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Q太郎のウソに、ママ大迷惑!『四月ばか』/エイプリルフール2023

今年もやってまいりました4月1日。新年度の始まりにして、1年で唯一大っぴらに嘘をついて良い日、エイプリフールである。かつては「四月バカ」などと呼ぶこともあった、ある方面のみで盛り上がる国民的(?)イベントである。

ある方面のみ、と書いたのは、「四月バカ」で嬉々となるのは、エイプリルフールの存在を知ったばかりの子供たちとか、企業広告として嘘つきネタを喜んで作ったりする会社員くらいだからである。

と、そんな皮肉はともかくとして、実際、昭和時代の子供たちにとっては、エイプリルフールは確かに一大イベントであった。皆で知恵を絞って、親兄弟や友だちを担いだものである。


藤子作品では、「ドラえもん」においてのび太が度々騙されているが、その他の作品でも四月バカをテーマとした作品は無数に存在している。昨年、一昨年とエイプリフールネタを取り上げているが、今年も一本選んでみたいと思う。

2021年と2022年の時の記事はこちら。


今年は「オバケのQ太郎」から取り上げます!

「オバケのQ太郎」『四月ばか』
「小学五年生」1965年4月号/大全集10巻

4月1日の日めくりカレンダーを見た正ちゃんの兄、伸ちゃん。今日は四月バカだということで、ウソつきコンクールをしないかと正ちゃん、Qちゃんを誘う。一番うまく騙した者が勝ちという単純なルールである。

まずはQちゃんが正ちゃんに、

「おもてで大鵬と長嶋が喧嘩してる」

と試しみてるが、バカバカしいと一蹴されてしまう。正ちゃんはもっと本当らしい嘘でなくちゃダメと言うことで、100点の試験の答案を作って、伸一に見せに行く。ところがこれも簡単に見破られ、大笑いされる。

正ちゃんは、ならばママにウソ答案を見せようと考えるが、伸ちゃんが「ママならいない」と声を掛ける。そして、

「学校から呼び出されていったよ。お前の成績があんまり悪いので、もう一年四年生にするんだって」

と続ける。「イーッ!」と驚く正太(+Q太郎)。・・・もちろんこれは伸ちゃんが咄嗟についた嘘である。


さて、鮮やかな嘘を間近に見たQちゃんは、「僕も何かやってみよう」と、本格的に「四月バカ」に参戦していく。「オバQ」において、Qちゃんが何か新しいことにチャレンジすると、大騒動が広がっていくのが通例なのだが、本作もそうした流れ。

今回の被害者は、主にママ。まず、Qちゃんがママのクリームを靴墨と入れ替えるいたずらを仕掛けて、ママの顔を真っ黒にしてしまう。(当然激怒される)

続けて障子を外して押し入れの襖と取り換えて、「火事だ!」と大声を出す。するとママが慌てて飛んできて、「火事はどこ」と言って障子を開けるのだが、そこは廊下ではなく押し入れ。ドシンと押し入れの木枠に顔をぶつけて気絶してしまう。


その後ママに女学校時代の友だち英子さんが訪ねてくる。

そんな時に、カメラを手にした正ちゃんがやってきて、Qちゃんに「写真を撮ってやろう」と声をかけてくる。Qちゃんは「ちょっと待って」と、服を着替えだす。そして全く同じ格好で現われるのだが、これはよそ行きであるという。

ところが読者の予想通り、正ちゃんのカメラはびっくりカメラで、シャッターを押すとネズミが飛び出す仕掛け。Qちゃんはまんまと驚かされてしまい、そよ行きに着替えた甲斐はなかったようだ。

なお、この時に着替えた服が、この後で再利用されていくことになる。


Qちゃんは「これで僕も脅かそう」とカメラを借り受ける。ところが、そんな時にママが声を掛けてくる。久しぶりに会った旧友との記念写真を撮って欲しいというのである。

「このカメラは・・・困るんだよなあ」と躊躇するQちゃんに、「一枚くらいいじゃない」と促され、シャッターを切ると、カメラからネズミが飛び出だして、ママと学生時代の友人はビックリして気絶してしまう。ママは本日二回目の失神である。


ということで、ママへの嫌がらせを続ける形となったQちゃんは、叱られるのを恐れて、一旦身を隠す。

そんな折に、先ほどQちゃんが脱いだ服がそのままになっているのを伸ちゃんが見つける。「これでいたずらしてやれ」ということで、伸一はQちゃんに成りすますいたずらを実行していく。

Qちゃんのフリをして正太を殴ったり、ママが旧友に出したお菓子をつまみ食いする。ところが、そこへ本物のQちゃんが現れて、二人のQ太郎状態に・・・。


かくして、ウソつきコンクールで大騒ぎをした伸ちゃん、正ちゃん、Qちゃんに呆れ果てるママ。そこへちょうどパパが帰ってきたので、ママは叱って欲しいとお願いする。

正ちゃんたちは「今日は四月バカだから」とパパに説明すると、「アハハ、そうだったのか」とご納得。だいたいにおいて、パパはいたずらに寛容で、ママは厳しいものなのである。


エイプリルフールということを知ったパパも加わって、再度正ちゃんたちはママに「ウソ」をつくことに。

正太・Q太郎・伸一の三人が、ママに向かって今回のことを反省し、決意を表明する。

「ママごめんね。これからはお小遣いも欲しがりません。お手伝いもするしテレビもまんがも見ないで勉強します」

「まあ本当!」とまるで疑わずに驚くママ。

さらに続けて、パパがママに

「ダイヤの指輪を買ってやるぞ」

と、いかにもな冗談を言う。

ここでも発言を疑わずに「何だか夢みたい」と喜ぶママ。そこでQちゃんたちがネタバラシをする。「今日は4月1日だから嘘をついても良い日だよ」と笑うのだが・・・。


そこでママが衝撃発言。

「今朝うっかりしてカレンダー二枚めくったのよ」

つまり、この日はまだ3月31日だったのである。わざとではないだろが、結果的にママの行為が最も優れた「ウソ」であったようだ。


さて、この記事はエイプリルフールも終わってしまうギリギリに書き終えた。一度は書くのを止めようかな・・と思ったものの、まあ来年の4月1日に読んでもらえばいいやと考えて、続けました。

来年も藤子Fノートが続いているようだったら、また他の「四月バカ」ネタを抽出いたします。




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