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泣けるエピソードばかり!「新オバケのQ太郎」×クリスマス作品 一挙ご紹介

メリークリスマス!

・・・気がつけば今年は12月26日となってしまい、世間的にはクリスマスは終わってしまいましたが、我が家などは年明けまでクリスマスツリーを出しっ放しにしていたりするので、まだまだクリスマス気分が残っております。

ということで、時期が外れましたが、2022年のクリスマスを祝して、関連記事をアップさせたいと思います。

第一弾として、数日前に下記の記事を載せました。こちらでは「オバケのQ太郎」からクリスマス作品、全6作をピックアップしてご紹介しました。

6作のうち、4作については、「サンタクロースがいるのか、いないのか」という論争が交わされており、子供たちの興味がそこにあることを藤子先生が見抜いていることがよくわかります。是非ご一読下さい。


そしてクリスマス記事第二弾として、今度は「新オバケのQ太郎」に登場するクリスマスエピソードをまとめて取り上げたいと思います。全部で4作品です。

「オバQ」と似たようなテーマだったりすることもありますが、Qちゃんの弟のO次郎が登場してきたこともあり、作品のドラマ性がアップしています。かいつまんでとはなってしまいますが、どうぞお楽しみに。。



『サンタとよっぱらい』
「小学三年生」1971年12月号/大全集2巻

本作はQちゃんの疑問から始まる。なぜサンタクロースは頼まれもしないのに、毎年やってきてはおもちゃを配って歩くのだろうか、と。正ちゃんで実験してみた結果、人にものをやって喜ばれるのは気分がいいということが判明する。

ということで、QちゃんとO次郎でサンタクロースとなって、子供たちを喜ばせようということになる。ところが、用意できるものは、正ちゃんが読み終えたマンガや要らなくなったおもちゃだけ。よって、町の子供たち(ドロンパ・ゴジラ・木佐・よっちゃん・・・)には相手にされない。


そんな時に、貧乏な父子家庭の男の子を見つけて、おもちゃを渡そうとするのだが、タダでは貰えないと拒否される。そのまま家についていくと、子供ながらに一人で夕ご飯の準備をせっせと始めている。

お父さんは何をしているか尋ねると、いつも帰りが遅いという。今晩はクリスマスなので早めに帰ると言われているようだが、毎晩酔っ払って帰ってくるので、アテにしていないという。

少年に同情したQちゃんたちは、何としてもお父さんを早く家に連れて帰る手伝いをすることにする・・・。

似たような展開のお話に、「エスパー魔美」の『エスパークリスマス』というエピソードがある。こちらはもっと深刻だが、貧乏家族の思いやりを描いた泣けるお話なので、チェック願いたい。


『サンタはくろうする』
「小学四年生」1971年12月号/大全集2巻

「新オバQ」と「オバQ」の一番大きな違いは、Qちゃんに弟(O次郎)ができたことである。「オバQ」では、人間世界のことをよくわかっていないQちゃんが、毎回世間知らずなギャグを飛ばしていたのだが、「新オバQ」では、人間社会の先輩として、兄としてO次郎と接するQちゃんが描かれる。

本作では、人間世界で初めてのクリスマスをO次郎が経験する、という展開となっている。

Qちゃんがサンタクロースの存在を信じさせると、さっそくO次郎は16000円の電気自動車が欲しいと、サンタに手紙を書く。ささやかなプレゼントをQちゃんが用意しようと考えていたので、これにはびっくり仰天。

「兄さんがそんな大金を、持っていると思うのか!」

とブチ切れる。

あの手この手でO次郎の願望を諦めさせようと考えるのだが、O次郎は先行してガレージを作ってしまう程に自動車を楽しみにしてしまう。しかし、色々あって万策尽きて、

「神さまあ、クリスマスの神さまあ!」

と最終的には神頼み。ところが、困り果てたQちゃんのことをO次郎が知ることになり・・・。

QちゃんとO次郎の兄弟愛に泣けるラストとなっていますので、こちらも読む機会があれば是非に・・!


『サンタさんに会いたい』
「小学二年生」1972年12月号/大全集1巻

大原家ではまたしてもサンタクロースがいる/いないで論争が起きている。今回は肯定派(イルラッタ)がO次郎で、否定派がQ太郎である。Qちゃんが強硬にいないと主張するので、パパが仲裁に入り、Qちゃんも小さい頃はサンタを楽しみにしてただろう、と諭す。

そこで大原家全員でサンタはいるとO次郎を慰めると機嫌が直り、サンタ宛てに手紙を書き始める。Oちゃんが欲しいモノとは・・・なんと「遊園地」。これではパパも手が出ない。

そこでパパがサンタのフリをしてO次郎に電話して、何とかパンダのぬいぐるみで手を打ってもらうことに。

ところが、今度はO次郎はサンタが見たいと言い出して、寝ようとしない。言い出したら聞かないということで、寝る直前のドロンパを掴まえて、サンタに変身してプレゼントを渡して欲しいとお願いする。

「新オバQ」ではドロンパのキャラクターは、かなり優しくなっている。

ドロンパサンタがO次郎にパンダのぬいぐるみを渡すと、飛び上がって大喜び。そして家の中から温かいミルクを持ってきて、サンタに渡す。サンタは人に上げてばかりだから、逆にプレゼントをしようと考えていたのである。

なお、逆にサンタにプレゼントを贈るというお話は、「オバQ」の『サンタさんに会いたい』で描かれている。本作はそのアイディアの流用と考えて良いだろう。


『サンタクロースはいるんだよ』
「小学四年生」1972年12月号/大全集2巻

本作ではQちゃんがO次郎にサンタに何を頼みたいか尋ねると、Oちゃんはサンタなんか本当はいないと答え、Qちゃんのことをバカにして笑う。すっかり人間社会の内実を学んでしまったようである。

Qちゃんはその後も正ちゃんたちにもサンタに何を貰いたいか聞いて回るが、皆に本気にされない。

・・・ところが、これはあるおじさんにQちゃんが頼まれて、皆の欲しいものを探っていたのである。おじさんは、

「夢のない世の中だから、せめてクリスマスだけでもみんなを楽しく驚かせたいと思ってね」

と語る。この一年かけて、ガラクタの山から使えそうなおもちゃを集めて、修理をしてきたのだ。

この話をこっそり聞いて感銘を受けたO次郎も仲間に入り、QちゃんとO次郎でサンタに変装して、みんなの家を回ることにするのだが・・・。

本作もオチは割愛するが、「夢のない社会」だが、子供たちは純真で、サンタを信じて、サンタにお礼の気持ちを持つ。そんな優しさに満ちた感動作となっている。


季節ネタを作品に取り込む名人だった藤子F先生だが、毎年やってくるクリスマスを題材にした作品については、ネタ切れとの戦いがあったのではないかと想像される。

実際、使い回しのネタもあるわけだが、それでも、どの作品も泣ける要素だったり、ほっこりするクリスマスならではのイイ話を用意してくる。贔屓目に見ても、すごい作家さんだなあと思う次第なのだ。


「オバQ」のことたくさん記事にしています。


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