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「シェア街」が踏み出すはじめの一歩 ~リアルな場とオンライン、そして「きょてん」「しごと」「つうか」。そこから生まれるつながりと、暮らし~

東京浅草にある、地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan(リトルジャパン)」。世界中からさまざまな人が集い、出会いが生まれている場所です。

そんなLittle Japanを営んでおられるのが柚木理雄(Michio Yunoki)さん。そして、柚木さんが2020年6月にクラウドファンディングページを公開し、2020年9月から本格始動する取り組みが「シェア街」です。

今回は、ともにシェア街をつくりあげているメンバーの1人、青蜂ユキさんがシェア街とはいったいどんな取り組みなのか?、「きょてん」「しごと」「つうか」とは?、まずは何から始めればよいの?、などシェア街について迫りました。

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▲2020年9月上旬に開催したオープニングパーティーのワンシーン。美味しい料理もあり、和気あいあいとした会となった。


住民と関係住民がつながる街「シェア街」

青蜂ユキさん(以下、はっち):2020年9月から本格始動するシェア街について、まずは簡単に教えてください。

柚木理雄さん(以下、柚木):1階がカフェ、2階から4階までが宿泊施設になっている浅草のゲストハウス、Little Japanから自転車で15分圏内のリアルな街とオンライン上の2つの街があります。

ただシェア街は、この場所のことをまちと呼んでいるのではなくて、リアルなシェア街内に住んでいる方を「住民」、ご近所さんや遠方、オンライン上で関わってくださっている方を「関係住民」と呼んでいて、この人と人とののつながりのことをシェア街と呼んでいます。

オンライン上にもコミュニティがあるので、日本全国、いろんな場所の人が住民になってくれています。これまで複数のコミュニティを運営してきた中で、大事だなと思ったことを仕組みとして取り入れつつ、住民や関係住民の方に楽しんでもらえる、つながってもらえる場にしていきたいですね。

はっち
:さまざまなライフスタイル、働き方をしている人が混在する場所って素敵だなと思います。「きょてん」「しごと」「つうか」という仕組みが他とは違う特徴だと思いますが、具体的にはどんなイメージで考えられていますか。

柚木:「きょてん」は、住める場所やコワーキングスペースなど、シェア街の中にあるリアルな拠点とオンライン上の拠点があります。

オンライン上は、例えば住民同士で交流ができる場があって、その場のことを「フレンドパーク」と呼んでいるのですが、実際に公園があるわけではなくオンライン上のコミュニティのことです。他にも酒場なんかもオンライン上にあったりします。

「しごと」は、シェア街のまちづくりに関わってもらうことや、住民同士お互いに頼みあったりする仕組みです。内容は、いわゆる仕事に近いイメージで、例えば会社のPR動画を制作するなど割としっかりしたものから、お手伝い的なものまで。

仕事のようなものについては、どういう内容でどんなスキルが必要なのか、報酬はいくらなのか、をきちんと見えるようにして、まちの外部からも依頼が受けられ、この人だったら大丈夫という人に頼めるようにしていきたいです。

また、「しごと」をすることで「つうか」をもらうことができ、シェア街で使うことができます。「つうか」は、貯めるものではなく、交換するための手段という位置づけです。

いわゆるブツブツ交換やスキル交換ってアンバランスな関係性で交換している可能性もあるので、「つうか」があることで同じ価値で交換でき、流動性も高まると思っています。あと、何か企画をしてくれた人に対してお礼として贈るとか。「きょてん」「しごと」「つうか」、この3つをシェア街の中で循環させていきたいですね。

はっち:なるほど。リアルに存在する街とオンライン上の街、両方でつながることができる場なんですね。そんなシェア街には、どんな人が向いているのでしょうか。

柚木クラウドファンディングで初代住民を募集していまして、うれしいことに約300人の方が支援してくださっています。住民や関係住民に向いている方というのは、”他人のことが尊重できる人”かなと思っています。

アクティブに関わってくれる人にももちろん来てもらいたい一方で、シェア街の中でゆっくり暮らしつつ、時々交流をしたいというようなゆるく関わってくださる人も大歓迎なんです。いろんなスタンスの人がおられるので、それぞれのスタンスや暮らし方を尊重し合いたい。

アクティブな人もゆるく関わってくださる人もお互いに「ありがとう」と感謝が言える関係性を築いてもらいたいです。もちろんシェア街としてのルールはあるので、それは守ってもらいつつ、関わり方を他人に押し付けてしまうのは避けたいと思っています。

はっち:私も観客でいたいときと、アクティブに動きたいときがあるので、観客席も設けられていることで居心地よく感じる人も多いと思います。

柚木:そうですね。それぞれに居心地がいいと思ってもらえる街にしていければいいなと思います。それでいうと、住民か関係住民かっていうのは、あまり関係ないかもしれないです。

ゆるく関わる住民の人がいてくださっても、アクティブな関係住民の人がいてくださってもいい。両方いてくださっていいと思います。

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▲とあるつながりでLittle Japanにやってきたトゥクトゥク。シェア街を周るツアーができるかもと企画中。


安心と思える日常とエンターテイメント性のある非日常の両立

はっち:Little Japanはもともとゲストハウスとして運営されていましたが、最近はシェアハウスとしても運営をされていますよね。

柚木:毎日新しいお客さんが来てくださり、いろんな話が聞けるゲストハウスの楽しさもある一方で、顔見知りの常連さんに何度も来てもらって話ができるのも安心ができ、楽しい空間がつくれるかなと思っているんですね。なので、Little Japanをこの2つが両立できる空間にしていきたいなと以前から思っていたんです。

旅って日常ではなく、非日常じゃないですか。それが楽しいんですけど、でも僕は、日常の中に旅を取り入れたくて。実はここ1、2年このことが自分自身のテーマでした。

シェア街でも、日常を楽しめている、安心できている、という状態がベースにあったうえで、非日常のエンターテインメント性をどう取り入れていけるかを模索しています。

はっち:たしかに、安心だと思える日常という土台がないと、非日常を取り入れにくいのではないかと思います。とは言え、非日常がないと面白さが欠けてしまうし、日常が安心できないと暮らしていくのが難しくなってしまう。「きょてん」「しごと」「つうか」のような仕組みも以前から考えられていたことなのですか。

柚木:シェア街自体の構想は前からあったのですが、ここまでいろんな仕組みを取り入れながらやっていきたいなと思ったのは、コロナの影響が大きかったと思いますね。

リアルで会うことが難しくなったことでオンラインが活発になり、遠く離れていても意外とオンラインで簡単につながれるんだという気付きもありました。それとは反対に、不特定多数の人と会ったり、触れたりすることが怖いという感情も顕著化したんじゃないかと思っていまして。だからこそ、安心できるコミュニティをつくりたいと思ったんです。

はっち:「安心できるコミュニティ」、なるほど。それぞれ考え方も暮らし方も違う人が集まっているコミュニティとなるとそれぞれが「安心」と思える環境をつくっていくのが難しいのではないかと思います。

柚木:そうですね。ただ僕は、違う考えの人がいる場合、お互いに尊重はしてもらいたいのですが、お互いの考えを合わせてほしいとは思ってないんですよね。それぞれがバラバラでいいんですよ。

そして、バラバラの人を分けられる状態をつくる。分けないとお互い我慢しちゃう状態をつくっちゃうと思っているんですね。そのためにリアルのきょてんは、小さいものが自転車15分圏内に分かれている点も良い状態だと思っています。

またオンラインでも見るだけ、イベントに参加したい、まちづくりに参加したい、それぞれが分かれて参加できるようにコミュニティを分けるようにしています。無理やり擦り合わせようじゃなく、分けて考えるのが重要だと思っていますね。

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▲シェア街の住民、関係住民さんたちがイラストになって登場。学生、フリーランス、会社員、多様な人が集まるコミュニティになっている。


まずはチュートリアルにご参加を

はっち:きっとシェア街に対して、期待を抱いている住民や関係住民の方がたくさんおられると思います。予定では、2020年9月にオープニングを迎えます。住民、関係住民の方にまずやってもらいたいことなどはありますか。

柚木:住民や関係住民のみなさんにぜひお願いをしたいと思っているのは、シェア街のチュートリアルに参加してもらうことです。ゲームをしたことがある人は分かると思うのですが、どういう風に進めればいいのか案内してくれるルール説明的なものがチュートリアルです。

例えば、まずはこのグループに参加してみましょう、「つうか」を送ってみましょう、など。このチュートリアルに参加してもらうことでシェア街の楽しみ方やツールの使い方を知ってもらおうと思っています。なのでまずは、チュートリアルに参加してもらいたいですね。
(2020年9月以降に入会いただいた方も初回は、チュートリアルにご参加ください)

はっち:チュートリアルに参加することで、シェア街のこともそうですし、どんな人がいるのかもより知ることができるんですね。住民や関係住民の方々、ぜひチュートリアルを楽しみにしておいてくださいね。

柚木:はい、そうですね。チュートリアル自体は、1回あたり5~10人程度をオンラインでつなぎ、約1時間でシェア街の楽しみ方を知ってもらえる時間にするつもりです。

シェア街に関わりたいと思ってくださる方全員が参加できるよう、日時をずらしながら複数回実施します。住民そして、関係住民の方々は、まずチュートリアルを楽しんでください!

▼プロフィール

柚木理雄 / Michio Yunoki

シェア街との関わり:シェア街始めた人

普段やってること(職業や活動など):
株式会社Little Japan代表取締役、NPO法人芸術家の村理事長、中央大学特任准教授など「地域の資源を活かした事業を創る」をミッションに創業。
空き家を活用した場・コミュニティづくりからスタートし、地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」やシェアハウス、コワーキング、ショップ、カフェ/バーや月1.5万円~のホステルパスで全国のホステルに泊まり放題になる「Hostel Life」を企画・運営。コロナをきっかけに安心できる暮らしとエンターテイメントを両立させるリアルとオンラインのまち「シェア街」をつくる。

青蜂ユキ / Seibo Yuki
シェア街との関わり:シェア街運営スタッフ/LJ住民

普段やってること(職業や活動など):自分もみんなも幸せな気持ちで過ごせる様に色んなことして自由に生きてます。

▼クレジット
西野 愛菜 / Mana Nishino
シェア街との関わり:シェア街メディア編集長 / 次期両国の住民

普段やってること(職業や活動など):編集者・ライター

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