HANOWAが成長期に入るまでにやったこと。
HANOWAの新井です。
医療人材向けのマッチングプラットフォームやってます。
過去note
春の資金調達リリース
アイキャッチのグラフにあるように、今うちは年初来おかげ様で順調に利用者や流通人件費総額(GMV)を伸ばすことが出来ています。
ただ、同時にグラフで分かるように、
2020年はなかなか芽が出ない時間を過ごしました。
(逆にこの様子を見て年明けに投資決定したANOBAKA萩谷さんマジあざす!)
今日は主にこれからHANOWAで一緒に働いてくださる人に向けて、また最近HANOWAにJOINした人にも改めてどんな風にもがき苦しんでたのか、書いておきたいなと思います。
成長期?PMF?
今年は年初来6倍くらいの成長で終えることが出来そうですが、いわゆるスタートアップで言われる”PMF”ってあんまよく分からんので、“成長期”としておきます。
というか、僕の中での”PMF”は、2018年春、歯科の採用コンサルをしてた頃、コンサル先の歯科衛生士との1on1mtgで、
「ほんと働きづらいですよねー」
「ですねー」
「なんで家事代行やベビーシッターみたいなシェアリングサービス無いんでしょうねー」
「ですよねー」
この会話が成立した時点が最初の”PMF”だったと今でも思ってます。
ローンチ1~6ヶ月。
Biz:2名
エンジニア:業務委託1名
そもそも、代表の僕自身が歯科業界で採用コンサルをやってた中で、これぐらいのミスマッチ・不均衡が発生していることは知ってました。
どれだけVCを回っても、
「供給不足をシェアリングにしたところで解消されるイメージがわかない」
とか
「歯科業界でそれが定着するかは分からない」
など散々言われ続けてましたが、
僕の中では「お試し就職」や「カジュアル勤務」
のような概念がお母さん歯科衛生士たちに刺さるのは
現場での経験から確信があったんですよね。
ただまぁ、中小企業のコンサルをやってた兄ちゃんが、スタートアップに乗り込んで自前のプロダクトを作るのは、七転八倒の毎日で、そこにご存知のコロナが襲ってくるわけです。
詰みです。
でも万事塞翁が馬とはまぁよく言ったもので、2020年を生き延びれたのは、コロナ融資で当時の売上規模で考えると、びっくりする額を集められたおかげでもあります。
6月に跳ね上がったのは緊急事態宣言明けの特需ですね。
実は歯科業界では2020年6月に過去最高益に達した医院は割と多くて、僕の聞いた範囲では美容室なども多かったそう。
2,3,4月と停滞するも、5,6月と上昇して「お?!来るか?!」と思ったけど、次の半年も特に振るわずに最初の一年を終えます。
うちは歯科医院と歯科医療人材のマッチングプラットフォームなので、まさにニワトリタマゴ問題を解消しながら進めなきゃいけません。
とは言っても、indeed様様を使って当時から人材はCPA 0円で獲得が出来ていました。歯科医院の方もマーケで勝つ算段はあって、採用コンサルの頃から一番反応が良かったのがFAXDMだったのです。方向性が決まりゃ、FAXDMと紙の郵送DMを送り続ければ、マーケはなんとかなると思ってました。
しかし、
プロダクトのバケツの穴が甚だしい
アプリではなく、ブラウザサービスでスタートしたのは、歯科医院の院長先生は未だにガラケーもそこそこいて、人材はスマホが主な携帯デバイスだった為です。
ちなみに今のHANOWAは
==========
■フロントエンド
・言語:Nuxt.js/Vue.js
・OS:Linux
・DB:FirebaseのFireStore
・デプロイ先:Firebase
■バックエンド
・言語:Ruby on Rails,AWS
・OS:Linux
・DB:PostgreSQL(AWSのRDS)
・デプロイ先:AWSのELB
==========
タスク管理:JIRA
コード・バージョン管理:Github
環境構築:Docker
その他ツール:Slack
で出来てます。
アプリで始めても、片方はまぁPCなので、それならブラウザでいいよね。と。
(当時のUI。いろんなマッチングサービスを参考にして馴染みのwebデザイナーに作って貰った)
後に明確にターニングポイントになった施策を先に書くと、
『ユーザーの半径15km圏内でカレンダー更新があったら、一斉通知メールを送る』
という機能でした。
2020年を通して、上がったり下がったり、
再現性を維持することが出来なかったのは、
物理的距離の概念を舐め過ぎてたのが大きな理由です。
上記の『半径15km圏内で、一斉通知メールを送る』の施策は、マッチングした人同士のやり取りや、メッセを送り合った人同士のやり取りではなく、まだ接点を持たない人同士のやり取りの増加に寄与しました。
このやり取りをする前段階の母集団が増加することで、メッセージの件数増加、マッチングの件数増加に繋がっていきました。
あと、2021年の結構なタイミングまで、僕自身もシェアリングプラットフォームにおける「プロダクト」とは、エンジニアが書いたコードの集合体を表すものだと思っていました。
プロダクトがあって、ユーザーがある。
プロダクトとユーザーは別の概念のものだと思っていました。
これはシェアリングプラットフォームでは間違いで、ユーザーがプロダクトの中に包含されるのが、シェアリングプラットフォームの実態です。
ユーザーさえもプロダクトの一部です。
それに気づいた時、これまで展開しているエリアは「東京都23区と大阪市内」と言っていたことを大きく反省します。
絞ってるようでいて何も絞っていませんでした。
なんなら、名古屋とか、札幌とか、一部の噂を聞きつけた、イノベーターやアーリーアダプター院長の為に、リソースを割いて人材の集客もやってたんですよね。
今振り返ると、プロダクトのバケツの穴が塞がらなかった理由は
①matchable(match+able)な地理関係でユーザーを集め切れていない
②仮に集まってても、近隣のフレッシュな情報が主体的にログインしなければ分からない
こんな状態で、
「なんでGMV増えていかないんだろうねー?」
と毎週ボードメンバーで集まって
うんうんうんうん言う日々でしたね。
(アホです)
ローンチ7~12ヶ月。
そうとは知らずに、GMVを増やす本質的なメトリクスが見えず、とりあえず一番分かりやすい「登録者数」を増加させるしかねぇ。
と言うことでよく分からんことをやり始めます。
ボードの2人で、東京と大阪の歯科系メーカーとディーラーに飛び込み訪問をして、チラシを配って、ルートセールスに行く際に
「配ってください!オネシャス!」
って結構本気でやってました。
ジョイントベンチャーですね。
それやって貰えるとHANOWAはありがたいけど、向こうにやるインセンティブもない。
レベニューシェアと言っても、1マッチングあたり日当の33%の手数料なので、せいぜい3,000円程度しか儲かりません。
仮に「1件新規登録してくれたら5万円謝礼金をお支払いします」なんて言ったところで、端た金過ぎて動く動機にもならない。
また僕とかはクソ暑い夏の中、マスクしながらチャリンコで夜中にポスティングをこのタイミングでやるという暴挙に出ます。なんかやってる自分に酔ってましたね。
何にもなりませんでした。
また英会話マッチングのフラミンゴと言うサービスを見てて
「うちに足りないのは、シズル感かも知れない!」
と思い、サインアップ&ログインして初めて中が覗ける仕組みだったUX(閉鎖系)を、サインアップしてなくてもこんな人たちがいることをオープンに(開放系)解放してみようと夏頃開発しました。
(社内では「フラミンゴ化」と呼ばれてた)
エンジニアは頑張ってくれたけど、そんなに大した成果には繋がりませんでした。
値付けも迷走してて、一番初めは初期登録料5万円を徴収していました。でもコロナがヤバくなってきた2020年4月から初期登録料を10万円に値上げして、早々に夏前には5万円にしれっと戻しました。
コロナもあるけど、露骨に登録件数が落ちましたね。
(そもそもやろうとした動機が、ちょっとでも売上が欲しかったし、みんな勢いよくポンポン5万円を払うからもっとイケんじゃね?と思った)
10月から初期登録料5万円を廃止して、なんとかして月額課金モデルに転換したかったので掲載料月額5,000円のスタンダードプランと、月額30,000円のプレミアムプランを作りました。
で、アホほど当たり前のことですが、登録しても近隣にユーザーがいなければ秒速で退会します。
何しにわざわざエンジニア工数稼働させて作ったんでしょうね?
秋には本当にお金ないぞとなって、結構本気で歯科医院向けのBPOサービスを立ち上げる準備もしたけど、やっぱなんとかしてエクイティ調達するべ!と、ペンディングになりました。
もっとくだらないこと一杯やった気がするのですが、人の脳は黒歴史を忘れたがる性質があるんだと思います。
あとこの年はずっと「SaaSはいいよな〜」と思い続けてた記憶があります。
バリュエーション付きやすそうに見えていたし、追いかけるべきメトリクスが明確で羨ましかったなぁ。
本当今振り返ると僕らもモヤモヤし続けてたけど、シードで投資してくれたガゼルキャピタルの石橋さんは諦めというか、損切りモードに入ってもおかしくなかったでしょう。
ローンチ13~18ヶ月
Biz:3名
エンジニア:業務委託3名
UXデザイナー:1名
1月。
ここで何を思ったか、軽い気持ちで
「お互い、近隣のユーザーがカレンダー登録したら知りたいよね?」
「更新あった時、通知メール送った方が良くない?」
ぐらいの感じで実装したのが、先述の『ユーザーの半径15km圏内でカレンダー更新があったら、一斉通知メールを送る』です。
これを機に、見る見る双方のメッセージのやりとりが増え、それに伴い時間差でマッチング件数にも反映されて来ました。
「なんかこれ当たってんじゃね?」
って感じです。
カレコレもう4,000文字くらい1年前の自分がどれだけアホなんかを書いてますが、初回起業家と、シリアル起業家が歴然として違うのはこーゆーことかと思ったりもします。
芽が出始めたタイミングで、なんとか死ぬ気で投資家を集めて、春にはなんとか調達を完了できました。
あとこの時期の最後の6月頃に、1人業務委託のUXデザイナーに入ってもらい、さらに細々としたプロダクトのバケツの穴を塞いで行って貰ったのも良かったです。
僕がPMをやりながらファイナンスとマーケと、あと投資契約を10何人分自力でやるというなんの修行か分からん時期の終わりが見えたタイミングでした。
ローンチ19ヶ月~現在
調達後またゆるく広告費をかけはじめて、6月から7月にかけて単月で24%成長したのは、もう少し自信を持っていいのかなと思い、将来のCFO採用と、広報チームのアサインを始めます。
広報のプロジェクトはすでに走り始めてて、あまり短期のリターンは見込んでないものの、続けていけば必ず大きな力になると思います。
それよりいい意味で期待を裏切ってくれたのが、このタイミングで入って貰った僕のコンサル時代からの友人である、財務コンサルタントKです。
Kと共に今年を「n-4」と見立てて、ゆるく上場準備を始めていければと思っていたものの、彼が放った
「今の売上を”区”単位で因数分解しよう」
と言う一言はHANOWAにさらなる加速をもたらします。
“区”単位で過去のマッチング傾向を分析し、都内東部の足立区、葛飾区、江東区に偏りを見つけ、東部の6区を戦略的な優先順位第一位と定め、そこにFAXDMと郵送DMのリソースの集中を8月から始めました。
そこからこんな感じで、全国の6万8,000件の地域ごとの歯科医院の母数を、
厚労省の資料から見つけ出し、優先順位をエリア毎に4位まで定め、上場後の「n+1」までのカバレッジシートを作成しました。
今後も微調整はするでしょうが、これに従ってドミナントで一時期にLTVやCPAはある程度無視して広告予算をぶっ込み、一定レベルでアクティベートすれば、また次の地域に…
これを繰り返すのが自分たちの必勝パターンだと見えて来ました。
9月10月とその結果が見えて来ているのはいい傾向です。
これから。
HANOWAは、
「なんで子どもが産まれたお母さん歯科衛生士は、
人生の選択肢が狭まらなあかんねん」
という、ライフイベントの変化によって、誰かの自己実現が妨げられることへの疑問と怒りから生まれたサービスです。
その思想と、時代の潮流と、テクノロジーのマッチング具合は自分で言うのもアレですが、ドンピシャで、さらにメディカル領域でも歯科はライバルがヨワヨワです。
この、競合が弱いからこそ、今のプロダクトのように、たびたびフリーズする。デザインが増築され過ぎてよく分からない。UXがまだまだ洗練されてない。こんな状況も辛うじて許容してもらえている状況です。
ここから半年で、
CS
↓
UX
↓
UI
↓
エンジニア
↓
CS
という社内のバリューチェーンを整え、各部門に僕より優秀な武将たちを配備し、バリューチェーンから僕を引き抜いて、今より早くPDCAを回せるようになれば、確実にWinner takes All のシェアエコサービスで、業界No.1に必ず僕らが最初に到達します。
歯科というレガシー産業は、DXする余地が多分にあるのですが、真正面からSaaSやソフトウェアでDXしに行くのは筋が悪いです。
業界のITリテラシーの低さを舐めてはいけません。
まずは痛みの大きい人材不足を解消する広域インフラとして独占的地位を築き、離れられない状態にして、そこからSaaSを走らせDXしに行った方がいいです。
先のことはあまり多くは言えませんが、HANOWAが医療人材のマッチングプラットフォームとして、磐石の地位を築きながら、2022年次に手を打つサービスは、
“医療人材版Github”
2023年にリリースするのは、
“OMO型歯科医院チェーン”
です。
これだけで分かる人は、ことの重大さとが分かると思います。
その為に、僕らには武将クラスの人材が全然足りませんm(_ _ )m
特にエンジニアと今はUIデザイナーです。
今は武将クラスでなくても、まずは副業、フルコミット、そしてキャリアの目指す先にどこかのスタートアップでCTOを経験したい人でも構いません。
うちのシステムは今は
==========
■フロントエンド
・言語:Nuxt.js/Vue.js
・OS:Linux
・DB:FirebaseのFireStore
・デプロイ先:Firebase
■バックエンド
・言語:Ruby on Rails,AWS
・OS:Linux
・DB:PostgreSQL(AWSのRDS)
・デプロイ先:AWSのELB
==========
タスク管理:JIRA
コード・バージョン管理:Github
環境構築:Docker
その他ツール:Slack
です。
もしエンジニアさんで我こそはと思う人は、まずはエンジニアのチケット単位のマッチングプラットフォーム
からHANOWAの開発チケットにお申し込み頂けませんでしょうか?
ISSUEさんめっちゃ便利で、エンジニアの「お試し雇用」という概念を広めようとする、滑らかな働き方を通じた自己実現という僕らと志を同じくする仲間です。
まずはチケット単位で簡単な開発タスクを消化して頂き、その上お互い相性が合えばフルコミットの勤務を、フルリモートでお願いできれば幸いですm(_ _ )m
めっちゃ長くなりましたが、よろしくお願いします!