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いのちのやくそく ・ 人生を変えた交通事故114

人生を変えた交通事故

僕は福島県の田舎に生まれ育ったせいか、小さい頃から人付き合いが苦手でした。人前で話そうとすると顔ばかりか耳まで赤くなり、結局何も話せなくなったりしました。父親が僕のことを極度のあがり症だと言っていた程です。

話すのが苦手でも、小説やエッセイを声に出して人前で表現する朗読は好きでした。書かれた文章について、「この人はどういう気持ちで、何を表現しようとして言葉にしているのだろう」と思いながら、一瞬で登場人物に感情移入し、登場人物の言葉を自分の言葉のように読み上げるのが得意でした。

思えば自分のこの特性が、お腹の中の子どもの声を聴き、それをお母さんに伝えるという、今の自分の役目につながっている気がします。

23歳の時、オートバイを運転していて交通事故に遭いました。突然横から出てきた車にぶつかり、僕は空を飛んだのです。その瞬間、全てがスローモーションのようにゆっくりと動き出して、頭の中に映画のような様々な映像が見えてきました。

僕が生まれる前、お母さんのお腹の中にいたときのこと。僕は引き込まれるようにお母さんのお腹の中に入っていきました。そこで身体が少しずつ大きくなって、心地よい時間を過ごしました。

しかし世の中に対する恐怖心から、お腹から出ていくのが怖くなってしまいました。当時、母が抱えていた不安な気持ちを感じていたのかも知れません。僕の出産は、半日もかかるような難産になってしまいました。

それから少しずつ大きくなって、ハイハイができるようになって、歩きだして幼稚園に行って、小学校に行くようになりました。幼稚園や小学校、大学の友達の顔や、それまで関わってきた様々な人たちの顔が一人残らず頭に浮かんできたのです。

そして時間が経ってもっと大きくなって、さっきバイクに乗って、それから今、空を飛んでいる。そんなふうに、それまでの人生で経験した全てのシーンがすさまじいスピードで早送りで流れたのです。特に赤ちゃんの頃の数年間の記憶がいくつもの映像となって目の前に映し出され、このころの経験が、自分の人生に多大な影響を及ぼしていたのがわかりました。

「死ぬ前に人生が走馬灯のように見えると言うけど、これがそうなのかな。これで死ぬのかな」

僕はその時、死を覚悟しました。しかしそれでも死ぬのを怖いとは思いませんでした。「これで終わりかな」と、ゆっくりと目の前に地面が近ずいてきたのですが、それでも僕の心は穏やかでした。たった数秒間の出来事なのに、その時はとても長く感じました。そして地面に激突する直前、ギリギリの瞬間に僕は頭を打たないよう身体を猫のように丸めていたのです。

「死にたくない。短すぎる。まだ何もやってない」
最後の最後に、心のどこかで僕はそう叫んでいたのでした。

この交通事故をきっかけに僕の中で何かが変わっていきます。それまでの仕事や生活が虚しく感じられて、2年ごに仕事を辞めてアパートを解約し、以前から夢だった渡米を決意したのです。


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