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今日は何の日?→のび太の誕生日『ふたりっきりでなにしてる?』

8月7日、今日は何の日? 終戦記念日でもないし・・。

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そう、8月7日は野比のび太の誕生日なのである。

初めてのび太の誕生日が明らかとなったのが、『ぼくが生まれた日』(1972年4月号・小学四年生)で、雑誌掲載時では昭和37年(1962年)8月7日生まれということになっていた。この作品が単行本に収録された時には昭和39年と再設定されている。

ちなみに37~39年生まれというと、本日で55~57歳ということになる。一応生まれが同じ有名人を検索すると、辛うじて電撃ネットワークのギュウゾウさんが64年8月7日生まれでした。。


さて、「ドラえもん」でのび太の誕生日のエピソードというと、先ほどの『ぼくが生まれた日』が有名なのだが、もう一本、しっかり誕生日を明示している作品がある。本稿ではこちらをご紹介しておきたい。

「ドラえもん」『ふたりっきりでなにしてる?』
(初出:密閉空間探査機)
「小学五年生・六年生」1989年10月号

だいぶ後年になっての作品となるのだが、この頃になると出木杉としずちゃんの仲の良さは、のび太でなくても目に余るものがある。

もっとも、本作の数カ月前に発表した『しずちゃんをとりもどせ』という作品で、出木杉の将来がはっきりと描かれているので、もうのび太がしずちゃんと結婚する事実は揺るがない

このあたりののび太・しずか・出木杉の三角関係については、別途記事化を考えているので、その時に詳細する。

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本作冒頭、出木杉としずちゃんが、いちゃいちゃと(のび太談)のび太の前を歩いている。話している詳しい内容はわからないが「出木杉さん何でもできるのね」としずちゃんが感心し、後で行くからと出木杉に声を掛けられている。

のび太は一人になったしずちゃんに、「今日は何の日か覚えているか」と聞くと、「何の日かしら」と深く考えてもくれず、急いでいるからと走って行ってしまう。これにショックを受けたのび太。「あれが将来お嫁さんになる人の態度か」と気を落として帰宅する。

ちなみに8月7日と言えば絶賛夏休み中だが、のび太はランドセルを背負っているので、この日は登校日だったのだろうか。

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この悲しい気持ちをドラえもんに聞いてもらおうとするのだが、何やらドラえもんは作業中・・。

家のミニチュアのようなもの写し出して、その中をスコープで覗き込んでいるドラえもん。ミイちゃんが行方不明で、居場所を探しているのだという。すると、猫嫌いのおじいさんの家の中でミイちゃんが檻に閉じ込められている様子が見える。

ドラえもんは「なんて酷いことを」と、ミイちゃんを助けに飛んでいく。部屋に残ったのび太は、そのスコープを覗くとドラえもんがミイちゃんを救っているシーンが見える。

のび太は、この道具は「よその家のぞき装置」かと見当をつけて、これを使ってしずちゃんの家を探ってみようと思いつく。しずちゃんのことになると、倫理観も簡単に吹き飛んでしまうのび太・・。

そこへドラえもんが帰ってきて、案の定怒り出す。これはのぞき見するような道具ではないのだという。

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道具の正式名称は「密閉空間探査機」といって、掘っちゃいけない古墳や、近づけない火山の底などを調べる科学的な道具であった。

でものび太にとって、しずちゃんと出木杉の秘密のやりとりを知ることは、古墳や火山並みに重大な出来事なのである。

「(出木杉としずちゃんが)結婚したら、僕の子孫のノビスケやセワシも生まれなくなるんだぞ」

さすがにそれは困る、ということで渋々、この機械をのび太に貸すドラえもん。

さっそくしずちゃんの家を見ると、ちょうど出木杉がやってきて、まずは二人で宿題を始める。さすがは真面目な二人。その様子を見て、のび太も自分も宿題があると思い出すのだが、このスコープで出木杉のノートを覗き見て、答えを写すという手段に出る。

ドラえもんは、好きなようにやってくれ、と呆れて部屋から出て行ってしまう。

さあ宿題が終わり、二人は何をするのか。様子を伺うと、二人して台所でケーキを作り出す。のび太は、「おいしいケーキを二人だけで食べる気だ!!」と嫉妬に狂い、探査機に写っている家をガンガンとたたき出す。

すると、本当のしずちゃんの家にも力が伝播し、地震のように部屋が揺れる。ケーキを作る道具が散らばったようで、のび太はそれを見て、いい気味だと思う。。

しかし、しずちゃんがベソをかいたものの、出木杉がそれを慰め、残っ材料を集めて再びケーキを作り出す。その仲睦まじい様子を見たのび太は、「負けたよ・・・」とへたり込む。

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すると、プレゼントの包みをを持って、しずちゃんと出木杉がのび太の家に尋ねてくる。「お誕生日おめでとう」とプレゼントを渡そうとするしずちゃん。二人が一生懸命に作っていたケーキは、のび太へのプレゼントだったのだ!

サプライズさせるため、秘密にしていたという。しずちゃんが8月7日と聞いても反応しなかったのは、あくまで知らないふりだったのである。

会わせる顔が無いと、完全に照れるのび太。小さくて変な味になったとしずちゃんは言うが、のび太は、

「おいしい!! こんなおいしいケーキは初めてだよ」

と号泣しながらケーキを頬張るのだった。

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出木杉がわざわざのび太のためにケーキを作ろうとは提案しなかったと思うので、このサプライズはしずちゃんのアイディアであろう。しずちゃんは、『のび太のおよめさん』でものび太の誕生日にプレゼントを持ってお祝いに来てくれている。のび太の誕生日を忘れるわけはないのである。


「ドラえもん」の考察、多数やっております。どうぞ目次から~。


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