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2021年8月の記事一覧
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_15_小学生編 04
神が宿る――それはどういうことなのか、大人の僕は分析する。
初代の杉藤は、自らを『山神の使い』と称した。そして、納得できる実績を見せつけることで、周囲を納得させてきた。
言い伝えによれば、荒れ狂う河川を鎮め、伝染病をたちどころに収束させた。
それは具体的になにをした?
対処できる知識があったとしても、人間一人の力では、出来ることは微々たるものだ。
どうやって周囲を納得させてきた?
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_16_小学生編 05
もしかして、この子、僕と同じクラスなの?
熊谷を宥めている担任は、まぎれもなく、僕たちの担任として紹介された――宇都木 礼子《うつぎ れいこ》先生だ。
「熊谷さん、落ち着いて。こらっ! 男子、静かにしなさい!」
先生は熊谷に心無い言葉を投げる男子をめねつけて、一方の熊谷の汚い背中を撫でる。普通に熊谷に触れるなんて、この担任は真面目で心優しい人間なのだろう。
「うわっ。先生がブスに触っ
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_17_小学生編 06
Y字の川が流れている山中埼。北東から南へと流れる、三渡川《みわたりがわ》はレジャー施設やキャンプ地、上流に行くと渓流釣りが出来るなど、上流から下流にかけてレジャースポットがたくさんある。
僕たちの通っている小学校は、六月に入ると三渡川のレジャースポットに遠足に行くのが恒例で、学園が上がるごとに上流の施設を利用し、六年になったら川下りで絞めるのが伝統だ。
なんでも、この川下りは、山中埼で古く
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_18_小学生編 07
暗闇の中を僕たちは歩く。地面に落ちた葉っぱを踏む音、土を蹴る音、枝を踏む音がやけに暗闇に響く。
懐中電灯を持って先頭を歩くのは五代くん、真ん中に大川くん、一番後ろは僕だった。重たいリュックを背負って、体中を汗まみれにしながら、僕は二人の足を引っ張らないように必死に体を動かす。
「俊雄、大丈夫か。荷物持とうか?」
「大丈夫。これ以上、大川くんの荷物を増やしたくない」
だって、大川くんは自
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_19_小学生編 08
気づいたら病院にいた。白くかすむ天井と、網戸から吹き込む風が白いカーテンを揺らしているのが見える。どうやら、外は晴れているのだろう。柔らかな初夏の日差しに背を向けて、看護婦さんがなにかをを書き込んでいるのを見つけた。僕が声をかけると。
「ぁ……」
出した声はしゃがれていて、喉の奥がすごく痛む。
あぁ、そう言えば、首を絞められたことを思い出しつつ、どこかまだ、自分に降りかかって出来事と自分