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【アップサイクル話vol.3】サステナブルなビールの楽しさ- 目指す世界は「気づけば、地球にやさしいことをしていた」

こんにちは!シェアシマ広報担当です。
このnoteでは、私たちのパーパスである ”大切な食資源を活かす”をテーマに、あらゆる人・コミュニティ・企業にインタビューをしています。今回は、廃棄直近の食材を生かした美味しくて楽しいクラフトビールづくりをする株式会社Beer the First 代表取締役社長 坂本さんと、当社代表・小池による対談です。

坂本さんには、当社アップサイクル・フード「ウエハースクラフト-信都ご縁エール」の商品開発にも携わって頂きました。そんな坂本さんに、現在の活動や今後についてもうかがいました。

【株式会社Beer the First 代表取締役社長 坂本錦一氏】大学卒業後、食品の仕入れなどを行う会社で働くなか「食品ロス削減」に着目して起業。捨てられてしまうものに価値を付けて再生する「アップサイクル」商品を考案。企業などが災害備蓄用に抱え、入れ替え時期を迎えたアルファ米や乾パン、菓子、ラーメンの麺の切れ端などを麦芽の一部に代用するクラフトビールの販売・プロデュースを行っている。

アップサイクルビールの事業を始めた理由

小池:坂本さんはなぜビールの事業を始めようと思ったのか教えていただけますか。

坂本:元々クラフトビールが好きだったというのが前提にあるのと、以前働いていた食品会社でフードロスがあるという現実を知ったのがきっかけです。

当初、食品の卸商社で海外からバナナを輸入するチームにいて、後に国内のメーカーや農家からの仕入れや卸売を担当する部署に移りました。こういった中で全国各地の産地を訪れ、食品ロスの実態を知りました。私はフルーツの担当をしていたのですが、例えばブドウの場合、実はたくさんついていても「実が一部取れているだけで、もう商品として出荷できない」というのが実情でした。多くの廃棄物が生まれていることに、非常に驚きました。

こういった現実の中で、「自分に何かできることはないか」という思いを持つようになったものの、当時は会社という組織の制約やSDGsがあまり注目されていなかったこともあり、自分の思いを具体的な行動に移せずにいました。

しかしコロナ過が訪れると、元々クラフトビールが好きだったことから、徐々にビールを作ってみたいという願望が湧きました。ただ酒税法で自分では作れないという現実にぶち当たったので「もうこの際、お仕事でやってみよう!」という考えに至ったのです。そこで、元々興味があったフードロスと掛け合わせてこの事業をスタートさせました。

小池:なるほど。昨年度僕らは、タカチホさんのウエハースの端材からビールを作りましたね。

シェアシマがプロデュースし、Beer the Firstが製造を担ったウエハースの端材からできたビール

坂本:はい。最近では、アップサイクルなどの環境に配慮した商品が非常に注目を浴びています。ただ、多くの企業がこれに取り組もうとはしているものの、そこにマネタイズがついてこないというところが、非常に難しいところですよね。良い取り組みを単発で終わらせずに継続させていくため、どう工夫していくかが直近の課題だと考えてます。

小池:そうですね。限られた食資源を捨てずに、どう価値を上げていくかというのは、これから先もきっと食品業界で共通のテーマとなってきますよね。

坂本:また、販売先の出口がないと「作って終わり」になるため、万が一に売れないとまた廃棄になってしまう、という課題もありますね。お酒は小売だと酒販免許が必要だったり、ポップアップするにしてもいろんな申請が必要でややこしいんですよね。そこに関しては、売り場のある場所と連携することで、在庫を抱えるリスクが発生しないようやっている状況です。

ラーメンがビールに!?今、SNSでも大注目の商品‼

小池:最近、一風堂さんのラーメンからビールを作られてましたよね。その商品もすごく飲んでみたいです。結構話題になりましたよね。

坂本:そうですね。即完して今第2陣を作っております。もともとビールの消費が多い、インバウンド向けのお店などを中心に限定販売していました。しかし、3日ぐらいで完売してしまったのです。

小池:すごいですね。SNSでも話題になってましたよね。

坂本:一風堂さんのnoteでもとり上げていただき、それがトレンドに入り、noteが公式のTwitter等で発信してくれたことなどが重なってよりリーチが伸びましたね。noteのいいね!数も、一風堂の中で相当バズったというご報告もいただきました。

一風堂の麺が原料!エコなクラフトビール「KAEDAMA ALE」

アップサイクル、環境系ならではの難しさ

小池:坂本さんの視点から見て、アップサイクル商品を作るところの難しさはどんなところにあると思われますか。

坂本:難しさで言うと、そもそもアップサイクルというワード自体がまだ分からない人がたくさんいるのかなと思います。サーキュレーションや循環型と言った方がわかりやすいかなとか、変なカタカナ使いすぎちゃって、認知されにくいのかなとも思ったりします。ですから、アップサイクルという概念がもっと認知されればいいなと思います。あとはやはり、環境系は必要不可欠な要素かと言われるとそうでもなかったりします。そのため、価格面での難しさやリピートに繋がりにくいといった課題もあります。それをも凌駕して、環境のことを真剣に意識している方はまだ少ないなと感じます。

小池:そうですよね。やっぱり今の大人達が、アップサイクルやSDGsなどにネイティブじゃないのもありますね。「価値観の醸成」にはまだまだ時間がかかるでしょうね。

ただ、じつは日本は元々そういう商品が多い国です。例えば、鰹節を作るときに鰹を煮ますが、そこからできた鰹エキスがラーメンだったり、出汁入りの味噌に入っていたり。元々捨てた煮汁をエキスとして販売したりしているというのが、口に出して言わないけれど、古来からある「アップサイクル」なのかなと思いますね。あえてここにきて、「アップサイクル」という言葉がやっと話題になっている感覚を受けます。

理想は、楽しく飲んでいて『気づいたら』サステナブルなクラフトビールだった

小池:坂本さんが目指す社会はどういったものですか?

坂本:「気づけば消費してる」くらいの世界観が理想です。そんなにゴリゴリ”環境系の会社です”というところは、あえて言わないつもりです。それこそ、鰹エキスも”作ったときの廃棄されちゃうものを使ってます”と言われると、別に買いたくなくなるじゃないですか。

もちろん、必要に応じてそういった情報はお出ししますが「結局飲んじゃえば、楽しいじゃん!」というところにまで、持っていきたいですよね。より環境系の商品を選んでいただきやすいような見せ方とかも、考えていきたいです。

一緒に切磋琢磨する仲間として。共創する未来に思いをはせる

小池:当社としては、メーカー各社が困ってることをシェアシマというプラットフォームで解決したい、課題解決型プラットフォームにしていきたいという思いがあります。端材や余剰になってしまった食品原料を、坂本さんと商品化したアップサイクル・ビールもその一環でした。タカチホさんのウエハースで作ったビール、本当に美味しかった!またご一緒したいです。

坂本:ぜひぜひ。僕達もまだ委託で作っている環境なので、売り場が限られたり、原価の部分だったり、作ってもらったものをその場所に戻すというのが、酒税法上難しかったりなどの課題もあったりします。自社の工場を作ると同時に出口がたくさん広がっていけば、より色んな商品をアップサイクルできて、連携もスムーズになってくるのかなと思っています。

シェアシマさんとは、同じ課題感を持って事業を展開されてるというところで、僕たちも非常に期待しています。ぜひ今後とも、一緒に切磋琢磨できるといいなと思っております。



いかがでしたでしょうか?
私たちは、これからも”食”を起点に、さまざまな人・コミュニティ・企業とつながります。今後の記事も乞うご期待!

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