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ドラえもんにゲスト出演する恐竜たち『恐竜の足あと発見』他/藤子Fの大恐竜博⑧

真夏の「藤子Fの大恐竜博」シリーズ第8弾。ひとまず本稿でこのテーマは最終回である。Fノートとしては過去最長となる同一テーマで8本も記事を書いていった結果、予想通り回を追うごとにPV数が減っていく事態となっている。

とはいえ、藤子先生が愛した恐竜に真正面から向き合うとこの分量となってしまうは仕方がないところ。文字数にすると本稿含めて25000字に及んでおり、そこらへんのkindle作家に負けない原稿量となっています(ま、絶対に売れないが・・)


本稿では「ドラえもん」にゲスト的に登場する恐竜(一部怪獣)をざざっと紹介していく。下のリストを見れば一目瞭然だが、F先生が熱量高く繰り返し恐竜をキャスティングしてきたかが分かる。

◆「ドラえもん」恐竜作品リスト
(丸数字は記事の番号/太字は本稿で扱う作品)

①『恐竜ハンター』「小学三年生」1970年5月号/大全集1巻
①『きょうりゅうが来た』「小学一年生」1970年6月号/大全集3巻
『地球製造法』「小学三年生」1973年3月号/大全集3巻
②『ネッシーがくる』「小学館ブック」1974年8月号/大全集20巻
『進化退化放射線源』「小学六年生」1975年6月号/大全集3巻
読切版『のび太の恐竜』「週刊少年サンデー」1975年9月号/大全集20巻
③『大むかし漂流記』「小学四年生」1977年7月号/大全集7巻
『紙工作が大あばれ』「小学二年生」1977年12月号/大全集9巻
③『宇宙ターザン』「小学五年生」1978年8月号/大全集7巻
③『恐竜が出た!?』「小学三年生」1979年7月号/大全集10巻
大長編『のび太の恐竜』1980年1月~3月号
④『恐竜さん日本へどうぞ』「小学五年生」1981年8月/大全集10巻
『しりとり変身カプセル』「小学四年生」1983年3月号/大全集12巻
『「ぬいぐるみカメラ」と「クルーム」』「小学三年生」1985年2月号/大全集15巻
『恐竜の足あと発見』「小学二年生」1985年7月号/大全集16巻
『ぬいぐるみせいぞうカメラ』「小学二年生」1985年11月号/大全集16巻

大長編『のび太と竜の騎士』1986年11月号~1987年3月号
『自然観察プラモシリーズ』「小学五・六年生」1991年2月/大全集16巻
大長編『のび太の創生日記』1994年9月号~1995年3月号

記事①

記事②

記事③

記事④

上の記事③の中にも書いているが、藤子先生は「ドラえもん」において夏休みシーズンを狙って、毎年一本は恐竜を正面から描いた作品を発表している。

ところが恐竜をメインテーマとしない作品でも、何かと恐竜を登場させている。言ってみれば、恐竜はドラえもん定番のモブキャラなのである。

本稿ではそれらをダイジェスト的に紹介していく


『地球製造法』「小学三年生」1973年3月号/大全集3巻

本作は恐竜とは別の切り口で詳しく紹介する予定の作品。『のび太の創生日記』に連なる「天地創造もの」である。

ミニチュアの地球を作って進化の過程を楽しむお話。恐竜時代まで作り上げて、その中に入り込むのび太たちに恐竜が迫るという展開である。危なく恐竜に食べられそうになるが、部屋に置きっ放しになっていたミニチュア地球をママが捨ててしまい、間一髪助かる。(地球は粘土の塊になってしまうが・・・)

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『進化退化放射線源』「小学六年生」1975年6月号/大全集3巻

こちらは正確には恐竜ではないのだが、『進化退化放射線源』を使ってネズミを退化させていき、原子哺乳類からは虫類まで戻してしまい、これがほぼ恐竜の外見になる。この後町に出て住民を驚かすのだが、ネズミ捕りを進化させて捕獲に成功する。

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『紙工作が大あばれ』「小学二年生」1977年12月号/大全集9巻

のび太が未来の紙工作を使って、実際に動く犬や馬などを作って遊んでいると、ジャイアンとスネ夫が「何か自分たちも作りたい」とお願いしてくるので、一冊工作本を貸してあげることに。

すると巨大な肉食恐竜の紙工作を作り上げてしまい、襲われてしまう。のび太たちは戦車や大砲の紙工作を作って抗戦するが全く歯が立たない。そこにのび太のパパが居合わせて、タバコに火を点けたマッチをポイ捨てして、紙の恐竜が燃えて事なきをえる。

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『しりとり変身カプセル』「小学四年生」1983年3月号/大全集12巻

しりとりで変身していく薬を飲んで、のび太が色々な姿に変化していく。ママ→マントヒヒ→ヒダリテ→テンマ(天馬)と変身。しずちゃんを乗せて喜ばせるつもりが、不細工な天馬だったため、しずちゃんはすぐに降りてしまう。

用が済んだので、天馬からのび太に戻ろうとするのだが、しりとりを繰り返しているうちになぜか「ゴジラ」になってしまう。ゴジラと言いつつ見た目は恐竜なので、本作も「恐竜もの」と認定しておきたい。(しりとりの途中のウンコが気になるが…)

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『「ぬいぐるみカメラ」と「クルーム」』
「小学三年生」1985年2月号/大全集15巻

スネ夫がパパの友だちの映画会社社長のツテでゴジラと共演する写真を撮ってきたことに対抗して、「ぬいぐるみカメラ」と「クルーム」を使って怪獣の着ぐるみを作ることに。

カメラで撮った被写体データを、人間に塗った「クルーム」に取り込んで着ぐるみを作るのだが、この作り方が少々分かりづらい。その改良を施したのが『ぬいぐるみせいぞうカメラ』である(この後別の話で出てきます)。

本作も怪獣として登場するが『ぬいぐるみせいぞうカメラ』との関係上「恐竜もの」の作品としておきたい。

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『ぬいぐるみせいぞうカメラ』
「小学二年生」1985年11月号/大全集16巻

『「ぬいぐるみカメラ」と「クルーム」』から9か月後、早くも使い勝手の良い道具にヴァージョンアップして、リメイクされた作品。

本作はスネ夫のパパが映画会社から借りてきた怪獣の着ぐるみで、のび太が驚かされることが始まり。これに対抗するべく写真を撮るだけで着ぐるみを作れる『ぬいぐるみせいぞうカメラ』を使ってプテラノドンを制作し、スネ夫たちに仕返しに向かう。

その後ドラえもん、しずちゃんと3人がかりでマメンチサウルス?の着ぐるみを動かすシーンなども出てくる。

前作では「怪獣図鑑」だったが、本作では「恐竜図鑑」を使っている点に注目しておきたい。どうせリメイクするなら怪獣より恐竜と考えたのだろうか?

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『恐竜の足あと発見』
「小学二年生」1985年7月号/大全集16巻

1980年代前半に、日本で恐竜の足跡の化石が見つかったというニュースがあって、それに触発されて作られたと思われるお話。

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9000万年前(白亜紀)に移動し恐竜の足跡を付けさせて、それを現代で発見しようという大胆な思いつきを実行するのび太たち。しかしティラノサウルス(おそらく)に追われて、恐竜の足跡ではなく転んだのび太の「跡」だけが残ってしまう。

現代に戻ると、猿が転んだ跡の化石が見つかったと大騒ぎになっているのだった。

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なお、今年の7月、一年前に中国で発見された新種の恐竜の足跡に「のび太」と命名されたことがニュースになった。正式にはエウブロンテス・ノビタイ足跡(Eubrontes nobitai)という名称。今回の発見をした中国の研究者にとっても「ドラえもん」の恐竜作品には思い入れがあったということで、野比のび太に敬意を表して命名したのだという。

これはもちろんのび太ではなく、恐竜を愛し恐竜を何度も描いてきた藤子F先生への尊敬の念を表したものだ。感無量である。


『自然観察プラモシリーズ』
「小学五・六年生」1991年2月/大全集16巻

毎年のように恐竜をドラえもんに登場させていたが、1986年の大長編ドラえもん「のび太と竜の騎士」を最後に、恐竜の出番はなくなっていた。本作はドラえもんのレギュラー作品としては、ラスト4作目にあたる作品なのだが、ここで久しぶりに恐竜が描かれた。もっともその後大長編で恐竜は再度登場するので、「ドラえもん」最後の恐竜作品というわけではない。

スネ夫が巨大で精緻な恐竜プラモデルを自慢したことから、のび太がドラえもんに泣きつき「自然観察プラモシリーズ」を出してもらう。しずかちゃんと一緒にチョウやカエルやツバメなどを作っていると、スネ夫が勝手に部屋に入り込んで、「一番かっこいいの」を取って行ってしまう。

すると、それはウルトラサウルスのプラモデルだった。どんどんと巨大化していき、スネ夫の家を大破させてしまう。しかもまだまだ大きくなっていくのだという・・。すっかり恐竜博士ののび太が頼もしい。

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さて以上、本稿では「ドラえもん」に登場するモブキャラとしての恐竜を扱った作品を8本一挙に紹介してきた。記事にも書いているように、恐竜好きの藤子先生の思いが時を超え、中国の新種の化石の名前にのび太の名前が使われるというビックニュースが飛び込んできた。Fファンとしても嬉しいニュースである。

恐竜が登場する作品は、上のリストからまだ漏れている可能性もあり、見つけ次第記事をアップグレードしていきたいと考えている。

これまで8本も恐竜作品の記事を書いてきたが、実はまだまだ書き足りていない。「海の王子」から「ドビンソン漂流記」まで恐竜を題材としている作品はまだ山ほど残っている。そして何より、藤子先生の最大の代表作となる「のび太の恐竜」や、恐竜絶滅の謎を追った「のび太と竜の騎士」についての記事化も残されている。

ずっと先になるだろうが、残りの恐竜作品も取り上げてみたいと考えている。F作品全てを記事化する野望を持つ者としては、引き続き取り組まねばならない大テーマなのだ。


藤子F作品を様々なテーマで考察していますので、どうぞ目次からお入りくださいませ。


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