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「母親学級講演会」終了直後に行った、パネリスト・モデレーターによる座談会

こんにちは!シェアの在日外国人支援事業担当の山本裕子です。
シェアでは、2023年5月27日(土)に、在日外国人支援事業講演会2023「外国人母子を支える現場からⅡ~母親・両親学級を始めて見えてきたこと~」をオンラインで開催しました。講演会では、3名の助産師、保健師の方(以下の写真参照)より、それぞれの自治体や団体で行ってきた外国人対象の母親・両親学級への取り組みについて報告していただき、そのあとパネルディスカッションを行いました。当日は、114名という多くの方にご参加いただき、関心を寄せてくださる方々が多いことを実感しました。
また、終了後のアンケートでは、例えば「外国人母・父を支えていくためには、通訳を充実させるだけでなく、その人の国や地域の習慣なども理解し、その人たちに合った支援をしていく必要があるのだと学んだ。自分にもできることをしてきたい」など、参加してくださった皆さんの今後の活動に活かしていただけるような前向きなコメントをたくさんいただきました。
講演会終了後にパネリストやモデレーターと講演会を振り返っていたところ、講演会で話足りなかった部分がたくさん出てきて、ミニ座談会のように盛り上がりました。本日は、その際に話題になった内容を一部お伝えしたいと思います。

スピーカー、パネリスト、モデレーターの詳細

それぞれの母親学級/両親学級の特性・違いを理解し今後に活かすために

横川:私たちがやっている母親学級と杉並区さんがやっている母親学級は、目的などが同じようでちょっと違うということを改めて感じた。杉並区さんのやっている母親学級の良いところをどう還元していけると良いか考えていた。例えば、私たちが関わるのは、1回だけで、全然知らない人で、東京都全域から入ってくるので、そうするとその人たちと深くつながることは全くないし、フォローすることもできない。中国人が集まったとしても、その人たちの特徴を本当にわかっているのか、ベトナム人の人たちの本当の思いを聴けているかというと、そこにはない。これを良しとしてやっていくのか、もっと関わりを持った4回くらい(のコース)にして、産後までフォローして、コミュニティに入っていくのかなどは、(今後を考える上で)とても良い刺激になった。

市瀬:杉並で、2年間濃密にネパールの方とやり取りをして、良いものができた。個人的にはもっと広域な範囲で行えると面白いと思うが、あくまでも杉並区民に還元しなければいけないところがあるので、なかなか杉並区だけでは(広域で行うには)難しいところがある。これだけ一生懸命やって作ったものがあるので、このままにしておくのはもったいないという気持ちもある。できれば広域なところで、これを活かしてもらいたいと思っている。

佐藤:保健師は、日本人の場合、住所把握をして、住所の近い人をくっつけて仲間にしようとするが、ネパール人はそうではないというのを聞き、そうだなと、仲間仲間とこだわり過ぎていたなと最初の頃に思った。横川さんたちは、一回きりの知識付与中心で、知識すらなかった人にアクセスしているので、それはそれでありだなと思った。広域でも、今はネットでもつながれる社会なので、コミュニティとしても、会うだけでなくても、ネットでつながることもできるのかなと思った。効率等を考えて、4回(コースで)行うかとかは考える必要はあるが、つながりを作ることはできそうだと思った。

座談会で盛り上がっている様子

横川:(直接関わると)楽しいというのがある。私たちも外国人と会うだけでHappyになる人が集まってやっているが、もっと深く入れたほうが、より楽しいだろうし、お互いwinwinな形を探していけるといいなと思う。

次郎丸:今まで自分たちの活動しか知らない部分が多かったが、シェアや東京都助産師会の話を聞き、違う視点から両親学級・母親学級を行っているのだと知れたし、中国やミャンマーのネパールや日本との文化の違い等を知れたのも面白かった。シェアや助産師会の母親学級・両親学級は1回きりという話があったが、保健センターや自治体で行う場合、その後継続的に関われるところが強みだと思っており、その方たちがその後どうなったのか、どんな変化があったのか、そういったところをみられるのが面白いところでもあると思った。母親学級にとどまらず、その後の支援も、もう少し考えていかなくてはいけないと思った。

山本:私たち、NPOの場合は(母親学級を)行った先がない。女性普及員さん(ネパール人保健ボランティア)と一緒に(ネパール人妊産婦訪問活動などで)関わった方が杉並区につながったり、母親学級に参加してくれた方と後日保健センターからの通訳依頼でつながり、通訳さんをみて喜んでくれてうれしかったこと等はあったが、遠隔地から参加してくれた方などがその後どうなったのかはわからない。そういう意味で、自治体でやる強みはそこだと思う。病院(での母親学級)もその後が追える。NPOの立場はその先がないのはもったいないが、そこは地域の人と連携していくと良いのかなと思っている。横川さんも最初はチラシを自治体に配っても(参加には)つながらなかったが、その後は保健師さんのつながりで参加する人が一番多くなったとおっしゃっていたし。

横川:荒川区のホームページに東京都助産師会のバナーが入っている。"外国人両親学級こちら"といった感じで。コロナで日本人向けの母親・両親学級が中止になった時に、東京都助産師会がYouTubeで母親学級や沐浴等のいろいろな動画をあげ、それを載せてよいかという連絡が来た時に、両親学級のもいいですか、ということで掲載につながった。信頼があると進めやすいと思った。「東京都助産師会」というバックの必要性は行う中で感じていた。信用されて、進めてもらえた、というのはある。

山本:「シェア」については、知らない人は知らないので、「自治体」や「助産師会」は名前的に良いなと思う。

横川:東京都保健福祉局に行った時につながった課長さんに、シェアさんやられていますよねと言われた(のでシェアについても知られてはいる)。

松尾:シェアは1度の関わりで終わってしまうので寂しいなと思うが、例えば参加した方の状況を地域の保健師さんにつなげたり、そこに保健師さんがいてくださったら継続して関わってもらえたり、そういうつながりができたら良いなと思った。

座談会を終えて撮影した集合写真

座談会を終えて 

座談会では、それぞれの立場で行う母親・両親学級の特性をより深めることができました。また、今回実施した講演会には、各地域で、パネリストと同様に外国人対象に母親学級や両親学級を開催したいという想いを抱きながら参加してくださった方が数多くいらっしゃいました。今後も、この講演会や座談会のように、外国人妊婦に必要な情報を届けようと、外国人を対象とした母親学級や両親学級に取り組んでいるみなさんや、取り組もうとしているみなさんで、語り合えるような場が増えていくことを期待しています。そして、それぞれの立場や活動の特性を活かしながら、もっと外国人妊婦やその家族に情報が届く機会を増やしていけるよう、シェアも様々な方々と連携を深めながら取り組んでいきたいと思います。

※この講演会は赤い羽根福祉基金の助成を受けて実施しました。

在日外国人支援事業担当
山本 裕子

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