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誰得情報?? 発明王エジサンの小ネタ集/オバQ世界の発明王③

「オバケのQ太郎」で何回か印象的に登場するキャラクターがいる。町の発明王エジサンである。彼はどれほどの認知度があるのだろうか。試しに、検索キーワードで「エジサン オバQ」と入れてみる。

・・・驚くほどヒットする数は少なく、今日現在で441件。しかも上位には3日前に書いた自分の記事が掲載されている。それはつまり、エジサンは、ほとんど知られていないキャラクターということなのだ。

前回の記事でも書いたのだが、僕も最近まで意識していないキャラクターだった。ところが、既に小学生低学年にして藤子F学の博士号を持つ息子が、発掘してきて、知ったのである。

ビュー数もスキ数も伸びないことを覚悟しつつ、これまでエジサンを題材にして2本の記事を書いてきたが、まだまだこれでは終わらない。未紹介の登場作品が3作、関連作品が1作、そして「オバQ」の世界から飛び出して「ウメ星デンカ」にも登場した作品が1作残されている。

本稿では、在庫一斉セールのごとく、残るエジサン登場回をザザッとご紹介していきたい。ちなみに、これまでの記事はこちら。


『ジャンジャン売ろう』「週刊少年サンデー」1966年8号/大全集4巻

前回の記事でご紹介した『発明家エジサン』とほぼ同時期に描かれた作品。かなりの短期間であったが、エジサンは藤子先生のマイブームだった模様だ。

本作はエジサンがこれまでと違って出ずっぱりではなく、ある場面だけのゲスト出演となる。Qちゃんが大原家の居候生活を心苦しく思うようになり、仕事を探しにいくというお話。

学歴・年齢不問という広告代理店「博通社」の求人募集を見て、駆けつけるQ太郎。人手不足ということもあり、即採用されて働くが、なかなかうまくいかない。

そこへテレビである商品を宣伝して欲しいと言ってエジサンが博通社に現れる。Qちゃんとは旧知の仲のはずだが、初対面のような描かれ方。

エジサンが売り込んで欲しい発明品とは、テレビにつけるとコマーシャルを飛ばしてくれる装置である。しかし、この機械のコマーシャルも映らなくなると指摘されて、この機械だけは映るように改造しなくてはならんと言って帰っていく。

たった七コマの登場シーンであった。


『にせものがいっぱい』「週刊少年サンデー」1966年9号/大全集4巻

続けて「週刊少年サンデー」の翌号にもエジサンが登場。本気で藤子先生のマイブームだったのだ

本作は、とある大富豪から、自分の似顔絵と似ているQちゃんに30億円の財産が譲るられることになり、ニセモノのQちゃんが大勢集まってくるという滅茶苦茶なお話。

財産を受け取るため、大富豪の成金氏の豪邸にQちゃんが向かうのだが、そこへニセモノQちゃんが20人以上現れてしまい、誰が本物のQちゃんかわからなくなる。

正ちゃんは一目で本物の見極めがつくと言いながら、結局そっくりな5人が残ってしまう。そこからは一人ずつ念入りにテストをして、別人を脱落させていく。その中で、さっそく飛べないという理由でニセモノが判明するのだが、その中の人こそがエジサンであった。


エジサンは自分がバレてしまったので、残り4人から本物を探す協力をすることに。一番食べるQちゃんが本物だということで、大食い選手権が行われるが、50杯食べたQちゃんが優勝。

これが本物と思いきや、このQちゃんが急にオバケの中身を披露したいと言い出し、服を捲し上げると、中身はご飯を溜め込めるお櫃。なんとこのQちゃんはエジサンが作ったロボットQ太郎であった。

財産は貰えなかったが、ご飯50杯を儲けたと言って、嬉しそうにQちゃんロボットとエジサンは帰っていく。エジサンはインチキ臭のする発明家だが、ロボット工学については、世界的第一人者であるようだ。


『わらわせ屋でござい』「週刊少年サンデー」1966年17号/大全集4巻

さらに前作から2カ月と経たずにエジサンが再登場する。ただし正確に言えば、本作ではエジサンとは名乗っておらず、大ヤブ整形の整形外科として登場する。果たして彼は何者なのか?

冒頭、何の説明もなく、Qちゃんがエジサンのいる整形外科に来ており、「今より良い顔にしたい」と依頼している。エジサンは世界に誇る最新技術だと言って、大判のたい焼きの型のような器具を取り出す。

この型でQちゃんの頭を挟み、10分間型押しすると、Qちゃんの頭はたい焼き風に。どうやら間違えて、本物のたい焼きの型で挟んでしまったようである。

Qちゃんは金返せと怒るが、エジサンは「美味しそうでイカす顔だよ」とQちゃんに言い聞かせる。そしてたい焼き頭のQちゃんが外へ出ていくと、美味しそうだということで、犬が集まってきてしまう。

・・・と、それはQちゃんの夢。エジサンは、Qちゃんの夢の中のゲストキャラであったのだ。

本作で「オバQ」におけるエジサンの登場は以上となる。最後は夢の中での登場と言うことで、何やら尻切れトンボのような出番なのであった。



『オバケットに協力しよう!』
「週刊少年サンデー」1964年29号/大全集1巻

さて、ここからは番外編。エジサン初登場は1965年5月であったが、その一年前、まだ「オバケのQ太郎」の連載が始まってすぐの段階で、エジサンの原形となるようなキャラクターが登場しているので、軽く紹介しておきたい。

登場するのはエジサンと良く似た顔の町の発明家。基本禿げ頭で、耳の上の部分だけ髪の毛が残っている。長めの口ひげも健在である。白衣っぽい研究服もほぼ同じ。

そして発明品の数々は、エジサンのさらに上を行くインチキ具合。例えば、「天気予報マシン」は、ぱっと見大掛かりな機械だが、作動させるとゲタが飛び出してきて、これで天気を予報するという仕掛け。

正ちゃん・Qちゃんに「ロクな発明がない」と指摘されると、「まともな物を作りたいが貧乏で研究費用が捻出できない」と泣き出す。エジサン同様、後ろ向きな貧乏生活を強いられているようだ。

ただ、そうは言ってもエジサンは意志を持って動くロボットを作っていた。本作の発明家は、お手伝いロボットを作りかけで放置してしまっている。エジサンと比べても才能は無いようである。

ちなみにこの後、ロボットの中にQちゃんが入って、大金持ちに貸し出される・・・という展開に進んでいく。(オチは原作を確認してね)



「ウメ星デンカ」『くん章はいかがぞよ』
「週刊少年サンデー」1969年8号/大全集3巻

さて、「オバQ」で6作(原形入れて7作)にエジサンが登場した。これだけでも十分人気の準レギュラーキャラと言えるが、何と、別の藤子作品にもエジサンはそっと姿を見せる。それが「ウメ星デンカ」である。

本作はオバQも連載していた「週刊少年サンデー」での「ウメ星デンカ」第二話目。エジサンの登場は約二年ぶりのサンデー再登場となる。


お話としては、何かと中村家の面々に勲章を授けてくるウメ星国王。すっかり勲章の大安売り状態となったので、太郎が、勲章の値打ちを上げるためにきちんと授与する相手を選んで、盛大に授賞式をすればいいとアドバイス。

そこで、世の中に役立っている人を町内から探し出して、勲章を与えようということになる。友だちに候補者を選んでもらい、デンカと太郎で一人ずつ資格があるか調べることに。

候補者第一号として選ばれたのが、町の発明家江地さん(エジサン)である。太郎の聞き取りによると、貧乏に耐え研究一筋15年だという。

さっそく家に行くと、さすがは貧乏を15年も続けた年季の入ったぼろい家。オバQ登場時よりも古くなっているようだ。しかもエジサンの衣装もつぎはぎが目立ち、貧乏具合がパワーアップしている感じがする。

この時のエジサンの研究テーマは「反引力」。普通上から下へと落ちていく落下運動をコントロールしようというのだ。しかもタイミング良く、デンカたちが訪ねたこの日、ちょうど「反引力装置」の試作一号機のテストが行われるという。

かなり大型の装置で、電気がバチバチと火花を散らしている。太郎は「本式になってきた」と期待を膨らませる。装置では、頭上にある巨大な玉が落下途中で向きを変えるという。エジサンはこれに成功したらパチンコでじゃんじゃん稼ぎたいと不純な動機を述べる。


果たして機械を作動させると、スポと玉が落下してきてエジサンの頭を直撃。「やったあ」と驚くデンカたち。潰されたエジサンを救いあげると、本日のエジサンは、「こんなことでは挫けないのだ」と、ガッツを見せる。

「こういうところは偉い」とエジサンの前向きさを評価するデンカたち。しかしこの後、ニュートンのリンゴ落下と逆にリンゴを投げ上げれば、反引力を見つけ出せると言い出したので、これはダメだとデンカたちは見限ってしまうのであった。


さて、超マイナーなFキャラクター、エジサンを追うという企画、しかも連作3本も記事にしてしまったが、案の定それほど読まれていない模様・・・。けれど、7歳の息子が発掘したキャラクターとして、どうしても記事に残して置きたかったのだ。

そんな訳で、ここまで読んでくれた奇特な方々に感謝しつつ、本稿を終えることとしたい。



藤子キャラクター、次々とご紹介しています。


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