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”こじらせ”は人の懐を開くキーワード シェア街文化祭「こじらせた大人達による愛と人生の交差点」イベントレポート

シェア街で、ここ2,3ヶ月のあいだ流行っているが“こじらせ”です。シェア街外の人にとっては???な言葉だと思いますが、住民のなかで、特にENGAWAに頻繁に出入りしている人にとってみれば「あ~あれね……」となってしまうこのテーマ。今回の企画では、それを深掘りしました。

ENGAWAとは?

シェア街のきょてんの1つである「くうそうCafé&Bar ENGAWA」の特別編として、2021年5月5日にあった「シェア街文化祭」で開催されたこの企画。内輪感満載のテーマにも関わらず、20人以上の方に聞いていただきました。
ENGAWAは、シェア街住民がふらっと集まってお話しできる場所。行きつけのBarで、カウンター越しにマスターやママと、もしくは隣り合ったお客さん同士で気軽に会話をするようなイメージで、夜な夜な盛り上がっています。映画、音楽、旅といった趣味の話からしょーもない話、時には恋愛、お仕事、人生観にまつわる深い話まで幅広く展開されます。

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(画像はENGAWAのスケジュール。毎月いろんなテーマで話しています)

“こじらせ”とは?

そんなENGAWAで、ここ2、3ヶ月の間で盛り上がった話題が“こじらせ”。
きっかけの1つはこの1月、「“ふつう”って何だ?」というテーマでENGAWAを開催したときのこと。
“普通”についてあれこれ考えている中、“普通”と対比される単語として“こじらせ”という言葉が、ENGAWAの客たちの間で認知されるようになりました。
そしてその後のENGAWAでも、好きな映画や、感銘を受けた音楽の歌詞などの話をしているうちに、各々が込み入った恋愛遍歴や悩みなどを晒す流れとなりがちになり、「誰々はこじらせている」「自分はこじらせていない」といったレッテルの貼り合い……いや、語り合いをするようになり、現在に至ります。

一般論として、こういう話題は夜のテンションでとりとめもなく話すのが楽しいのであって、これを真っ昼間にイベントとして企画されるとどうなってしまうのでしょうか?

今回の主な語り手として、ENGAWAの立ち上げ人のH置さん、常連客のH美さんとS原さん、メディア編集部のZ子さん、シェア街外からG美さんが参加してくださりました。

みんなが思う“こじらせ”

G美さんは会社員のかたわら、noteで発信をしていたり、自主制作映画のスタッフになったり、YouTubeでライブ配信をしていたり、と様々な活動をしているそう。
ですが、本名でいる会社員の自分と、ペンネームで他の活動している自分とが乖離して、「どう振る舞えばいいか、よくわからなくなることが頻繁にある」と話します。

続いてH置さんが“こじらせ”の大先輩と評するS原さん。
これまで何度か仕事を変えてきたそうですが、その理由は「通勤路が同じということに苦痛を感じるから」とのこと。
そして、「引っ越しはお金も労力もかかる一方で、転職にはそうした負担がない」と続けると、みんなから「そっちなの?」というツッコミが入ります。

“こじらせ”は主観?客観?

話題は、“こじらせ”は主観的なものなのか、客観的に他人からそう判断されるものなのか、という問いに。
H美さんは、「自分はこじらせていないと思っていたが、H置さんから『こじらせている』といわれた」とのこと。H美さんは一見、明るい性格で、「こじらせとは無縁と思っていたけれど、ENGAWAで話をするなかで、自分もそうなのかもしれない……」と思うようになったそうです。

一方、「その人独自の軸を持って生きていることを“ポリシーを持っている”と言うけれど、反面でこじらせているともいえるのでは?」と話すS原さん。
“こじらせ”とは、色々と考えすぎてしまって堂々巡りになったり、「器用に振る舞わなきゃ!」と思っていろいろなことを抱え過ぎてしまったりすることでは、という話になり、「しっかりしているように見えて実は不器用」と自己分析するZ子さんも思い当たる節がある様子でした。

人の柔らかい部分に触れられるキーワード“こじらせ”

“こじらせ”について、ああでもないこうでもないと話していたら、あっという間に1時間が経ってしまいました。

「ENGAWAを立ち上げた経緯として、オンライン上で人がどのくらい仲良くなれるかということに興味があった。オンラインでの交流はどうしても目的ありきになってしまうけれど、その中で意味もなくおしゃべりをする場を設けたいという思いがあった」というH置さん。
今回、“こじらせ”というテーマを通して、「その人の人生観や柔らかい部分、人間らしい部分に触れることができているのではないか」と結論づけをしました。

シェア街住民ではないにもかかわらず、こんな内輪感満載の会話に飛び込んでくださったG美さんに感想を伺うと、「『結局、何だっけ?』という感じだったけど、とりあえず面白かった」とのこと。

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(写真は今年の3月、こじらせトークで盛り上がった時のENGAWAの様子。写真のポーズはS原さんが考案した、”やさぐれた心に染み入るあたたかいもの”をあらわしたポーズ)

ENGAWAという目的もなく集まる場所で、お互いの懐を開きつつ人と人との距離が縮まっていく様子は、この企画を視聴してくださった方々にも伝わったのではないか、と思います。

【クレジット】
編集:Atsushi Nagata Twitter / Note / Youtube
執筆:早川英明
写真:提供写真

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