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広告代理店に広告運用を頼んだら失敗した話

現代では事業の成長のためには広告が不可欠です。
広告といっても有料のものからアイデア次第で無料で使うことができるものも含めて必要です。

自社でやりきるには人的リソースの限界もあるので広告代理店を使う選択肢が出てくると思います。僕も広告代理店の人間なのでご相談をいただくのはとても嬉しいことです。

広告代理店は広告運用のプロなので様々な媒体社とのリレーションもありノウハウが集まるので非広告会社と比較すると広告に関しては圧倒的な情報量の差があります。

ただこれまで広告代理店の中の人として働いていて広告代理店は本当に広告運用が上手いのか?クライアント企業の事業成長に貢献できているのか?と疑問に思うことがあります。

今回は広告代理店の中の人の立場から広告代理店は本当に広告運用ができているのか?を考えてみたいと思います。

結論

いきなりの結論ですが、広告代理店は広告運用が上手くはありません。
正確にはどの広告代理店を選んだとしても担当になる広告運用者に左右されます

A社にずっと頼んでいても広告運用担当者が変われば良くも悪くもなるということです。
もちろん広告代理店としては広告運用をずっと任せてもらいたいので日々の情報共有と組織としての支援を欠かすことはありません。

ですが、広告運用者のスキルに左右されるというのが現実です。
なぜそのような事態に陥ってしまうのでしょうか?

①広告代理店のビジネスモデル上の課題

どのビジネスも同じだと思うのですが企業は利益を出すことが至上命題です。利益というのは売上ー仕入れです。

広告代理店の売上とは広告運用金額であり、仕入れとは広告出稿にかかる(媒体社に支払う)広告費です。
この広告運用金額にはマージンが含まれており、広告費との差分を代理店の利益としています。

マージンは媒体によって変わりますが20%が相場です。
ということは広告代理店の利益率は20%が最大です。この利益率20%の中から広告代理店の人の人件費やその他コストを差し引いて広告代理店は利益を得ることができます。

問題は広告運用では最大利益20%しか得ることができません。
(もちろん広告代理店の仕事は広告運用だけではない)
広告代理店の売上比率は広告運用金額が最も多いのでいかに広告運用金額を上げていくことができるかが広告代理店の目標です。

広告代理店としては目標達成のために広告運用担当者はリソースが限られているので一人当たりの運用金額を上げて売上を上げようとします。

運用金額が上がればそれだけ広告運用担当者のリソースが取られるんじゃないの?と思われがちですが必ずしもそうではありません。

対応する媒体が増えることはありますが一度設定をしてしまえばあとは金額の多い、少ないでやることはそう大きくは変わりません。金額に作業量が左右されないので運用金額が多ければ多いほど広告代理店としては嬉しいわけです。

いやいや待てよ、こんだけの金額を払っているんだからうちの案件だけ集中して対応しろ!という意見もありますが、1円だろうが1億円だろうが人様からお金を預かっている以上同じ熱量を持って対応するべきです。

ただし現実問題、広告代理店としても広告で成果を出してさらに広告出稿費を出してもらいたいので経験豊富なメンバーが大きな案件は任されます。

広告出稿費が少ない案件は新卒~2~3年目くらいの広告運用者がアサインされます。

経験豊富な担当者と新人ではどちらに頼みたいかは明確ですよね。

②広告運用管理画面をいじる時にお金を使っている意識があるか?

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これはGoogleの広告運用画面のキャプチャです。数字が並んでいますね。この中でいくら費用を使っているのか?はこの部分です。

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どうでしょうか?お金を使っていると認識できるようになっていますか?
別に太字になっているわけでもお金のマークがあるわけでもなくただの数字の羅列の一部分です。

この広告では3.8万円使っていることになります。リアルな3.8万円です。
3.8万円あれば何ができますか?ちょっとしたいいものが買えるし、ひとり暮らしなら一ヶ月の食費にも相当するような金額です。

3.8万円の買い物をするときに特に考えずにパッと買えますか?僕は一般庶民なのでめちゃくちゃ悩んだり、他にもっといいものがないか探しまくって決心して買うような金額です。

そんな金額が広告運用管理画面ではなんでもないような数字として並んでいてあっという間に消化されていきます。

広告運用担当者はこのような画面を一日中眺めているわけです。慣れたらただの数字の羅列としか見えなくなります。これを数字の羅列としか認識していない広告運用者はプロではありませんが、、、

広告運用費が100万円だとしたら目の前に100万円が札束であるようなものです。慎重に使いみちを考えるべきです。ただ実際広告運用費で100万円は多いとは言えないので広告運用画面では数字の羅列になってしまう。これは恐ろしいことです。

お金、それも大金を扱っていると認識していない広告運用担当者がいればひっぱたきたくなりますが、あなたが広告運用を任せている代理店の広告運用担当者はどういう意識を持っているでしょうか?

この広告運用金額では成果が出ません、もっと出稿費を増やしてくださいとしか言わない担当者だとしたらその広告代理店との付き合いを見直すべきです。

優秀な広告運用者は預かった金額の重みを理解し、できる限り最大限の工夫をし、成果最大化に務めるべきなのです。そのうえでもっと改善ができる、事業の成長に貢献できると判断できれば広告出稿費を増やすことを検討してください。

どんな広告代理店に依頼するべきなのか?

広告費に応じて経験豊富なメンバーに広告運用を担当してもらえる仕組みと広告運用担当者によってお金に対する認識が違うという話をしてきました。
それではどんな広告代理店に広告運用を依頼するべきなのでしょうか?

大手広告代理店に頼めばその分ノウハウもあるし、運用も上手いだろうと思われがちですが必ずしもそうではありません。

広告出稿費によってアサインされる広告運用者の担当者は変わるので少額であればその分新人が担当することになります。

もちろん、新人一人に担当させるわけではなく新人の上長などがバックアップにつくのである程度の成果は期待できます。ですが、日々の細かいところまでは上長もバックアップしきれないことがあるので油断できません。

では、どの広告代理店選べばいいのかというと自社の広告出稿金額と広告代理店の規模が比例しているところへの依頼をおすすめします。

広告出稿金額が大きな広告主を主な顧客としている代理店と少額の広告主をを主に扱う中小代理店がありそれぞれ得意領域が異なります。

大手広告代理店は出稿金額が大きい順にアサインされる担当者のレベルが高くなり、中小広告代理店は大手広告代理店出身者が独立して立ち上げた広告代理店があり少額の案件であっても経験豊富な担当者がついてくれることもあります。

広告代理店の対応が悪いと感じたら

もし今お願いしている広告代理店の対応が悪いと感じたらこの魔法の一言を言ってみてください。

「競合プレゼンを開催します。」

これ広告代理店としては一番言われたくない言葉です。
広告を依頼した当初は丁寧に対応してくれて成果も出ていたけれど時間が経てば同じ施策を繰り返すだけで新しい取り組みの提案が少なくなることがあります。

安定した広告運用ができているという点ではポジティブですが、新たな気づき、発見ができていないというネガティブな点もあります。

また恋愛関係とも一緒で付き合いが長くなるほど付き合いたて当初の熱意がなくなり、ダラダラとした関係になってしまうことがあります。お互いに刺激がない状態です。

広告代理店からしたらいつものルーティンをこなしていれば安定した売上を上げることができるので空いたリソースで新たなクライアントを開拓することができます。

広告主からするとただほっとかれているだけです。そんな状態になってしまったら「競合プレゼン」を匂わせると途端に対策をしてきます。安定した関係だと思っていたら突如別れを切り出されて焦る男女のあれと一緒です。笑

たんに匂わせるだけではなく実際に競合プレゼンを実施してみてください。他代理店からの提案は非常に勉強になる要素が多いですし、新たな発見も得ることができます。

競合プレゼンをした結果、今よりもいい代理店が見つかれば乗り換えればいいですし、既存代理店が本気を出してくれればまたいい提案を持ってきてくれるようになるはずです。

ただし、これはやりすぎは厳禁です。広告運用はPDCAを回しながらアルゴリズムが効果が出るように改善していくのである程度の期間は成果が思うように出ないことがあります。この時期を乗り越えてしまえば成果が出るようになるのでそこまでは我慢が必要です。

我慢の期間があまりにも長すぎる場合は広告運用に何かしらの問題があるので広告代理店から提案を受けながら解決していきましょう。

まとめ

広告代理店もビジネスで利益を出していかないといけないので大きな案件に力を入れていくのは当然とも言えます。

広告出稿の際には出稿金額と依頼する代理店の規模、ついてくれる担当者を見分けてから依頼すれば一定の成果が期待できます。

なにか新しい施策を試していきたい、今の代理店に不満があるなどあれば一度ご相談ください。

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