ちらほら表紙を見せる置き方をしている店を見かける。それは、蔵書数が少ないためでもあるが最大の理由は本の「顔」を見せるためだと思う。

http://www.1book.co.jp/smp/002044.html

アートブックは大量生産ではない。作家/装丁家の意匠凝らされたデザインが魅力の一つだ。表紙はその顔。いかに読者を惹きつけるかを追求しているのだ。

そんなアートブックには立てかけ式の本棚が相性抜群だ。彼らの顔が見えた時、私たちに「読んでみませんか。」と訴えかけてくる。



晴れた土曜の昼、涼しい店内は読書に没頭する客でごった返していた。
私もしばし、本の波に揺られようと、思いつくままにブックサーフィンに興じることにした。


アートブックの名著と今をときめくマガジンたちが所狭しと並んでいる。
社会派や自己啓発的な本も平積みで置かれていた。こちらの本は基本的に帯がないものが多い。
理論書コーナー。棚の高さが違うのが面白い。

大きさで主張するもの。
色で魅了するもの。
紙の質感で佇むもの。

一冊ずつ、一ページずつ。見て、触って感じとる。
素晴らしい装丁を前に鼻息が荒くなる。

やっぱり本が好きなんだなあと再確認した。来てよかった。

決して広くはない店内に、客同士の気配りが温かい。
読書にふけりつつも秩序を保とうとする場の空気が好きでついつい長居してしまう。

Read & Lead  読解と牽引

読み漁っているうちに気になったのは,
この店の売り出しているマガジンの多さだ。

赤で記されたエリアにはマガジンがいくつか並んでいた。特に平積み1の机はほぼ全てがマガジンで覆われていた。

時代の流れとともにエディターの価値観は変化していく。
定期的に刊行されるマガジンは、その価値観が最新アップデートの状態で、現代社会に応答するように放たれる。
マガジンを多く取り扱うということは、ベルリンのクリエイティブシーンを引っ張るという意思表示なのかもしれない。




気に入った本を一冊購入した。
お会計してくれた店員さんはとても気さくだった。
「ステッカーもショップカードも好きなだけもっていっていいよ〜」と嬉しい言葉。
一枚ずつ袋に入れ、店を後にした。

時計を見ると、訪問してから2時間。
普通に美術館に行くのと変わらない所要時間だが、疲れはあまり感じてなかった。

手に本がぶら下がっているとワクワクする。
勢いそのままに、ベルリンの街へ繰り出した。

左端のオレンジの表紙、TYPEONE MAGAZINEを購入した。

do you read me?
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Auguststraße 28, 10117 Berlin, Germany
11:00〜19:00 日曜定休

https://maps.app.goo.gl/iArDWmbWB1KArYJw6?g_st=ic

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