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龍の船、ちまきに菖蒲 中国伝統の祝日〜端午節〜【中国文化情報】

こんにちは、小羊です。
本日は旧暦5月5日(端午)にあたり、中国の4大伝統祝日の1つ「端午節」です。中国人にとって大切な祝日であるとともに、伝統的な行事がたくさんあります。今日はこの端午節について徹底解説しますよ!

1、端午節の起源


端午節の起源には諸説ありますが、いずれの説をもってしても、その起源は中国の春秋戦国時代(つまり紀元前)にまで遡ります
諸説のうち特に有名なのは、

  • 当時の民衆の間に自らを竜の子孫として竜を崇める信仰があり、それが端午節に繋がった

  • 楚の国の有名な詩人「屈原」が愛国心から自殺したことを、当時の民衆が悲しみ、屈原の死を弔った儀式が端午節に繋がった

とするものです。
いずれの説も、後述の端午節の伝統行事「ちまき(粽子)」や「竜の舟レース(赛龙舟)」に関係してきますので、この話は3章で取り上げます。

2、日本の端午の節句との違い

〜鯉のぼりは鯉が竜になる表れ!?〜

端午節と聞くと、カンが鋭い方は「あれ?日本にも端午の節句ってあるな」と思われるかと思います。実は元々、端午の節句は中国の端午節同様、旧暦5月5日を指していたのですが、現在は新暦5月5日(こどもの日)に祝われています。このように元は同じような祝日であったことから、日本の端午の節句の行事には、中国の文化が色濃く残っているのです。

例えば鯉のぼり🎏

男の子の健やかな生長と立身出世を願い端午の節句に飾られる鯉のぼりですが、これは古代中国において、鯉が立身出世のシンボルであったことに由来しています。
中国では「鲤鱼跳龙门(鯉は竜門を跳ぶ)」という言葉があり、鯉は竜門(古代中国の官吏試験である科挙の門等、高い目標のことを表す)を跳び超えると、竜になることができると言い伝えられており、ここから鯉は立身出世のシンボルとなったのです。

鲤鱼跳龙门

他にも、菖蒲湯🌿
古代中国で菖蒲は厄払い(驱邪)のために使われており、これが影響し、端午の節句でも用いられるようになりました。現在でも中国では端午節に菖蒲を飾る風習が残っています(詳しくは3章を参照。)。

これらは日本と中国の間で、古くから文化面での交流があったことを示してくれますね。小羊は中国人の友達と話す中でこの事実に気づいたのですが、その時は驚くのと同時にとても感動しました。まだ現在ほど人やモノの行き来が容易でない時代にこうした文化交流があったなんて、本当にすごいです!

3、端午節の風習


では中国人は端午節にどのようなことをする風習があるのでしょうか。

①粽子(ちまき)を食べる

粽子とは、もち米を三角形にしたものをアシやササの葉で包み(紐で縛り)、葉ごと蒸したものです。なお、葉ではなく竹筒にもち米をつめて竹筒ごと蒸すこともあります。
最も一般的な粽子は中身に餡のない、白糖の甘いものです。ただこの他にも小豆餡入の甘いものや、お肉入り・塩味をつけた鴨のたまごの餡入りの塩っぱい味のものなど様々な種類があります。

実は、粽子を食べるという風習は、楚の詩人「屈原」への民衆の弔いが関係しているという説があります。
屈原は祖国が秦に戦で敗れると、あまりの無念さ・悲しみから川に身を投げて自殺してしまいます。民衆は屈原の遺体を、川に住む魚たちが食べてしまうことを恐れ、竹筒に米をつめて川には成ったと伝えられています。これが後に、粽子を包んで食べるという風習に繋がったとされているのです。

なんだか悲しいお話ですね。なお粽子は日本の中華食材店や中華街でも手に入りますから、気になった方はぜひ食べてみてください🥰

②赛龙舟(龍の船のレース)

龙舟(竜の舟またはドラゴンボート)と呼ばれる、竜の装飾付きの細長い舟を漕ぐ行事です。大抵、龙舟には太鼓も乗っていて、舟を漕ぐ人と、太鼓を叩く人がいます。
端午節には各地でこの龙舟のレース祭りが開かれ、一般市民も参加できます。上海でも郊外(青浦区など)でこのお祭りが開催されていたのですが、今年はロックダウンの影響で無理そうですね。

なお、この龙舟の起源にも屈原が関係しています。屈原の遺体が川に流されて行くのを追いかけようとした民衆が龙舟を使って追いかけたことを起源とする説や、屈原の遺体が川に住む魚たちに食べてしまうことを恐れ、龙舟に乗って太鼓を鳴らしながら川を行き来し魚を追い払ったことを起源とする説があります。
屈原の影響力がすごいですね。

③挂菖蒲(菖蒲を飾る)

端午節には、菖蒲の飾りを玄関に飾る風習があります。厄払い・魔除けの意味合いが込められています。

これには、菖蒲には虫よけ効果があると伝わってきたことが関係しています。菖蒲は香りが強く、この香りが虫を寄せ付けないとされています。中国では旧暦5月頃から暑くなり、家に害のある虫が出てきて、それがきっかけで病も流行り災難が起きると考えられていたので、これを菖蒲を飾ることで取り除こうとしたのです。
菖蒲は他にもリラックス効果などもあり、漢方薬(中药)の材料にされるなどしており、中国ではとても大事な植物ですね。

④香囊

これは③の身につける版です(笑)
厄除け・魔除けのために、菖蒲やヨモギなど、虫よけ効果のある薬草を、色とりどりの袋(形もちまきのような形や丸など様々)につめた香袋で、これを身につける、または、室内に飾る風習があります。
自作する人もいるのですが、ネット上で購入することもできます。淘宝でもたくさんの香囊が売られていました。袋の生地や刺繍に色々なものがあってとても可愛いですね。私も1つほしいです🥰

⑤五色縄(5色の編み飾り)

古代中国の五行の概念の中で縁起が良いとされる白、赤、黒、黄、青(それぞれ金、火、水、土、木を表す)の糸を編みあわせて作る飾りで、ブレスレットのように腕に巻いて身につけるのが一般的です。
厄除け、子供の長寿・安全・健康を願うものです。
こちらも、自作する人もいるのですが、ネット上で購入することもできます。淘宝でもたくさんのデザインのものが売られていました。非常に綺麗な色をしていますね!昔ミサンガ作りがはやったのを思い出しました。

以上、端午節の紹介でした。
本来なら端午節を外で満喫したかったものの、故あって外出できずなんだか中途半端な端午節です😅
でも端午節が終わると夏が本格的にやってきますから、今年の夏に期待して残る今日1日も楽しく過ごしたいと思います。
端午节快乐!

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