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京大カレー部で垣間見た 不確実に挑戦するカレーの高み

こんにちは。おだしです。
ホットクック使いこなし度:99 【神レベル】を達成した私ですが、物凄くおいしいのに、それを表現する語彙を持ち合わせていない!という経験をしたので、掘り下げて書きます。

昨年、シャープはホットクックの別売まぜ技ユニット「もっとクック」という商品を発売しました。その訴求点の1つに「カレー専門店の味を家庭で再現」がありました。

それならばカレーガチ勢に使っていただけば面白いことになるのではないか!そんな思い付きで、京大カレー部でホットクックともっとクックを使っていただきました。



京大カレー部にお邪魔しました

しばらく使っていただいてから、訪問インタビューを撮らせていただきました。京都大学で迎えてくださったのは2年生の林田様でした。

林田様(左)と調理チームメンバー(右)

名門である京大カレー部は、林田様によると「カレーな好きな人たちが集まって、カレー愛を伝えあうサークル」だそうです。

学生サークルが活動する拠点BoCS

サークルのスペースにお邪魔すると、林田様はまずはじめにシナモンを煮詰めだしました。おもてなしのお茶から既にスパイスの世界でした。

ひたすらシナモンを煮だすとほんのり甘いお茶になる
理論上はホットクックの手動「めんをゆでる」でも調理可能

そして、突然スパイスクイズの洗礼を受けました。
「2つのスパイスは何が違うでしょうか?」

どちらかがカイエンペッパーで、どちらかがパプリカパウダー

前回のヘルシオ教室を履修していた(動画47:52あたり)ので即答できましたが、次に「どっちがどっちでしょう?」と問われました。悩んでいると「なめると確かめられますよ」と教えていただきました。外すと激辛。

林田様が独りで料理を始められたので、京大カレー部の他メンバーについて質問したところ、「主要メンバーは春休みで本場インドに旅立ってしまった」というお話でした。カレーへの本気度が凄い。

多くのスパイスは日本でも買えるけれど、料理や文化を知るためには足を運ぶ必要があり、フードサイエンスを専攻している林田様もこれまで2度インドに行ったそうです。

東京の専門店で購入して冷凍保存している香草

「インドに行って人生観は変わりましたか?」と聞くと、「180度変わるため2度で元通り」という理系ジョークをいただきました。

押しかけてきた大人4人を相手しなければならない中で、調理助手なしにあくせくしながら作ってくださったのはゴビプラオ、サグカレー、ゴビマサラでした。

左:ゴビプラオ、下:サグカレー、右上:ゴビマサラ
  • ゴビプラオ:カリフラワーを使った炊き込みご飯。ゴビはカリフラワー。プラオは語感が似ているピラフのような料理。

  • サグカレー:ほうれん草を使った煮物。サグは葉物で、現地では菜の花を使うとか。

  • ゴビマサラ:カリフラワーの炒め物。

カレー部の中でもメンバーによって好きなジャンルに違いはあり、林田様はインドの南側で食べられる、野菜や豆で作るカレーが好きだと話していました。

材料であるほうれん草やカリフラワー

インドでは「ベジカレー」が普通で、そうではなく肉が入るものを「ノンベジカレー」と否定表現をします。日本人では当たり前のように肉が入っているけれど、その常識に一石を投じたい想いを伺いました。


理解が追い付かない調理過程

動画を撮影してレシピ紹介しようくらいの軽い気持ちで訪れたところ、返り討ちにあいました。動画で伝えるのが難しすぎて、先にnoteを書きはじめています。

ゆでたり、ペースト状にしたり、まぜあわせたり、炒めたり。フライパンとホットクックを同時並行で料理は進み、理解が追い付きませんでした。

ゴビプラオに使うスパイスのテンパリングはフライパンを使用

食材と対話しながら次の一手を探るような即興性があり、素人目には「本当にカレーができるの?」「ちゃんと着地するの?」と不安になりながら見守りました。

この手際をレシピ化できたところで、少なくとも私は真似できる自信がありません。

しかも、最初の説明ではトマト缶や豆乳を入れて仕上げるという話だったのに、料理を作っているうちに「これでいける!」と言い始め、使わないままフィニッシュしてしまいました。

完成したサグカレー on ゴビプラオ

戸惑いの連続でしたが、できあがったものを食べると、やさしくもパンチがあって、とにかくおいしいのです。ただ、どんな味だと表現してよいのか、それを表現する語彙を私は持ち合わせていませんでした。


ホットクックをほっておかずに使う

ホットクックの魅力と言えば、材料を入れてほっておくと、最後まで料理を仕上げてくれる点にあります。ところが、林田様はほっておかず、一連の手順のうち一部だけをホットクックにまかせるような使い方をされていました。

例えばプラオでは、最初にフライパンでスパイスやカリフラワーそれぞれを炒め、合わせたものをホットクックで焚いていました。

フライパンで炒めたカリフラワーがプラオに合流

サグカレーでは、たまねぎ&スパイスを炒めたり、全体を煮たりするのにホットクック/もっとクックを使っていましたが、途中で入れるほうれん草をゆでるのには鍋を使っていました。

炒めたたまねぎ&スパイス
ゆでたほうれん草を入れて煮込んでサグカレー

同時並行で調理するには台数が足りないので鍋やフライパンも併用しているとの話でした。台数とやる気があれば、ゆでる工程や、炒める工程までホットクックに置き換えられるそうです。

なぜそこまで林田様はホットクックを使いこなせるのか。以前から一人暮らしでホットクックを使ってきたからでした。

1口コンロの一人暮らし部屋を補う1.6Lタイプのホットクック

もともと実家でもホットクックが活躍していたところ、一人暮らしを始める際に「忙しい学校生活の中、野菜スープだけでも良いから作って」という願いを込めて、ご両親からKN-HW16Gから贈られたそうです。

ご両親の期待の斜め上を超えて、メーカーの人間もビックリするくらい使いこなしておられました。加熱中に一時停止→具材追加→再開するのが、あまりに流暢なため、カメラが追い付かない程です。

流石に毎日の料理はほったらかしの恩恵を受けているようですが、本格カレー作りはほったらかさずに使いこなしていました。これで、ホットクック/もっとクックの恩恵はあるのだろうか?という疑問も湧きました。


ホットクックは自由であるべきだ

道具として「包丁」と「電動ミキサー」を対比すると、前者は手作業の延長にあり、原始的であるからこそ、汎用的に乱切り・せん切り・みじん切りなど様々な切り方ができます。

一方の後者は、切り方のバリエーションが制限されてしまうけれど、用途を絞ってみじん切りの効率だけで比べれば包丁を圧倒します。

このような対比を「鍋・フライパン」と「ホットクック」との対比にも当てはめて、私は捉えていました。

後者のホットクックは、放ったらかしにできる利点と引き替えに、前者のように使う人が細かいところに介入する余地が失われてしまう。そのような思い込みがありました。

ところが、普段からホットクックを使い慣れている林田様は、本格カレー作りでもホットクックを手作業の延長のように扱っていました。

本格カレー作りでホットクックを使いこなす林田様

確かに、最初から最後までまかせられるのは大勢の人にとって魅力であるし、監修レシピを開発してくださった先生方も、その意図を汲んでくださっていました。

だけど、それが使い方のすべてではないし、制約にする必要もありません。ホットクックは自由であるべきだ!そのような気付きがありました。

インタビューの質問「ホットクックで挑戦したいことはありますか?」に対する林田様の回答は「特にない」「すでに何でもできる」でした。

動画としては活かしにくい発言ですが、実はサラッと凄いことを言ってくださっています。日常使いではまかせっきりにする側面もあれば、ホビー用途で手作業を拡張する汎用性高い道具として使える側面もあるということです。


低温調理や発酵調理が魅力

林田様のインタビュー中に、「低温調理や発酵調理が特に魅力」という話がありました。 

ご本人がフードサイエンスを専攻していることも関係するのか、自宅で最近作ったメニューは「さつまいもの甘酒」「小麦パン」など、かなりマニアックでした。

この文章を書いている私おだし自身は、ホットクックやヘルシオから料理に入門しているため、そもそもフライパンや鍋を使った料理ができません。 自分ができないことをまかせているため、煮物や炒め物であっても、料理できること自体を革新的に感じています。

一方の林田様は、ホットクックにもまかせることもできるけれど、フライパンや鍋を使っても苦労せずに料理ができます。両方の選択肢がある中で、道具のお手入れや、過程の楽しさも考慮してフライパンを選ぶことはあるでしょう。

ちょうど、自動車の自動運転が実現した未来の世界において、多くの人は運転の苦労から解放される恩恵を受け入れるけれど、一部の人は操る楽しさを求めて運転し続けるだろう話に通じます。

ただし、どんなに運転が好きな人でも、渋滞の中で長時間運転するのは嫌なものです(もっとも自動運転の未来には渋滞がないかもしれませんが)。
同じく、どんなに料理好きな人でも、低温調理・発酵調理・長時間の煮物で弱火を見守り続けるのは負担だと想像できます。

こだわって自分の手で料理したい人であっても、依然として低温調理や発酵調理はホットクックの魅力であり続けることは分かりました。

今回の訪問では時間の都合上で見送られましたが、ホットクック/もっとクックのじっくり加熱が活躍する本格カレーもあると話しておられました。


カレーと認識できないカレーの高み

どのような切り口で動画を仕上げるのか頭を悩ませていたところに、新レシピを引っ下げた稲田先生がヘルシオ教室のためにシャープに来てくださる機会がありました。

ホットクックともっとクックで自宅で再現するプロの味!
エリックサウス総料理長 稲田俊輔氏監修 新レシピ4品

世間話がてら、京大カレー部での出来事を話したところ、稲田先生は示唆に富んだお話をしてくださいました。

「広大なインドカレーの世界のうち、一般的な日本人がカレーであると認識できるのはごく一部の範囲でしかない」という内容でした。

京大でいただいたカレーを、私はカレーとして認識できていない。凄いです。これがカレーの高みなんですね。

私達のようなカレー素人からすると、未知なるカレーの世界が暗黒大陸のように広がっています。その中に林田様が追い求めるベジカレーの世界や食文化も広がっているのでしょう。


面白さを求めた縛りプレイ

稲田先生との雑談で印象に残ったのは、エンジョイ勢・ガチ勢にとって「おいしくなることが想像がつくものは面白くない」という話でした。

肉を入れて「ノンベジ」にすることで、前回の記事にも書いた「うま味の相乗効果」が働くため、簡単においしさを手に入れることができます。

でも、定石として確立されたおいしさだけでは、味を探求するエンジョイ勢・ガチ勢にとっては意外な面白さに欠けます。カレー探求の過程で、万人好みのおいしさでは飽き足らず、肉を使わないベジカレーに行き着く人は多いそうです。

稲田先生の新レシピの「アルゴビマサラ(もっとクック専用)」もベジ
カレーのサイドディッシュとして活躍するサブジ

稲田先生が「その若さで境地に辿り着いてしまったか」「自分は10年かかった」と話していたのが興味深かったです。同時に、早熟による危うさも心配されていました。

ある意味「縛りプレイ」とも言える、確実においしくなる安全牌を捨てて、不確実に挑戦することで、予定調和ではない未知のおいしさを発見する。「進んで取り組め困難に」というシャープ創業者の言葉を、ベジカレーの探求に見出しました。

林田様がトマトや豆乳を準備していたのは、おいしくできる定石パターンの保険であった。そぎ落としても意外性のあるおいしさに辿り着く確信が持てたので、「これでいける」と提供してくださった。そのように理解しました。


メーカーとして使う人に向き合いたい

今回の訪問がきっかけで、食について改めて考えました。

ホビー勢・ガチ勢であっても、生活のために食べることは欠かせません。私たちメーカーで調理家電に携わる者は、万人にとって無関係ではない食事に携わっていると言えます。

一方で今回、未知の味を探求する人と関わり、生活のための食事だけがすべてではないことも学びました。

生活の食にも小さな挑戦はあり、逆に、探求の過程にも省力化したいニーズはあります。単純なカテゴリーに当てはめるのは不適切に思えました。

お仕事として訪問インタビュー動画を撮る意味では、単純なカテゴリーに当てはめて、事前の筋書き通りに撮るのが手っ取り早いです。
しかし今回、味を探求する姿を拝見させていただき、我々メーカーも予定調和な筋書きを捨てて、謙虚に人と向き合わねばならないと感じました。

私たちが思いもよらないような活用法やニーズは、まだ埋もれていると想像します。ホットクック/もっとクックに限らず、noteやinstagramの投稿としてお寄せいただけますと幸いです。真摯に拝見いたします。

ヘルシオ・ホットクック公式 instagram
https://www.instagram.com/healsio_hotcook_official/

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