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悪者集団をやっつけろ!対決・毒ガス密造団+金密輸団/パーマンVS強敵(ヴィラン)!③

我らが等身大ヒーローのパーマンに対して、悪者たちはあの手この手を使って戦いに挑んでくる。パーマンが強敵の挑戦を受け、苦戦し、逆転で勝利をもぎ取る描写は、読者の興奮を呼び起してくれる。

読者はパーマンに強く感情移入しているので、強い敵(ヴィラン)と戦うバトルエピソードは人気が高い。

そういうことで、「パーマンVS強敵(ヴィラン)!」と題して、パーマンたちと強敵との戦いを紹介する。これまで二本の記事で4人のヴィランを取り上げた。記事はこちら・・。

本稿では、一人のヴィランではなく、相手が悪者集団であるお話を2本まとめて紹介する。大勢の敵と、パーマンはいかにして戦うのか。


『毒ガス密造団』「週刊少年サンデー」1967年23号/大全集1巻

パーマンとブービーはハイキングに向かう。自分たちはパーマンだから一般のハイキングとは一線を画して、人が踏み込めないような山奥に行こうということになる。

すると、きこりの男と出会い、この先は「はてなしの森」という迷い込んだらなかなか出られない森だと注意される。しかも、森を抜けると地獄谷があり、そこでは「死神の息吹」と言われる黄色い霧が立ち込めて、当たると鳥も獣も倒れてしまうという。


せっかくの忠告に聞く耳を持たず、パーマンたちは森の奥へと飛んでいく。そして、木は枯れ、草も生えていない谷へとたどり着く。ここが地獄谷で間違いないだろう。

そこでマントをレジャーシート代わりに敷いて、お弁当タイム。水筒を忘れたということでブービーが近くの小川を探しに行くのだが、「死神の息吹」を見たと言って慌てて帰ってくる。(実際には身振り手振りで伝える)


黄色い霧が立ち込めて、カラスがバタバタと落下してくる。こちらに流れてくるので逃げ出そうとすると、マントが無くなっている。森へ逃げ込むが、緑やピンクの霧が四方から迫ってくる。

風下へと逃げていくと、全身マント姿、手にはステッキを持った謎の男が岩の上に立っている。

「ようこそ地獄谷へ。歓迎しますぞ」

と、パーマンたちに挑発してくる。パーマンは挑発に乗って飛び掛かるが、ステッキからガスが噴き出し、それを浴びたパーマンたちは体が動かなくなってしまう。


パーマンたちは、久しぶりに手に入った実験材料だと言われながら、手下たちに運ばれていく。谷の奥へと進むと立派な工場があり、中へ連れていかれる。

そして上半身だけ麻酔を解かれると、男たちは自分たちの目的について語り出す。男たちは毒ガスの研究をしており、色々な種類の毒ガスを開発中だという。

全東京都民をたった10分間で眠らせるような猛毒もまもなく完成するという。憤るパーマンだったが、下半身が動かず対抗できない。そればかりか、実験タンクに押し込まれ、ガスの実験台となってしまう。


1号ガスは「笑いガス」、2号ガスは「怒りガス」、3号ガスは「悲しみガス」。喜怒哀(楽)をコントロールするガスによって、パーマンたちは怒ったり笑ったりと感情を強制的に揺り動かされる。

そして続けて4号ガス。一番恐ろしい毒ガスということで、黄色いガス(死神の息吹)が部屋に充満していく。パーマンたちはバッジを加えて難を逃れて、科学者たちを騙して、ガス室から脱出する。


洗濯物を包む風呂敷として使われていたマントを奪い返し、バッジをくわえて、ガスタンクを壊して回るパーマンたち。ガス密造団たちは、自分たちの作ったガスを吸い込み、笑ったり泣いたりして、一網打尽となるのだった。

パーマンたちが無謀に地獄谷にハイキングを決行したことで、東京都民を恐怖に陥れようとしていたガス団たちを倒すことができたのであった。

VS.ガス密造団 → バッジをくわえてガスをシャットアウト!


『金密輸団を追え!』「小学館ブックス」1968年2月号/大全集5巻

続く団体様の強敵は「金密輸団」

警察がこっそり探っていた金密輸団をパーマンも追うことに。密輸団は違法手段で金を国内に持ち込んでいるのだが、運び屋の手口は巧妙化しており、組織の本部を突き止めないと埒が明かない。

パーマンは焦って運び屋を捕まえてしまい、証拠も出てこなかったため、捜査していた警察に叱られてしまう。

その結果、密輸団にとってもパーマンが邪魔な存在となったため、先んじてパーマンたちを片付けようと画策する。


密輸団はパーマンが一度捕まえた男にダイナマイトの入ったトランクを持たせて、それを分かりやすく土管の中に隠させる。このトランクをパーマンに開けさせて爆破させようという作戦だ。

パーマンは計略にハマりそうになったが、パーやんたちがそれを止める。分かりやすい手がかりは怪しいと睨む賢い男・パーやんである。

パーマンはどうしても密輸団を捕まえたい。焦っている様子を見て、他のパーマンたちは心配となる。そこでブービーを風船でくるんで、自然な感じでパーマンの行動を見守ることにする。(全然不自然だが・・)

不自然な風船・・


密輸団は、ダイナマイト作戦がうまくいかなかったので、パーマンをアジトにおびき寄せて、一気呵成に銃撃を浴びせようと考える。しかし、さすがのパーマンもその手は食わず、アジトの二階からこっそり忍び込み、密輸団のボスを捕まえる。

ところがボスは一瞬の隙を突いて、予め準備していた仕掛けによって、天井から大量の金塊をパーマンの頭上に落として動けなくしてしまう。パーマンは何とか這い出るが、あちこち挫いて動けない。


パーマンに銃口が突き付けられるが、風船の中のブービーがパー子とパーやんを呼んで、救援に入る。転がっていた金塊を力いっぱい団員たちに投げ込み、全員ダウンさせるのであった。

パーやんは、この部屋には一億円の金塊が散らばっていると感想を述べる。そんなに、と驚くパーマン。

事件が片付き、みつ夫はカバ夫たちに語る。

「なにしろ一億円の下敷になったもんで、体が痛くて痛くて・・」

「もっと本当らしいウソをつけ」と、全く信用されないみつ夫であった。


VS.金密輸団 → 金塊は武器になる!


多勢に無勢とはよく言ったもので、いくら強いヒーローでも集団で襲ってくる敵と戦うのは結構大変。本稿においても、特にVS金密輸団では、パーマン仲間のおかげで危機を脱することができた。

ヒーローにもヒーロー仲間が必要なのだ。それはMCUの「アベンジャーズ」を見ていても良くわかるというものだ。



「パーマン」の解説・考察をしています。


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