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読書感想文 #24 『小説 帝都復興』
みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。
GW前最後の日曜日。一部の都府県に緊急事態宣言発令されて、ボクの県は該当しないものの、東京都に隣接しているので、微妙な気分での週末でした。
今日は下記を読んだ感想になります。
小説 帝都復興
岳 真也 著
この話は、22回目の読書感想文でも後藤新平氏についての話でしたが、今回はそのうちの関東大震災の時の話にフォーカスされ、小説となっています。
目次
第一章 大風呂敷 4
第二章 再会 54
第三章 医も政も仁術 117
第四章 嵐の前 176
第五章 銀座の灯り 231
あとがき 296
感想
山本権兵衛内閣で、医師から政治家となり、台湾統治や南満州鉄道の統治等実績を買われて、内務大臣となった後藤の復興への奮闘の話。
2011年の東日本大震災で後藤新平の復興計画が再び注目されました。
関東大震災から学ぶことは非常に多くあります。
深刻な被害を受けたのは住宅が密集している下町地域でした。無計画に建てられた木造住宅が、より被害を甚大にしたのです。
この小説の中にも、震災直後の街の様子、大工で火消しだった爺さんが倒壊した家屋の柱に挟まれ、火から逃れず亡くなるとか、リアルな描写がなされています。
後藤の構想は、大火から計画的に復興したパリやロンドンを参考にしており、アメリカ人のビアードを招いて助言を仰いでいた。
政府の抵抗勢力が、国会で高額な予算の復興後藤案を大風呂敷と批判し、拒絶してしまったという、その場の利権にこだわる今でもよくある図式。
第二次世界大戦の大空襲で東京は火の車となりますが、後藤の言う通りにしていれば、(火事の連鎖等による)大損害をかなり削減できたと昭和58年に昭和天皇が名指しで上げて、後悔されています。
今の東京の街並みも、欧州のようにもっとすっきりしていたかもしれませんね。
巨大な道路や、街路樹の設置等の計画は大幅に縮小されてしまい、復興局も改編されますが、この時に7年かけて、東京に今でも存在する昭和通り、靖国通り、蔵前通り、清澄通り、浅草通り、三つ目通り、永代通りなど幹線道路が設置され、駒形橋、蔵前橋、清澄橋や墨田、錦糸、浜町の三大公園、小学校に隣接する小公園52つが作られました。このようにして設置されたことを東京在住の方は知っていてほしいですね。
政治等で、目の前のことに固執し、長い目で見えないのに猛烈に反発するというのは100年以上までも、今でもいます。
素晴らしい構想を、抵抗勢力を抑えてどうやって実現していくか、考えさせられる本でした。
それではまた。
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